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誹謗中傷について考えてみた

ある日、Xのアカウントで匿名のメッセージが飛んできた。

「鼻プロテーぜですか?アップノーズすぎません?」

胸を抉られたような痛みが走った。
大抵のことは寝たら忘れるタイプなのだが、この言葉だけは寝ても忘れられなかった。
むしろ日に日に私を苦しめてくる。

傷ついた。

でもなぜこの言葉でこんなに傷ついたのか。
それを解明しなければ前に進めない気がした。
私は自分と、この言葉と向き合って考えてみることにした。

『アップノーズ』

ググってみると、

『正面から見ると鼻の穴が目立ちやすい状態。豚鼻と呼ばれることもある。』

なるほど。
私の鼻は豚鼻に見えるのか。
自分で調べたくせに、2度傷ついてしまった。

私は2児の母で、美容アカウントとは別にXではママ垢もある。
実はこのママ垢で一度大炎上したことがあり、その時に外野から散々ひどいことを言われた。
その中には私の人格を否定するものもあった。
だけど不思議と何を言われてもさほど傷つかなかった。
そういう意見もあるのか〜、とか、変な人もいるな〜と受け流せた。
じゃあなぜ今回の「アップノーズ(豚鼻)すぎる」にこんなに傷ついたのか。

それは間違いなく、そこが私の中の「地雷」だったから。
鼻は昔からコンプレックスだった。
6、7年前にヒアルロン酸注入と鼻尖形成という整形を2回した。
鼻尖形成は自分の耳の軟骨を鼻先に移植して、鼻先をツンとさせる整形。
でもかなり前なので軟骨は吸収され、今では後戻りしてしまっている。
鼻根は低くて鼻の穴は大きいし、確かに言われてみれば豚鼻だ。
メイクで誤魔化せないこともないけど、メイクだけでは限界がある。
整形も考えたけど、母親をやっていたらお金も時間もない。
何年か前の独身の頃の私は、容姿への執着がとても激しかった。
四六時中、鏡を見て、もっとここを変えたい、もっとここをこうしなきゃと常に考えていた。
「アップノーズ」なんて言われようもんなら、慌てて整形していたと思う。

だけど今の私は違う。
違うというより、変わらなきゃいけなかった。
家庭を持ち、大事なことの優先順位をつけるようになって自分の容姿はそれこそ後回しになっている。
母親になるとはそういうこと。
そうせざるを得なかった。

だけどせめて「可愛いママでいたい」「子どもが誇れるママでいたい」そんな思いから、人一倍、美には気を遣っていたつもりだった。
お金はないけど、少しのパート代でなんとかやりくりし、コスメを買ったり、スキンケアを頑張ってきた。
本音を言うと、時間とお金があれば整形しまくりたいけども。
本音を言うと、コンプレックスをしらみ潰しのように潰して、完璧な自分になりたい。
でもそんなことは今の自分には到底できない。
だから、自分なりでいい。
自分なりに可愛くいられる努力をする。
丁寧にスキンケアして毎日メイクをして、テンションを上げて毎日似合うメイクや服を研究する。
これが今の私にできる最大限の美容。
そんな中、自分なりに頑張っていたところに、あの言葉が刺さった。

あの言葉で傷ついてから、私は実は自分はコンプレックスの塊なんだということを思い出した。
自分では意識しないようにしていたけれど。
メイクでごまかしごまかしやってきたけど、本当はメイクでは限界があることもとっくにわかっていた。
コンプレックスだらけの自分。
そして気にしていることを指摘されたらすぐに傷つく弱い自分にも絶望した。

1人うなだれているところに、ふと見ると3歳の娘が夢中になって鏡を持ってお化粧をしていた。
先日クリスマスプレゼントにキッズ用のメイク道具をあげたばかりだった。
見ると、顔じゅうチークと口紅だらけで真っ赤になっていた。
笑みがこぼれた。
私が毎日メイクしているところを見て覚えたんだなあという愛おしさと、上手く使いこなせていない面白さ。
それを見ているとなんか全てがどうでもよくなった。
いいじゃないか、なんでも。
自分が楽しくて満足できたらなんでもいい。
他人に何か言われて落ち込むなんてタブーだ。
美容とはそうあるべきだろう。
そう吹っ切れた。

人は誰しも触れてほしくない「地雷」があると思う。
私なんて地雷だらけだ。
そして容姿には特にいっぱいあるということを今回気付かされた。
そもそも人の容姿に口出しをすべきではないなと改めて考えさせられた。
それがその人の地雷だったとしても、そうじゃなくても。
人の容姿には言及すべきではない。
たまたま失礼な人に当たっただけだが、今回はいい勉強になった。

他人から見たら、少々顔のパーツがおかしくてもこれが私だし。
他人から見たら、ツヤツヤテカリすぎていても、私はツヤ肌が好きだし。
他人から見たら、前髪ガチガチすぎて変でも、私は好きでやっているし。
これでいいのだ。
全部これが私。
これが私の可愛いと思う、私。
何を言われても揺るぎない、自分なりの「可愛い」を貫く自分でいたいと思う。

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