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海外事例から考えるD2Cブランドの未来 #イベントレポ

「海外事例から考えるD2Cブランドの未来」イベントに参加してきました。

参加を決めたきっかけは日経新聞の記事D2Cという、小売を介さない消費者へのダイレクトなビジネスの可能性とリアルな現場について知りたいなとおもい申し込みを決めました。

到着早々に #スナックミー のお出迎えでテンションは爆上がり(笑)。

お菓子という「プロダクト」を介したコミュニケーションのサブスクリプション型ビジネス。思いがけないおみやげのおかげでイベントへの興味も期待値もあがりました。

(もったいなくて食べられない・・・ビールに絶対、あうはず!)

いよいよ開始です。

*登壇者とスナックミーの紹介

登壇されたのは服部 慎太郎さん。

スナックミー「じわじわ系」活動で地道に数字を伸ばしているのだそう。顧客からのフィードバックをA/Bテストと呼ばれる検証方法でデータ蓄積し、おやつの内容を決定。

答えれば答えるほど「自分の好みにあった」おやつが届く仕組み。無回答の顧客にはランダムに選んだものを送っているそうです。こうして顧客データからサービスをカスタマイズできる。

データ検証し、活用しながら改良を繰り返すベストモデルだなと感じました。

*D2Cへの思い込み

よくある「D2Cへの思い込み」にも話題は及び。

大手が全リソースを投入してつくりあげた「品質・価格」のスケールの大きさはやはりすごいと。立ち上げ時期は機動力があるスタートアップやB2Cが先手を取りやすい一方、スケールアウトするには「オフライン」の面や回数ではやや後手をとるケースがみられるそう。

*DSCとHarry'sの戦略の違いとは?

具体的な海外事例に。イベントに先立ち、参加者はみな服部さんのこの記事を読み込んでいたのですが。

実物をさわらせていただきました。

高品質をうたい、スタイル重視な顧客がターゲットのHarry's。経営方針や販路、工場選定にも一貫した哲学があり。

ブランディングをしっかりすることでチェーンレートを上げる。これはバリューチェーン(付加価値をうむ機能を分析すること)を理解し、どこに差別化のポイントを置くかがキモに。

対するDSC。便利さとリピートをうむ顧客基盤を打ち出す施策で、消耗品と周辺コンテンツを定期的に届ける仕組みを確立。

ひげそりと一緒に読み物がついてくる。モテる方法とか「いらないプレゼントのリサイクル方法(!)」など。

同じ市場でありながら大手にひけをとらず、それぞれの強みをいかした戦い方でシェアを伸ばしていけるD2C。視点を変えることでサービスは無限にうまれます。

*海外事例を見る際に注意すべきこと

海外事例を日本で応用するときに必要なのはバックグラウンドや業界構造の違いを理解すること。服部さんご自身は海外事例を自社のスタッフ(インターン)に集めてもらい「独自の視点や目的」という軸からみているのだそう。

*日本市場にもフィットしそうなブランドは?

いわゆる「お楽しみ箱」としてのサブスクリプションサービス(他社商品のアッセンブル)に加え、サプリメントのRitualというブランドに注目していると。かつて服部さんが記事に取り上げておられたのでご紹介します。

サプリメントを利用していなかった顧客に「インスタ映え」という側面でリーチし、競争激しいサプリメント市場において無消費からニーズを作り出して、新しい市場を創造。

*サブスクにおける「飽き」に対する打開策はある?

パッケージや冊子(コンテンツ)を変えたり、「次が楽しみになる」予告をいれたり。プロダクトを変えても「体験」が一緒では飽きてしまうから常に変化を仕掛けていく。

好事例として「FabFitFun」。サブスクリプションのプラットフォームでオペレーションも外注できる。ちらっとみましたがコミュニティ機能や動画チャンネルをもち、プラットフォームとして楽しめる設計でした。

プロダクトそのものだけでなく、コミュニティに属するサービスやコンテンツが充実しています。

*D2Cブランドがスケールする上で必要なことは?

チャネル(媒体、経路)を拡げること。せっかく需要があっても届かなければコンバージョン(売上などの成果に転換)しなくなる。認知されるためにはオフラインでの実店舗マスの広告が必要になってくる。

*D2Cとインフルエンサーの最適な関係は?

むしろオーガニックなファンを増やすことを重要視している。めちゃくちゃ好きでいてくれる、自分から「語り始めてくれる」「紹介してくれる」関係構築。参加型のコンテンツを提供。

コミュニティはコアなファンがひとりでもいたら成り立つ。

*参加してみて・・・

すべての行動に根拠がありました。

服部さんは事例の検証力に強く(ご経歴からも察しつつ・・・)データ分析と活用がほんとうに好きで、徹底的に数字から評価を算出をしていることが講座全編から伝わってきました。

損益分岐点は最初に計算していること。マーケティングの仮説検証をするために「あえて広告をとめる」時期を設けてバイラル(口コミでの広がり)するかで商品力を測ったこと。

#スナックミー は顧客からのフィードバックをベースに商品選定をおこなっているというエピソードでも「はじめは社内で声を聞いていたんですけれど、嗜好が多様だったから僕たちで評価を決めずに顧客からの声を拾っています」とおっしゃっていたのが印象的でした。

SKU(商品の種別による在庫管理単位)が多いと管理が煩雑ではないですか?の問いかけには「百数十あるSKUのうち、入れ替えは10%程度なのと基本的に受注生産方式をとっており需要はある程度よみやすいので廃棄率は低いです」と即答。そのロジカルさにうならされました。

とどめは組織体制も「必要な役割」ありきで採用募集をかけたくだり。完全に「7人の侍」(昭和がうんだ黒澤明監督の名作)方式でした。

服部さん、モデレーターの最所あさみさん(抜群の質問力ですばらしい進行をつくってくださいました)。企画くださったnote(ピースオブケイク)のみなさん。本当にありがとうございました。

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Asako Yamada(山田 麻子)
トリスと金麦と一人娘(2023 春から大学生になり、巣立ちます)をこよなく愛する48歳。ぜひどこかで一緒に飲みたいですね。

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