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◆わたしが銀鱗 高槻商店を推す理由

国道235号線。
優駿王国・日高の新ひだか町、その海沿いを走るこの道路を、浦河方面に向けて下っていくと、東静内に入ってすぐ進行方向に向かって右側に【銀鱗・高槻商店】は在る。

わたしがこの店を推そうと思ったのは、創業から四代目を数える現店主が中村獅童似のイケメ…
いや、違う。そうじゃない。
いや、それもちょっとはあるが。

シンプルにウマイのだ。
それもほとんど、全ての魚が。

わたしは銀鱗によって、魚の好き嫌いがほぼなくなった女なのである。
思えば出会いは、こんな魚からだった。

【銀鱗特製・大とろしめ鯖】

あの頃、光り物の全てが苦手であった。
殊に、このしめ鯖ってやつ。
酸味が苦手なところへ持ってきて青魚特有の血合いの匂い、そして臭みがどうしようもなく苦手である。更に、ものによっては身がパサパサなのだ。
食べて食べられないことはないが、買う人の気が知れない、というレベルであった。

ところが、結婚して間もなくのある日、夫が銀鱗さんで入手したのだというしめ鯖を出してきた。

銀鱗の【特製大トロしめ鯖】

夫と銀鱗の大将は、古くからの懇意である。
わたしも彼がお魚屋さんであることは知っていたが、正直少し敷居が高かったのだ。
いずれにせよ、この時は夫のチョイスがわたしの好物である『ほっけ』でも『カレイ』でもないことにがっかりした。
しかしまだ結婚したばかりで初々しかったその頃は、夫がわざわざご友人から購入したものに文句など言えない。
半ば仕方なくスライスして夕飯で食すことにした。

まずは醤油で。
「あれ…?臭みがない…?てか…何?この脂乗り……」
横で うん、うめえ!と感嘆した夫が、ねぇねぇねぇ、オリーブオイルかけてみようよ!と宣っている。この男は新しい食べ物に出会うと、すぐに自分のお気に入りの調味料を試したがるのだ。
いや、しかしこの爽やかな酸味と臭みのない脂。確かにオリーブオイルに合うかも知れぬ。
「……!!! 美味すぎん!?」

そう、美味すぎた。
噛むとぷりっとした歯ごたえと共に口に拡がる爽やかな酸味と臭みのない脂の旨味がオリーブオイル&スパイスと絶妙に合う。
これがオニオンスライスや大根と合わさると、思わず「うんまっ!!!」と叫びたくなるマリアージュだったのだ。
夫がこのことを大将に報告したところ「オリーブオイル、いいねぇ!」と仰り、オススメの食べ方にオリーブオイルを入れてくださるようになった!と夫は嬉しそうに言っていた。
ちなみに、鯖と言えば【銀鱗特製・スモークトロ鯖】もべらぼうにうまい。

銀鱗のスモーク鯖を使った料理の一例

バチバチに脂の乗った鯖をじっくりと桜スモークで燻した手作りの逸品は、そのままでもめちゃくちゃウマイのだが、自分の中で最高だったのは、厚めにスライスしたやつを極薄切り大根に挟んで、薄口のダシ醤油もしくはお高めのポン酢をかけて頂くやつ。
来客にも堂々とお出しできる料理になるので、大切なお客様をお招きしなければならない予定がある方に猛プッシュしたい。

【銀鱗特製・燻し銀シリーズ】

次におすすめしたいのが、さっきも少しだけ触れた、銀鱗特製のスモーク商品ラインナップである。
ご存知の方も多いかと思うが、近年はスモークと言ってもスモークの香料を使っただけの商品も少なくない。
その点、銀鱗のスモークはガチだ。
大将こだわりのブレンドでじっくり燻された薫製の香りは色濃く、パンチがあり、薫製本来の美味さをがっつりと備えている。
正直、初めて鯖スモークを食べたときは、それまで不動のナンバーワンだったスモークサーモンを超えた!!!とすら思った。それぐらいの逸品。
それに、更なるオススメは滅多に店頭でもお見かけしない【スモークたらこ】
こいつが、マジでヤバイ。
たらこなのだから当然のごとくご飯に乗せるわけだが、ふと思いついて悪魔の食材『バター様』を追加したところ、もう完全なる極悪美食【銀鱗スペシャル・スモークたらこバターご飯】が爆誕した。

この一片でご飯一杯が消える

マジである。これだけでご飯が亜空間に滅せられる。店頭にあったら是非とも一度はゲットして欲しい。

それに、スモークと言えば、あとはタコね。
これは酒飲みで、食べ物には人一倍手厳しい妹が一枚食べた瞬間に目をカッ!!と見開き、
「はぁ!? 何これ生ハムか!?」
という絶叫めいた名言を発した絶品である。

生ハムのごときタコスモーク

薫り高いスモークをまとったタコスライスが柔らかくお口の中でワルツでも踊り出しそうな上品さ。そこいらのタコの薫製では真似できないラグジュアリー感である。あ、あと当然だけどスモークサーモンもウマイです。間違いない。

銀鱗のスモーサーモン×オニスラ×クリームチーズ
という我ながら至高のレシピ

ちなみに、スモークにはハッカクなどの変わり種もあり、手軽にセットで楽しめるふるさと納税もやっているらしいので、遠方の方は是非1度試して欲しい。
リンクはこちら⬇️⬇️

【本領の魚たち】

さて、ここまでしめ鯖や薫製などの加工強め商品を推してきたが、何と言っても魚。魚なのである。
まず、度肝抜かれたのが【根付きほっけ】
これは銀鱗さんの直近ツイートに詳しいので、そちらをまず見て欲しい。

これ、マジで食べてほしー!!!
嘘じゃない。見た目から違う。ぬらぬらと表面が美しい脂で輝いている。
ホッケというと少しパサついた白身を想像する人もいるんじゃなかろうか。
違うのだ。銀鱗のやつを食えばわかる。
ホッケはウマイ魚だと!
あと鮭やサクラマス。これらも圧倒的に脂乗りがよい。そして臭みがないのである。

ぷりぷり、ほくっ!脂じゅわっ!の罪深い秋鮭

食えば解る。銀鱗のお魚は旨味と脂はノリノリなのに、臭みが本当に少ないのだ。
これは真顔で大将に「どうして?」とお尋ねしたところ、あっさりと「あ、それは僕が生臭いお魚がダメだからですね」という答えが返ってきた。

お魚屋さんなのに!?

しかしこれはある意味でシンプルかつ最強の道理で、生臭いお魚が苦手なお魚屋さんだからこその工夫と情熱がお魚の随所に発揮されていることがすぐに理解できる。
生臭さを魚に残さないために、銀鱗さんは鮮度を保つあらゆる方法を思考する。そして、あらゆる生臭みを取る処理を試行する。
そのための手間と時間を惜しまない。

「だって、その方が、お客さん喜ぶじゃないすか」

事も無げに、大将はいつも言う。
その笑顔の裏には数々の試行錯誤と膨大な時間があるのだろう。でなきゃ、一朝一夕であのお魚が出来上がるわけはないのである。

魚を扱う上で命とも言うべき塩も、自らの足で淡路まで出向いて出会った稀少なものを使っているという。納得がゆく素材に出会うまで自らに妥協を許さない姿勢は、加工品の隅々にまで活きている。

例えばこれ。

銀鱗特製 鮭のなめろう

昨年2023の秋に登場した新メニューである。
SNSで発信したところ、出せば即完の人気メニューになってしまったそうだが、幸い我が家は発信前に店頭で発見したのでありつくことができた(どや顔)。
元々素材としてポテンシャルの高い良物秋鮭を丁寧にタタキにし、そこに銀鱗こだわりの味噌や特製ガリ、薫り高い胡麻などを混ぜ込んだ【酒どろぼう】であり【飯どろぼう】である。
何でもガリは様々な生姜を試した結果、このなめろうには、より辛みの強い高知県産が最適という判断になったそうで、そこに至るまでにも大将は日夜試行錯誤を重ね、試作に次ぐ試作の果てにやっと納得の行くものができた、と話していた。全てはお客さんの笑顔のために、だ。

そしてもうひとつ、大将の熱意を体現する商品を紹介したい。

【ずわい蟹ほぐし身&ミソ】

これは正直最初聞いたとき、スタッフ総出でズワイガニの身を手ほぐししていること自体が狂気だと思ったが、ひとつひとつ取り出したミソを、何と裏ごししている、と聞いた時には率直に「あ、この人ヘンタイなのだわ」と思ってしまった。

だってあなた、裏ごしよ!?

しかし、提供された商品は手間を惜しまなかった結果、ヤベエ一品に仕上がってしまったのである。
ぶっちゃけズワイってさ。毛蟹に敵うわけねーじゃん…?というのが食べる前の感想であった。
が、どこかで解ってもいたのである。
そんな憶測など軽々と飛び越えてゆくのが、そう、我らの銀鱗 高槻商店なのだ、と。

ズワイガニほぐし身&ミソのカナッペ

最初はシンプルにそのまま味見した後、やはり毛蟹よりもかなりあっさりしたほぐし身なので、カリッと焼いた薄切りのパンにうっすらとカニ味噌を塗った上に散らして頂いてみることにした。

うん。うまい!
ともすればパサつきそうになるズワイの身を、裏ごししたばちくそにまろやかかつ濃厚なミソが圧倒的な存在感でまったりと包み込んでいる。
正直、ほぐし身としてのポテンシャルはミソと合体することで毛蟹に勝るとも劣らないものになっていると感じた。そこで。

ズワイほぐし身とミソを混ぜたことによって
爆誕した神ご飯

もう最初っからミソと身を混ぜてあつあつご飯に乗っけて七味を散らしたところ、一同しばしの絶句のあと、

はぁ!?バカ美味すぎるんですけど!?

と、意味もわからずブチ切れ散らかしたくなる神ご飯が完成してしまった。

何故、あの時我々は美味いものを前に切れ散らかしてしまったのだろう…
それは、おそらくこんなに美味しいものが、食べたらその瞬間になくなってしまうという、この世の真理でありながらこの上ない不条理に対しての怒りだったのではなかろうか…
あぁ…永久に噛んでいられたら良かったのに…


さて。
ここまで一心不乱に書き散らしてきたこのウザ語りも、そろそろ3000文字を超えて久しい。
そろそろ大将にキモがられる前に筆を置きたいと思う。

あと、ついでながら言っておくと、牡蠣や北寄貝もド級にウマイ。
これもまた、銀鱗のを食べるまではわたしが食べられなかった食材たちである。
あと、粒がひとつひとつ輝くイクラもはちゃめちゃにウマイ。

新鮮な素材にしか許されぬ上品な薄味いくら

あと、ツブ串もウマイ。
これはお祭りの物販とかでよく販売されているので見かけた人は買ってみてください。
めちゃくちゃ柔らかいのにしっかり歯ごたえと旨味を残す、どうやって作ってるか謎すぎるツブを口いっぱいに頬張れる日高ならではの海の宝!

そして、ウニ。

徹底して水分を抜かれた超濃厚なやつ。

これは、大将曰く銀鱗の特殊な技術と仕立てによって造られているものらしく、鮮度を保ちまくった爆裂濃厚なウニが磯の香りという氣をまとってお口の中でスパークするというヤベエ代物である。
全てのウニ好きたちに、死ぬまでに一度は食べて欲しい逸品だ。

あぁ。
とうとう4000文字を軽く超えてしまった。

ここまで読んで下さった方には、おそらくわたしが銀鱗 高槻商店を推す理由がお解り頂けたのではないかと思う。

どれかをとにかく食べてみたい!と思った人にはオンラインショップがオススメだよっ☆

https://ginrin33.stores.jp


北海道は、寒い冬を抜けて、やっといい季節がやってきます。
競走馬や桜を見に新ひだか町にお越しの際は、是非海沿いの気持ちの良い道を少しだけ襟裳岬側に進み、銀鱗 高槻商店まで足を運んでみて欲しい。

そこにはきっと、素晴らしいお魚との出会いがあるのだから!

それでは、このたびはこの辺で!


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