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2020年4月の記事一覧

余暇のさらに余った暇に

取りこぼしたものたちを
ひとつ、ひとつ、拾って
あちらのはカラスに、
こちらのは野良猫に
突かれて、転がされて
欠けてしまって

無視しろよって言われて
それが大人なんだと思ってたから
ずいぶんと
待たせてしまった
こんなに黄色くなってしまって
部分的には茶色くなってしまって

それでも君たちは
僕だけのもの

あちらのはあの子に
こちらのは彼らに
あげてしまったと思っていた
あげることなど出来な

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朝飯は簡単

和尚さん
やさしく晴れた春の日に
お鈴にご飯をてんこ盛りにして
ひとりぼっちで食べてたわ

昨日な、ごっつぅごつい空飛ぶ円盤が
町中の皿ぎょうさん吸い込んで飛んでかはった

そんな話を花にして
ぽりりと素直に咀嚼された浅漬けに
野菊は白くて可愛い顔を
素知らぬ顔してむけていた

オフィスの窓

今日は、トーストを焦がしてしまった
コーヒーもあまり美味しくなくて

8回もエクセルがかたまり

10時にストッキングが伝線したけど
ロッカーに予備は入ってなかった

補充している最中に
コピー用紙で手を切り

ふと目を離したすきに
上司が部下と駆け落ちをして
3時のケーキには犬歯が入っていた

窓の外は夕陽で燃えていた
遠くで鐘が鳴っている
気がする

ホワイトボードが大きな音をたてて落ちる

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夢の話

夢の中でずっと、私は起きていました。
街灯の下でずっと、あなたが眠るのを待っていました。

白いものがちらちらと、光の輪郭を見せるので、
雪かな、と思ったのですが、
それは、まるく膨らんだ花がはらはらと、
散っていく姿でした。

細い枝は三羽のカナリアにゆらされ、
まるで手を伸ばせばあなたの髪に触れそうな香り。

カナリアたちは、
ほうしゃれいきゃく。
と、鳴いて、黄色い体を闇の中へ溶かしました。

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指の煙

指の煙

橋の上から眺めていた
弦を押さえている静かな力
タバコのような指
火をつけたら どんな香りで煙るだろうか

あおいあまい にがい

鴨川には誰もいない

橋の下は風が吹いていた
弦を滑る静かな力
かじかんでくる指
火がつくまで 歌い続けられれば

空が白んで来て あかあおきいろい

鴨川には誰もいないけど

このまま明日も