いつもありがとうございます!お客様の声からの学び
皆さんは商品への疑問やお気持ちを企業に伝えたいと思われたことはありますか? 実は当社には日々お客様から多くの声をお寄せいただいております! さまざまな部門の担当者がご意見などを頂戴していますが、特にリアルなお声を直接お聴きすることが多いのが“お客様相談室”です。
お客様からの声には当社の課題認識やサービス向上へのヒントがつまっており、いつも注目しています。そして、温かいご意見は社員の活力・励みにもなっております。そこで本日は、お客様とのやりとりを直接担当しているお客様相談室の取り組みをピックアップし、担当者のインタビュー内容をお届けします。
【プロフィール】
傾聴を大事にすることで聴ける、お客様のリアルなお声
――お客様相談室には日々どのようなお声が届くのでしょうか。
前田 アサヒ飲料には年間約3万件のお声が届きます。一番多いのはお電話で、次いでメール、手紙などの形で届き、内容はお問い合わせが約8割、ご指摘やご意見、ご要望が約2割です。お問い合わせで多いのは、商品の取扱店、商品の取り扱い方法、商品の特徴などに関するご質問です。
――お客様からのお声にはどのように対応されているのですか。
羽場 “お客様が何を伝えたいのか、どのようなことを聞きたいのか”を正確に捉えることを第一に心がけています。お時間を割いて、わざわざご連絡をくださるので「連絡してよかった」と思ってもらえるような対応を目指しています。
前田 まずは“お客様のお声を丁寧に聴く”ということを意識しています。お客様はわざわざ伝えようと連絡をしてくださっており、なかには緊張されている方、言葉にすることが苦手な方もいらっしゃると思います。話したいことはすべて話していただきつつ、ご質問と返答が合っているかを都度確認しながら、的確に回答できるように心がけています。また、どうして質問したのかという質問の本質も聞き出せるように傾聴の姿勢を大事にしています。実は、一通りの回答が済んだ後には本音や商品に関する思い出話などをしてくださる方も多いのです。商品についての思い入れなどをお話ししていただけるような時間も大事にしています。
――そのほか対応時に意識していることはありますか。
羽場 電話の場合は、お相手の表情が見えない状況、かつ初対面同士が話すので、やはりしっかりお客様の話を聴くことが大切です。会話を進める中でお客様の反応や状況やご事情を判断し、歩調を合わせながらご質問の意図を汲み取り、誠実・公平に対応します。会話の中で臨機応変に対応し、お問い合わせの内容によってはお客様へのご提案をさせていただくこともあります。振り返ると経験を積む中で対応できることが増えていったようにも感じています。
前田 お客様の中には急いでいる方もいらっしゃいます。丁寧なご案内を意識しつつも、お客様のペースや状況に応じて、どこまで聴いていただけるかといったことも想像しながらご案内するようにしています。
――“傾聴”を大事にしていることが伝わりますね。
前田 スキルアップのために電話応対技能検定(もしもし検定)を受験したり、研修の一環で、年に数回、専門家の電話診断を受けています。お客様の質問を復唱し、的確に回答できているかなどを細かくチェックいただくのですが、こういったトレーニングなども重ねていく中で傾聴の意識が身についていきました。
羽場 お客様への回答は私たち社員の思いをお伝えするものではなく、企業としての回答を伝えるものです。傾聴を通して必要な情報を的確にお答えし、より多くのお客様に対応していけるように意識しています。
―――お問い合わせ内容のジャンルはさまざまですが、的確にお答えするために取り組まれていることはありますか。
前田 商品情報などは関連部から発信された内容をベースに想定Q&Aを作成しています。部内でカテゴリー別に担当を割り振りし、どのようなお問い合わせをいただく可能性がありそうかということを考え、関連部に確認の上、回答を整理しておきます。例としては「以前の商品からどのように変わったか」「どういった味か」などで、これを部内にて毎日の朝礼後に1品ずつ紹介し、勉強会のような形でインプットしています。時事的な内容やメディアでの取り上げ予定なども共有し合うことで、お客様のさまざまなお問い合わせにスムーズに対応していけるように準備をしています。
――特に印象的だったお客様のお声などはありますか。
羽場 当社の商品を飲んで「おいしかった」とお褒めの言葉をいただけることが最もうれしく感じます。商品を生み出し、販売店に並ぶまでのプロセスや各部門のメンバーの努力や想いも想像すると、お客様への感謝と同時に当社の一員として誇らしく感じます。
前田 北海道で大規模地震があった約1ヶ月後に、被災されたお客様から「『カルピス®』に助けられたのでお伝えしたくて。」とお電話をいただいたことがありました。詳しくお聴きすると、震災で電気が使えず、水分を摂るのに水道水しかなくて、なかなか飲みすすめられず、つらかった時があったそうです。ただ、「カルピス®」を買い置きしているのを思い出してつくったら、スイスイと飲みすすめられて助かったというお話や、自衛隊にお勤めのご家族が被災者の方にも振る舞われて、みんな笑顔になったというエピソードをお知らせいただきました。それからは、防災リュックには必ず「カルピス®」も入れているようで、「多くの人に勧めてほしい」とのお言葉もいただきました。被災されて大変な状況にもかかわらずこのようなお電話をいただいたことに、とても感動し、大変ありがたく思いました。実は1923年の関東大震災の後、「カルピス®」の生みの親・三島海雲が飲み水を求める人に「カルピス®」を配ったという記録があり、通ずるものがあるなと実感しましたし、社内で共有した際にもとても反響がありました。
全社への共有でサービスの向上、社員のモチベーションアップへ
――お客様相談室の重要な役割の一つとして“お客様からのお声を全社に共有する”ということがあり、その内容をもとに意見が交わされることも多くありますよね。
羽場 私はお客様相談室に来て数年になりますが、全社的にお客様のお声を共有し合う意識は以前よりも強くなっています。いただいたご意見から、商品やサービスの改善へとつながるよう、関係部へ働きかけを行い、アサヒ飲料HP内のお客様相談室サイトの「アサヒ飲料からお客様へ ~お客様の声をいかしました~」にて改善事例を掲載しております。
https://www.asahiinryo.co.jp/customer/voice/
より良い商品づくりにおいて、お客様からのお声は大変ありがたく、とても参考になっております。
前田 お客様からのお声をまとめた日報なども社内にて日々発信していますが、多くの社員から内容に関する質問やコメントをもらいます。そのやりとりがきっかけで情報提供の仕方を再度検討することになった事例も複数あります。お問い合わせが多いということは、情報が足りず、わかりにくいということだと思います。どのようなお問い合わせが多いのかということまで深掘りし、関連部門に改善提案などを行っています。
例えば、当社には「ほっとレモン」という希釈タイプの商品があります。最初は秋冬限定で展開していましたが、お客様から「夏は炭酸水で割ったり、水で割ったりしてレモネードとして利用しているので、春夏も販売してほしい」とのご要望が多く寄せられていました。こういったご要望があることを、都度関連部門に訴えかけ、夏パッケージで春夏の期間も販売するように変更したという事例があります。対応時にはお客様の声で実現した旨をお伝えする店頭用のPOP(ご案内)もつけていただきました。
再販売のご要望が多い商品や、反響の大きい商品は、ランキングなどで関連部門にわかりやすく伝え、商品展開の参考になるように努めています。
――近年は「お客様の声を聴いてみませんか」という社内向けの共有会も定期的に実施して、社員からも好評かと思います。こちらはどういった内容で、社員からはどういった声があがっていますか。
前田 当社では、年に4回、お客様の声を聴いてもらう機会をつくり、昨年は年間延べ700名[ア1] ほどの社員が参加しました。お客様からお寄せいただいた商品のご感想、うれしいお言葉、改善のご提案などを聴いてもらっています。
8月に実施したイベントの様子
普段の業務ではお客様と直接関わることがない部門の社員から、「お客様の感想を声で聴くことができて、とても励みになった」「モチベーションが上がった」「感動して涙が出た」という声があがりました。また、商品開発に携わっている社員から「改善ポイントについてお客様の熱量が伝わり、我々も本気で取り組むべきとの意識向上につながった」などの感想が寄せられました。ご指摘いただいた実際のお客様の声を聴いてもらう機会もつくったことで、改善スピードがさらに上がったように思います。
また、消費者庁が定める消費者月間である5月には、アサヒグループ3社(アサヒビール、アサヒグループ食品、アサヒ飲料)共同で、お客様の声を聴いてもらう社内向けイベントを行っています。今年は「Well-being」をテーマに事例をいくつか紹介し合いました。
普段は聴くことのできないグループ会社の対応やお客様からの声を聴くことができ、勉強にもなりますし、グループの一員であることを強く意識できる良い機会にもなっています。
――紹介する事例を選定する際のこだわりはありますか。
前田 お客様のお声はさまざまですが、一見ネガティブに聞こえるような内容もしっかりお伝えするようにしています。みんなの知恵を持ち寄って改善していくきっかけになるようテーマも検討しています。
――「お客様の声を聴いてみませんか」を今後どのように強化したいですか。
前田 一度参加した社員の方は、次回も参加する方が多いのですが、まだ参加していない社員がたくさんいます。全社員に「お客様の生の声を聴く」という貴重な体験をしてもらいたいと思っています。
皆さんからよくいただくご質問内容も分かりやすくご紹介
――よくあるご質問内容についてはHPでもご紹介していると思いますが、どういった問い合わせが多いのでしょうか。また、本ページをどのように活用してほしいですか。
羽場 商品の販売状況や、商品や原材料に関する安全性、気温が高い時期は保管方法やいつまで飲めるのかといった飲み方などのお問い合わせや、タイミングによっては時事報道によるお問い合わせなどが多いです。このように日々、お問い合わせの内容を確認し、「よくいただくご質問」の内容を、お客様の関心の高い内容へと入れ替えています。また、5月から、シナリオ型のチャットボットを開始しました。最近は電話やメールでのお問い合わせではなく、お客様自身で自己解決したいと考えられる方も多いため、その一助となるようにHPを充実させています。
URL:https://www.asahiinryo.co.jp/customer/index.html
――他企業の方と情報交換して、お客様対応を高め合っているという話も聞きました。
羽場 お客様対応を向上させるための集まりとして消費者関連専門家会議に参加もしています。さまざまな業界の方が参加されているので、対応事例を伺って、勉強をしています。
参考:https://www.asahiinryo.co.jp/customer/role/
――ご自身の業務を通して、100年先の未来がどうなってほしいか教えてください。
前田 近年「お客様からの声を聴こう」ということが全社員に浸透しつつあり、商品やサービスの開発、改善につながる環境が整ってきています。その状態を継続し、さらに強化していきたいです。また、私たちの活動を通してお客様に信頼される企業にしていきたいですし、100年以上続いている「三ツ矢」「ウィルキンソン」「カルピス®」など歴史ある商品を大切に育て、次の世代につないでいきたいです。
羽場 お客様相談室の業務は、当社がお客様に一番信頼される企業になるため、必要なピース(業務)であると考えます。未来永劫、お客様とは真摯(しんし)に向き合い、さまざまなお問い合わせに対して、誠実・公平に対応をしていき、お客様の満足度向上の一端を担いたいです。
――ありがとうございました!
いかがでしたか?
お客様にワクワクと笑顔をお届けするために日々取り組んでいる私たちですが、きっかけをくださるのもお客様です。これからも皆さんのお声にしっかりと耳を傾け、より高品質なサービスを提供できるよう努めてまいります。