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【朝日文庫「名作フェア」】ラインナップ全10作品を紹介!目印は緑の帯
2月上旬より順次、全国の主要書店にて朝日文庫の「名作フェア」が開催されることが決定しました。朝日文庫が誇る、心に残るロングセラー・ベスト10作品を選出。フェアに参加している全作品、それぞれの魅力について紹介します。「つかの間、物語の世界へ小旅行。あなただけの名作を見つけてください。」とある緑色の共通帯がフェアの目印です。店頭でぜひお手に取ってみてください。紹介は著者名の50音順です。
■伊坂幸太郎『ガソリン生活』
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聡明な弟・望月亨とのんきな兄・良男の凸凹兄弟がドライブ中に乗せたある女優が、翌日急死する。望月一家はさらに大きな謎に巻き込まれていき…!? 車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で、謎が謎を呼び不思議が広がっていく、仲良し家族の冒険譚です。解説は津村記久子さんで、「善良な人々を箱庭に入れて愛でるのではなく、悪もひっくるめた世間を渡っていく彼らの姿への信頼と、力強い誠実さが根付いている」と絶賛。文庫刊行から6年後の今も増刷を続ける名作ミステリーです。
■今村夏子『星の子』
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林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。巻末には、野間文芸新人賞受賞後に行われた小川洋子さんとの対談が収録されています。
2020年には芦田愛菜さんが主演で映画化され大きな話題を呼びました。あなたの人生を変えるかもしれない一冊です。
■小川洋子『ことり』
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人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりをよく理解し、こよなく愛する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、世の片隅でつつしみ深く一生を生きた。やさしく切ない、著者の会心作。解説・小野正嗣。
■角田光代『坂の途中の家』
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最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった――。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と〈家族〉であることの光と闇に迫る心理サスペンスの傑作です。解説は河合香織さん。柴咲コウさんの主演でドラマ化もされ、日本を超えて大きな反響を呼びました。
■中山七里『闘う君の唄を』
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埼玉県の片田舎・神室町に幼稚園教諭として赴任した喜多嶋凛。
あらゆることに口出しをしてくるモンスターペアレンツと対立しながらも、自らの理想を貫き、少しずつ周囲からも認められていくのだが……。『護られなかった者たちへ』の著者が贈る驚愕のミステリ。書評家の大矢博子が解説を寄せてくださっています。
■桐野夏生『路上のX』
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一家離散によって幸せな生活を失った女子高生の真由。義父の虐待から逃れ、街で身を売るリオナ。二人は運命的に出会い、共に生きる決意をする。ネグレクト、DV、レイプ。最悪の暴力と格闘する少女たちの連帯と肉声を物語に結実させた傑作。解説は、虐待や性暴力被害を受けた十代の少女を支える活動を行う一般社団法人Colabo(コラボ)の代表である、仁藤夢乃さんに執筆いただいています。
■道尾秀介『風神の手』
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読み進めるごとに反転する出来事の〈意味〉。その鍵を握るのは、一体誰なのか――。
遺影専門の写真館「鏡影館」。その街を舞台に、男子小学生から死を目前に控えた老女まで、様々な人物たちの人生が交差していく――。
数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化する、技巧と世界観。朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む、道尾秀介にしか描けない、その集大成といえる傑作長編小説。
解説を寄せってくださったミステリ評論家の千街晶之さんが「間違いなく、その執筆活動の集大成である」と太鼓判を押す一冊です。
■湊かなえ『物語のおわり』
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妊娠三カ月で癌が発覚した智子、父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする拓真、志望した会社に内定が決まったが自信の持てない綾子、娘のアメリカ行きを反対する水木、仕事一筋に証券会社で働いてきたあかね……人生の岐路に立ったとき、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは――。あなたの「今」を動かす、力強い物語。解説は、『水曜どうでしょう』でおなじみのディレクター、藤村忠寿さんに書いていただきました。湊さんとの意外な共通点も!
■宮部みゆき『理由』
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東京都荒川区の超高層マンション「ヴァンダール北千住ニューシティ」で起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が犯人なのか。事件の前には何があり、後には何が残されたのか――。発表から20年が経過しても今なお読まれ継がれる、日本文学史上に輝く宮部みゆきの直木賞受賞作です。
■綿矢りさ『私をくいとめて』
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黒田みつ子、もうすぐ33歳。一人で生きていくことにも抵抗はなく、悩みは脳内の分身「A」に相談。でも、いつもと違う行動をして何かが決定的に変わってしまうのが怖いんだ……。同世代の気持ちを、圧倒的な説得力をもって描く著者の真骨頂。解説は金原ひとみさん。のんさん主演の映画も、20年に公開され、大きな共感を呼びました。