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書写行為の可視化<AS生作品紹介・その4>

阿佐ヶ谷美術専門学校・研究科生の修了制作の作品を紹介しております。今日はY.Dくんの作品です。文字を書く=書写行為の持つ魅力について、これまで様々な文字の研究や、体を動かした軌道が残すビジュアル表現の追求をしてきました。

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私は、12年間、剣道を続けている。剣道の試合の中での選手たちの身振り手振りは、非言語によるコミュニケーションのようで、相手の恐怖心や不安を引き出すこともできる。

一方、文字というテーマについての私の考えでは「文字はコミュニケーションの方法と同時に、文字(書体)も身体の動作の軌道」である。このアイデアに基づいて、文字の中に内包する身体性(Embodiement)の要素、すなわち書写行為のプロセス、リズム、筆圧など、身体運動の視点からのコミュニケーションデザインを考え、身体とコミュニケーションの関係性を再考してみる。書写行為は、創造行為の一つであり、文字の形作られた動きや行為が、そのデザインとして含まれていることに面白さを感じている。

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文字の「表情」は、「書写」で作られる。

例えば、激しい相撲の試合を見るときに、観衆たちは力士の動作を見ているうちに勝手に体が無意識に動くことがある。その共振する身体の生まれる理由には、体の動くプロセスが関係している。

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「書写は単なる技術ではなく、愉快な身体の経験である」

フランスの哲学者、ロラン・バルトは書写行為の体験を再検討した。

書写とは、人間の諸行為のなかで、道具やメディアによって文字を書き取る行為として考えられる。文化や国によって、書き順や方法も違っている。その書き写しの方法は文字の形とは大きな影響を与えると同時に、文字の非言語的要素を無意識に感じさせ、文字の元となっている身振りや手ぶりを読むように、それぞれの「表情」を作り出している。

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筆で描かれた文字、石碑に刻まれた文字、空中に光で描かれた文字などを研究し、さまざまな文字の書かれた背景にある書写行為について考えてきたY.Dくん。

最新作の動画の作品も阿佐ヶ谷美術専門学校オンライン卒業制作展で2/21から公開予定です!https://www.asabi-sotsuten.com


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