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浅田の厨房のはなし。  調味料編

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日本料理の味わいを作る 〜調味料編・砂糖と甘味〜

 料亭浅田編集室が、日本橋浅田の厨房を取材しました。日々、選び抜かれた旬の食材を用いた料理の数々が作られている料亭浅田の厨房、気になるのはプロが使っている調味料です。プロの料理人が、特別高価な調味料を使っているわけではないという話は、様々な料理書やWEBコンテンツでも紹介されています。浅田では、どのような調味料を使っているのか、日本橋浅田の梶本智料理長に聞いてみました。

「まずは砂糖をはじめとした甘味をつける調味料を並べてみました。料理には、上白糖と三温糖を使うことが多いのですが、日本橋浅田の厨房には、砂糖9種類、甘味料2種類、赤酒、みりんがあります」(梶本料理長)

 料亭浅田は、赤坂浅田をはじめ各店舗が浅田の暖簾の味わいをしっかりと受け継ぎ、それぞれの店で調理しています。日本料理は、ほかの国の料理に比べると砂糖や甘味をよく使う料理。浅田の加賀料理も、元来は上白糖を主として、必要に応じて甘味を使い分けていたそうです。受け継がれる伝統の料理も、時代とともにお客様の好みに合わせて、少しずつ変化します。浅田でも、料理人たちが日々研鑽を重ね、各店舗の料理長が工夫しながら浅田らしい味わいを作り上げています。

砂糖は大きく2種類に分かれる。

 ここで砂糖について少し調べてみました。基礎知識のようなものです。原材料は「さとうきび」と「てんさいとう」、製造方法で「精製糖」と「含蜜糖」の2種類に分けられます。

 「精製糖」は、精製する工程で不純物やミネラルを取り除いて、甘味成分のショ糖だけを結晶化させたもので、色が白く癖がないのが特徴です。代表的なのが、上白糖、グラニュー糖。また、少し茶色がかった三温糖や中双糖も精製糖の仲間です。

 「含蜜糖」は、精製の工程でミネラルを分離せずに、絞った液をそのまま煮詰めて結晶化させたものです。茶色く、独特の風味があり、ミネラル分(カリウム、カルシウム、鉄など)を含んでいます。黒砂糖、きび砂糖、和三盆などがあります。

それぞれの砂糖の特徴は。

まずは「精製糖」から、その特徴と一般的な使い方などを紹介します。

・上白糖

白い砂糖で、日本料理でもよく使われています。料理だけでなく、デザートなど、幅広く使われます。

・三温糖

やや茶色く、コクがあり香ばしい風味も感じられます。茶色は、糖蜜をカラメル状にしてつけています。ミネラル分は含まれていません。煮物や照り焼きなどに使われます。

・氷砂糖

結晶が大きく、溶けるのに時間がかかります。果実酒や梅酒などをつくる時に使います。

・グラニュー糖

白くサラサラとして糖度が高く、コーヒーや紅茶の甘味として、お菓子作りなどにもよく使われます。

・粉砂糖

グラニュー糖を砕いて粉末状にしたもので、フルーツにかけたり、ケーキの仕上げなどに使います。

・中双糖

白双糖にカラメルがコーティングされていて、風味があります。煮物や麺汁などに使います。

続いて「含蜜糖」の特徴と一般的な使い方です。

・きび砂糖

さとうきびを絞った液を精製してから煮詰めて作ったもので、ミネラル分を含みます。煮物やお菓子作りに使います。

・黒砂糖

さとうきびを絞った液からゴミなどを取り除き、そのまま煮詰めたもので、きび砂糖よりもミネラル分を多く含みます。お菓子作りなどに使います。

・和三盆

正式名は、和三盆糖で、さとうきびから作られます。お盆の上での「研ぎ」という作業に3日間を要することから「和三盆」と呼ばれています。上品な甘さで、和菓子などに使われます。

厨房にあったその他の甘味について。

・ラカント

スーパーマーケットでも見かける甘味料です。羅漢果(ラカンカ)の高純度エキスと、とうもろこしの発酵から得られる天然甘味成分「エリスリトール」の2つから作られた、カロリーゼロの自然派甘味料。

・トレハロース

きのこ類や酵母などに含まれる自然界に存在する糖で、とうもろこしなどのでん粉に酵素を作用させて作られます。

※浅田の料理では、この2つを日常的に使うことはありませんが、日本橋浅田では朝食のデザートの一部や、ロカボ・メニューなどに対応した料理に使うことがあります。(梶本料理長)

酒とみりんについて。

 煮物などには、欠かすことのできない酒とみりんですが、ここでは甘味の観点から、赤酒とみりんをご紹介します。

・赤酒

熊本の地酒で「灰持」という製法で作られます。料理に使うと上品な甘味や香り、仕上がりが良いとの評判が広がり、現在は全国で多くの料理人に使われています。

・みりん

元来、米麹、餅米、米焼酎を材料とした甘いお酒の一種でしたが、近年は調味料として作られているものが多いようです。日本料理の煮物に、よく使われています。つやを出す役割も担います。

 さて、日本料理では多くの献立で、食材の味わいを引き出すために、料理をよりおいしく食べるために、砂糖と甘味が使われています。次回は、浅田の朝食レシピを振り返ってみたいと思います。

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参考

三井製糖

日本甜菜製糖

日新製糖

伊藤忠製糖

第一糖業

調味料の百科事典

たべるご

Medi Palette

シュガーラボ

パールエース

ロカボ












 

  

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