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2021年11月の記事一覧

【マンガ】認知症になった父の表現が文学的ですごい! 「宇宙のなかで完全なもの」と言われた娘

■宇宙のなかで完全なもの  ある日、あさとさんが台所で洗い物をしていると、ダイニングに座っていたお父さんがこう言います。 「ひわは この宇宙のなかで 完全なもの、って感じがするんだ」  あさとさんは思わず洗い物の手を止めます。そしてこの日の帰り道、「ずいぶんとスケールの大きい話でした」とお父さんの言葉に思いをはせるのです。  著者のあさとさんに、お話を聞いてみました。 ――認知症になる前のお父さんも、こんな素敵な言葉を言ってくれたんですか?  いえ、ありませんでし

野村克也氏がボヤき続けた決断に「神のお告げ」退団まで…プロ野球「暗黒時代」の歴史

■高橋ユニオンズは3年間で消滅、権藤正利は怒涛の28連敗を記録  わが世の春を謳歌するチームがある一方で、どんなにもがいても、あがいても、真っ暗なトンネルから抜け出せない暗黒時代に苦しむチーム、選手もいる。  1954(昭和29)年、球界再編騒動によって誕生した高橋ユニオンズ。「日本のビール王」と称された高橋龍太郎オーナーが、球界発展のために私財を切り崩してチーム運営をしたが、創設初年度の54年こそ53勝84敗3分で、8チーム中6位になったものの、55年は勝率.300、5

『平家物語』から読み解く 中世の人々が本気で怖れた「地獄堕ち」

 死後、遺族が執り行う法要が死者に下される審判に大きな影響を及ぼすのだとしたら、家族や親しい人のいない死者は誰にも供養されず、厳しい審理を受け、減刑もされずただ結審を待つだけということになってしまう。情状酌量もないまま、いわれのない罪で地獄に堕ちてしまうこともあるかもしれない。  幼少時から閻魔王の存在に興味をもち、地獄について研究してきた国文学者で地獄に詳しい星瑞穂さんが、著書『ようこそ地獄、奇妙な地獄』(朝日選書)で解き明かした「閻魔王」の正体に「死後のスケジュール」の

プロ野球界から異業種への転身 公認会計士、宅建士、ライターだけじゃない意外な転職先

■うなる16文、「世界の巨人」から「ブルース・リーと戦った男」まで  現役引退後、プロ野球の世界から異業種に転身して、成功を収めた選手も多士済々だ。その筆頭として忘れてはならないのが1955(昭和30)年から59年まで巨人に在籍していた馬場正平。そう、後に「世界の巨人」として国際的存在感を誇ったプロレスラー・ジャイアント馬場だ。56、57、59年と二軍では最優秀投手賞を獲得する逸材だったが一軍では結果が残せずに現役を引退。その後、力道山率いる日本プロレスに入門し、その巨体を

発売49年目!「プロ野球チップス」の知られざる歴史

■発売49年目のロングセラー 「今度は誰のカードが出るのかな?」と期待と不安とともに袋を開封する喜びと興奮。友達と交換したり、コレクションしたり、昭和、平成、令和と、時代が変わっても、その快感は不変だ。子どもも大人も魅了する僕らのプロ野球チップスカード。カード作りにかかわる三井剛さんに話を聞くためにカルビー株式会社を訪ねてみた。 「元々は1971(昭和46)年発売の『仮面ライダースナック』のオマケとしてカードをつけたことがキッカケでした。それを受けて、73年にカードつきの

【文庫化記念】父・井上光晴と母・郁子、瀬戸内寂聴がモデルの問題作『あちらにいる鬼』井上荒野さんインタビュー

 井上荒野氏の『あちらにいる鬼』がこの度、文庫化された。本作のモデルになったのは、井上氏の父である戦後派の作家・井上光晴と母の郁子。そして光晴の愛人だった瀬戸内晴美である。光晴と瀬戸内の愛人関係は隘路に入り、それを打開する手段として瀬戸内は出家。法名「寂聴」となった。瀬戸内は愛人関係にあった頃に何作か二人の関係を小説化し、出家したのちも『比叡』などの作品に結実させている。だが当時は愛人である男の職業を変えるなど配慮しており、文壇関係者以外にはあまり知られることはなかった。井上

がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点とは?

 2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がんで亡くなる時代。さまざまな研究が進むなか、「がんと心の関係」でも、多くのことが明らかになってきました。「精神腫瘍学」という、がん患者の心のケアを専門とする精神科医で保坂サイコオンコロジー・クリニック院長の保坂隆医師。2016年に刊行した著書『がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点』(朝日新聞出版)でも、がんと向き合うときの「心のあり方」の重要性について説いています。がんでも長生きする人たちの「心」には、どのような共通点がある

初七日と四十九日は何のためにあるの? 死後のスケジュールとは

 人が亡くなった後に執り行われる、初七日や四十九日。いったい何のために行うのか知っているだろうか? 幼少時から閻魔王の存在に興味をもち、地獄について研究してきた国文学者の星瑞穂さんが著書『ようこそ地獄、奇妙な地獄』(朝日選書)で明かした死後のスケジュールとは?  罪の深さを裁く閻魔王がいるのは実は、地獄ではなくその手前だ(この世界を「あの世」と「この世」の境目として「中陰(ちゅういん)」や「中有(ちゅうう)」と呼ぶ)。  閻魔王は、「あの世」を司る10人の王、「十王(じゅ

元開成中学・高校校長に聞いた「中学受験で親が気をつけたい3つのポイント」

 中学受験をする子どもが増えています。一言に受験といっても私立、国立、中高一貫、男子校、大学附属など、さまざまな選択肢があります。東大合格者数40年連続日本一の開成中学・高校の元校長で、現在は北鎌倉女子学園の学園長を務める柳沢幸雄さんは、著書『男の子を伸ばす母親が10歳までにしていること』(2018年、朝日新聞出版)の中で、学校選びで一番大事なのは親子で十分に話し合い、最終的に子どもが決めることだと述べています。中学受験で親が気を付けたいポイントについて伺いました。 (1)