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2024年7月の記事一覧

ついテレビショッピングで物を買ってしまう…「4つの効果」のカラクリを解説!【行動経済学の超基本】

 テレビショッピングで商品を注文する人は、実物を触って確かめることはできない。画面を通じた売り手の紹介だけで、お金を払う。いわば、番組が営業担当で、商品を紹介し、価格を見せ、購買特典などをアピールするといった、一連の商談と同じことが番組のなかで行われている。  そこには、注文したくなる仕掛けが満載。視聴者が初めて見る商品に関心を持ち、欲しいと思い、実際に購入の手続きをするまでを短い番組のなかで行うために、視聴者の心理にさまざまな動きを生み出す行動経済学の理論が取り入れられて

「無料お試し」のはずがいつの間に…となる前に知っておきたい「無料」で儲かる仕組み

 アメリカの行動経済学者ダン・アリエリーによるこんな実験がある。高級チョコレートを15セント、安いチョコレートを1セントで販売すると、大半の消費者は高級チョコレートを選ぶ。ところが、高級チョコレートを14セント、安いチョコレートを無料にすると、その人気は逆転する。どちらも1セント値下げしただけなのに人気が逆転した理由は、安いチョコレートの値段が「無料」、すなわち0セントになったことだ。  このように、人は「無料」に強く反応。「無料ならば」と心のハードルは一気に下がる。だから

「1日100円」「1カ月3000円」保険に入るならどっち? 買い手の判断を惑わす「フレーミング効果」とは

 人は物事を全方位から把握するのではなく、一つの枠を通して見るかのように一面的な見方をするのが普通だ。同じ対象でも見え方が変われば異なる受け取り方をし、判断が変わることもある。この心理的バイアスが、「フレーミング効果」だ。  フレーミングは英語の「枠(フレーム)」に由来する。厄介なのは、判断は見え方(フレーム)に左右されているのに、自分ではなかなか、それを意識できないことだ。コップ半分のジュースを「半分も残っている」と思うのか「半分しかない」と思うのか、という例はよく引き合

「老いを身軽に生きる知恵」は西行法師に学べ 釈迦から受け継がれた“人生観”とは

■釈迦は「出家」したのではなく「家出」した  今から約2500年前、釈迦が生きていたころのインドで説かれていた代表的な人生観が「四住期」です。これは人生を四段階のライフステージに分ける考え方です。  さて、釈尊の人生に四住期を当てはめてみましょう。ご承知のように釈迦は王族の生まれです。  釈迦族の小国の王子として生まれる。  結婚したのは16歳。妻と産まれたばかりの1人息子を捨てて家を出たのが29歳です。家を出た後、35歳の時に悟りを開き、80歳で入滅します。  こ

「松竹梅」の「竹」を選んでしまう理由 知っておきたい買い物の法則と心理

 お弁当屋さんの店頭やフラッと入った寿司店で、内容と価格の異なる「松」「竹」「梅」の3種類が用意されていたら、あなたはどれを選ぶだろうか。3種類の選択肢が用意されると、多くの人は値段と質が最も高い「松」や、最も低い「梅」を避け、そこそこ安くて品質もある程度いいはずだと考えて、真ん中の「竹」を選ぶ傾向がある。しかし、「竹」が「そこそこ安くて品質もある程度いい」という根拠はどこにもない。  しかし、行動経済学の基本を知っていれば、根拠もなく「竹」を選んでカモになることを避けるこ

“悟る前”のブッダの人生にこそ老いを楽に生きるヒントが 老病死が近づく「林住期」の重要性

■「悟る以前の釈迦」と「悟った釈迦」の二分法では見えてこないもの  私たちの生き方のヒントは、悟る前の釈迦、俗人釈迦の生き方にこそあるというのが私の主張です。  仏教は今から約2500年前に釈迦によって説かれるようになりました。その頃、インドのいわゆる知識人の間ではバラモン教(ヒンドゥー教)が主流を占めていました。つまりインドでは、仏教以前から出家者によって重要な人生観が説かれていたわけです。  その代表的な人生観は「四住期」です。これは人生を四段階のライフステージに分

なぜ「レジ前のお菓子」を買ってしまうのか?企業のカモにならないための“行動経済学の超基本”

「レジ前」に置いてあるちょっとしたお菓子をつい買ってしまう。「10%割引」と「10%ポイント還元」なら後者を選ぶ。こんな経験はないだろうか。  これらはいずれも、「心理的バイアス」に誘導された不合理な消費行動だと考えられている。厄介なのは、こうした不合理な判断は人の脳に刷り込まれていて無意識のうちに下されているため、理性だけではくつがえせない、ということだ。これを正すには、不合理な判断の「パターン」を知る必要がある。  値上げラッシュが続く中、あの手この手の期末セールで「