【エッセイ】刃のごとく
口角を切ってしまった。
凶器は開封したての味海苔であった。
パリパリが過ぎる厚手の海苔が唇の端をかすめていった。
はじめは薄皮にあとがついたくらいで傷とも言えない代物だったが、一晩寝ると立派な口角炎になっていた。寝る前にオロナイン軟膏を塗り込んでなお、である。
鏡の前で口元を確認しながら、心の中でつぶやく。
海苔、鋭利なり。
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口角を切ってしまった。
凶器は開封したての味海苔であった。
パリパリが過ぎる厚手の海苔が唇の端をかすめていった。
はじめは薄皮にあとがついたくらいで傷とも言えない代物だったが、一晩寝ると立派な口角炎になっていた。寝る前にオロナイン軟膏を塗り込んでなお、である。
鏡の前で口元を確認しながら、心の中でつぶやく。
海苔、鋭利なり。