【文庫化記念】父・井上光晴と母・郁子、瀬戸内寂聴がモデルの問題作『あちらにいる鬼』井上荒野さんインタビュー
井上荒野氏の『あちらにいる鬼』がこの度、文庫化された。本作のモデルになったのは、井上氏の父である戦後派の作家・井上光晴と母の郁子。そして光晴の愛人だった瀬戸内晴美である。光晴と瀬戸内の愛人関係は隘路に入り、それを打開する手段として瀬戸内は出家。法名「寂聴」となった。瀬戸内は愛人関係にあった頃に何作か二人の関係を小説化し、出家したのちも『比叡』などの作品に結実させている。だが当時は愛人である男の職業を変えるなど配慮しており、文壇関係者以外にはあまり知られることはなかった。井上