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2022年6月の記事一覧

“死に方”を決めれば“生き方”が見える 「ピーターの法則」が示す“死なない生き方”

■「ピーターの法則」が教える組織の死 「死」には、「生物学的に機能を停止する」という意味と、「社会的に活動を終える」という、2つの側面があります。 「死」を考える上で、組織で長年働いてきた皆さんが想像しやすいのは、後者の「死」ではないでしょうか。ですから、まずそこから始めていきたいと思います。 「ピーターの法則」と呼ばれる、組織に関する法則をご存じでしょうか。  ひと言で言えば、「あらゆる組織は無能化する」というものです。なぜかというと、時が経つにつれて、階層社会のす

なぜわずか1世紀で人の寿命は54年も延びたのか?【スティーブン・ジョンソン著『EXTRA LIFE』】

 2020年、新型コロナウイルスCOVID-19が世界をパンデミックに巻き込んだ。その混乱はいまだに収まっていない。  ちょうど100年前にも、いわゆるスペイン風邪が世界中で猛威を振るい、死者は世界人口の5パーセント超に達したともいわれる。この狂暴なウイルスと世界大戦という人間の暴力が相まって、文明そのものが破滅するというシナリオもありえた。  ところがそうした暗い予測とはうらはらに、この100年は長寿化の世紀となった。そもそもホモサピエンスの平均寿命は、石器時代からこの

過熱するNFTの可能性 法規制から考えるNFTビジネスの現在地

■NFTの法規制は「地図」がない状態  私たち企業法務弁護士は、どうやったら日本の法制度を守りながら国内でこれまでにない新規ビジネスを展開できるか、という部分のいわばガイド役も務めています。  そのニーズがいま最も高いビジネス分野の一つがNFTでしょう。ブロックチェーン技術を活用するNFTは、その概念自体が新しいものなので、明示的な法律はもちろん、行政指導や訴訟などの前例もなく、その取引がどのように法解釈されるか、またその事業にはどんな法規制が適用されるのか、事業者にとっ

【試し読み】生活困窮者支援で注目集める座間市の取り組みとは?/篠原匡『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』

 神奈川県中部に位置する座間市。人口13万人ほどの小さな自治体だが、今、生活困窮者支援の取り組みで全国から注目を集めている。同市生活援護課は生活保護や就労支援、子どもの学習支援など様々なサービスを提供し、その試みは新しい。職員自ら、既に困窮状態になっている住民だけでなく、その予備軍にも救いの手を差し伸べている。座間市生活援護課は「どんな人も見捨てない」がモットーなのだ。  なぜこのようなきめ細かな対応が可能なのか。その理由は、座間市が、ともすれば対立しがちなNPO法人などの民

リモート会議の「伝わらない!」を変える小さな習慣とキラーワード

 ラジオでは、基本的にラジオの向こう側にいるリスナーを想像しながらお話ししています。  同じ空間に居なくても、距離を感じさせないように気を付けていることは、臨場感と「この人の話に耳を貸そう」と思わせるための工夫です。これは、リモートでのコミュニケーションにも応用できるところがあり、「ちゃんと伝わっているか不安」「うまく話せない」「無駄に緊張する」など、お互いのストレスを減らせると感じています。  リモートにおいて、「まずはこれだけ意識しておけば大丈夫!」と私が最も大切にし

いよいよ本格するトークンエコノミー 主役となるNFTがもたらす「革命」とは?

■NFTが一過性のブームで終わらない理由  ブロックチェーン技術を使ったNFTは、最も成長が期待されている「デジタルビジネス」のど真ん中にあると言っていいでしょう。いまこの瞬間も世界中のベンチャー、ユニコーン企業に巨額の投資が集まっていて、大企業も日本ではラインやメルカリ、ヤフー、海外ではGAFAなどが本格的な事業化に向けて活発に動き出しています。  一方で、ビットコインなどの暗号資産(こちらは代替性トークン)の売買が当初そうであったように、NFTのアートやトレーディング

「この人と話すと気持ちいい」と思われる“想像力”の鍛え方

 ラジオの音楽番組では、本番前に、オンエアする楽曲リストがディレクターから渡されます。  1990年代半ば、「ビジュアル系」と呼ばれるロックバンドがブームでした。そして正直に明かすと、そのころ新人だった私はビジュアル系と呼ばれる音楽をあまり好きになれないでいました。  その日の曲目リストには、とあるビジュアル系バンドの曲が入っていました。 「ああ、新曲なんですね、へえ」  自分では努めていつもどおりに振る舞っていたつもりでしたが、気のない感じが出てしまっていたのでしょ

“人事の天才”天武天皇が断行した驚愕の一大リストラとは

 白村江の敗戦からわずかに9年、我が国は未曽有の内乱を経験することになる。672年の夏に起きた壬申の乱がそれだ。  この内乱は、671年12月に46歳で没した天智天皇の後継の座をめぐって発生した。天智の弟である大海人皇子が、天智のむすこ大友皇子を激戦のすえに破り、即位して天武天皇となった。  天武の勝因は、天智が推進した急進的な改革(いわゆる大化改新)に不満をもつ中央の中小の豪族や地方の豪族たちが天武を支持したことにあると言われることが多い。天武は彼らの不平不満に耳を傾け

小論文試験で大切な「具体的に書く」とはどういうことか?

■相手の頭に状況がはっきり浮かぶように 今道:小論文は、読む人がすぐに理解できて、納得できるように書くことが大事です。それを最大の目的にして文章を考えます。そのために大切なことは「具体的である」です。このことが出来ている人は少ないです。それに、一度指摘しても簡単には直らないです。 もとゆき:結構ハードルが高いんだ。 今道:その上、具体的に書けているかどうかは、答案の印象をかなり左右するんです。まず、例をあげてみましょう。教員採用試験で出そうな問題です。 もとゆき:僕が

あの2文字は禁句! NHKアナウンサーから学んだ感じのいい話し方

 ラジオ番組などで、これまで、たくさんの方のインタビューをしてきましたが、「この人と話すとすごく気持ちいいな」、「つい色々と話してしまう」と思う方の共通点を探っていくと、思い当たることがあります。  それは、こちらが投げかける質問の答えが必ず「はい」から始まることです。  たとえば、こんなやりとりがあったとします。 「Aさんって、カバンの中にいつも本が入ってますよね。読書家ですよね」「はい、なかなか読む時間がないんですけどね」  こちらでは、どうでしょう。 「Aさん