◆日々のうたかた 〜札幌オータムフェスト2024の街を歩いた〜
もう、開催が終わってしまったイベントの記事で恐縮なのだけれど。
何しろ行こうと思い立ったこと自体が全くの無計画突発的衝動的気分任せの選択だったので、その日が開催終了の1日前だなんてことにはちっとも気が回らなかった。
なので、回っている最中から「そうだ!これnoteのネタにしよー!」と画像を撮りまくったはいいものの、いざ記事を書いている最中にイベントが終わってしまうという間抜けなことになってしまったことは、誠にスミマセン。
でもせっかく行ったから、記事にしちゃうね!
そんなこんなで『さっぽろオータムフェスト2024』のゆるレポートなのである。
2024年9月28日。
親族の葬儀が終わり、わたしたちは諸事情で札幌に住んでいる伯父夫婦を自宅まで送り届けるという大役を仰せつかった。
葬儀のあと、義実家に大集合した親族が解散の運びとなったのは、午後2時過ぎ。伯父の家までは車で2時間近くかかってしまうので、夕飯も食べてくるなどした場合には、帰りはまぁまぁ遅くなる計算だ。
──こうなったら、行くしかない。北海道の秋のアレに──
心中密かにそう決め込んだわたしは、気疲れしている夫を尻目に、初体験のビッグイベントに心を躍らせるのであった。
かくして、夕方の16時過ぎ。
帰りはどこで食べよっか?と尋ねたと同時に若干「しまった」という表情を浮かべたかに見えた夫に、わたしは「オータムフェスト行きたいオータムフェスト行きたいオータムフェスト行きたいオータムフェスト行きたいオータムフェスト行きたーい!!」と地団駄を踏んで見せた。
こう見えて、実は日頃そんなにあからさまな我儘を言わない妻のただならぬ気配に慄いたらしく、夫はすぐに「わ、わかった」と応じてくれた。
夫は去年、自分の友人たちと共に、このビッグイベントを経験済みなのだ。
その時の思い出がよほど強烈だったのか、ついさっきOKしたくせにすぐさま弱気になって、でもね…ほんとうにすごい人だかりでね…歩くこともままならないんだよ…それに運良く何かを買えたとしてもね…食べる場所がないんだ…などとゴニョゴニョ言っている。
「それはあなたが行ったことがあるから言える台詞なのよ!わたしは一度も行ったことがないんだから、とにかく一度でいいから行ってみたいの!」
更に言い募ると、夫は観念したかのようにナビの目的地を大通り周辺のパーキングに定めてくれたのだった。
【さっぽろオータムフェスト】は2008年から始まった北海道の『食』に関する一大イベントで、夏のビアガーデンや冬の雪まつりと同じ大通り公園を舞台として、毎年9月〜10月あたりの秋に開催される。
札幌市内は言わずもがな、全道各地から味自慢の名店が集結して腕をふるうことから、来場者数は例年200万人を超え、今やこのイベント自体を目的としてやってくる観光客も少なくない。
前情報はもう何年も前から知ってはいたものの、貧乏暇無しには無縁のイベントだと思っていたので、憧れはあっても実際に行ける日が来るとは思っていなかったのだ。
それが今!やっと目の前にある!
駐車場から一番近かった8丁目会場に飛び込むと、そこは道内の市町村が出店する【ほっかいどう市場】のブースだった。
時間はまだ夕飯時には少し早いせいか、夫から聞いていたよりははるかに歩きやすく、行列の規模もそれほどではない。それでも道内各市町村が威信をかけて出店するブースである。熱気はとにかくものすごかった。
瞬く間に興奮がピークに達したわたしは年甲斐もなくワクワクし、夫の手を引いてうろうろと徘徊する。
とりあえず8丁目をぐるりとめぐって夫と協議の結果、決めたことは以下の3つだ。
食べたことがあるものは買わない
ここでしか食べられないと思われるものを選ぶ
なるべく多くを味わうために、同じものを複数は買わない
そんなこんなで一番最初にゲットしたものは、8丁目の岩見沢市ブースが出品していた【キジ肉入りビリヤニ/¥800】
ここは大変威勢のよいお兄さんが大声で呼び込みをしていたこともあり、すぐさま夫が「キジ肉!?」と食いついた。
クラフト用紙みたいな茶色いカップに木製スプーンつきで出されたそれは、思っていたよりもかなり美味しい「ちゃんとした」ビリヤニなのであった。
米は細長い例のお米(産地とかはよく見てない)。全体的にあっさりしたダシがしみ込んだスパイシーなカレー風味のお米に、クセのない柔らかなキジ肉が思ったよりたくさん入っている。
屋外イベントで食べるビリヤニとしては結構、いや、かなり美味しい部類に入るのではないかと感じた。
実を言うと、この1つめを食べるまでは、正直「道の駅でたまにやってるキッチンカーフェスタの大集合バージョンでしょ?」くらいに思っていた。
多分地元のお祭り屋台やキッチンカーであまり良い思いをしていなかったせいもあるかも知れないが、率直に言ってナメていたのだ。
まぁまぁ、北海道なんだからどれもそれなりに美味しくはあるんやろけどね…言うてお店にはかないませんよ…みたいな。
しかしこれは容器の安っぽさを補って余りある美味しさだった。
まぁ、普通に考えて、そうだよね。
大手企業がスポンサーに名を連ね、道内外から200万人を動員する一大イベントに中途半端なものを出すわけがないのだ。どこのお店だって市町村だって、気合を入れて来ているに決まっている。
そんなわけで、俄然期待が高まったわたしちたちは、これから直接出向くかも知れない市町村ブースをいったんあとにして、北海道じゅうのヤベエお肉が終結する10丁目会場へと足を向けた。
トイレなどの関係か、出店スペースには使用されていない9丁目を通り過ぎて10丁目にたどり着くと、そこは市町村ブースとは比べ物にならない人だかりだった。
さすがお肉。ヒトの食欲を刺激してやまないつよつよ食材である。
まず最初に目に入ったのは、和牛を使用した『肉手毬寿司/¥1000』
ひと口サイズが2個で1000円とは立派な高級品だが、これがもう最っっっ高にウマかった!!
とろん、とおくちでとろける濃厚な和牛の脂を程よい酸味の酢飯がキュっとしめている。噛むほどにほろりと崩れる握りの具合も絶妙で、思わず「うーん!」と唸ってしまった。
ただ。ただね。今これを書いてて気づいたんだけど。
オータムフェスト、めちゃくちゃお店のPRの機会になるはずの場なのに、店の名前が把握しづれー!!!
わたしはnoteの他記事をご覧いただければおわかり頂けるように、食への好奇心だけは人後に劣らないと自負している。なので、美味しいものを食べたら必ずお店をチェックするのだ。
でもね。オータムフェスト。並んでる時から他のブースを目でチェックすることや、夫との次に行くブースの打ち合わせで忙しないところへ持って来て、みるみる後ろにも列ができるから、店員さんにリサーチする暇もない。食べ物をもらったらすぐに避けないと邪魔になるしで、なかなか店名まで頭が回らないのだ。(言い訳だけど)
あと、初参加の今回で言うと、どうせこんな大イベント、サイトがあるに決まってるんだから、あとで調べればいいや!という思いが濃厚にあった。
だけど!ない!「オータムフェスト 10丁目 肉寿司」で検索しても、確実にこれだ!と思える店舗が選べんのです!!ごめんなさい!!
市町村ブースはめちゃくちゃでけえ看板で統一されていて、一目でどこの町が出店しているか判るようになっていた。一般店舗もあれぐらいの感じにしてくれたらいいのになあ。
さて、次に目に入ったのは【円山牛乳販売店】さんの『牛バターサンドプレミアム/¥1600』である。ちにみに、ここの店名は今サイトで調べてわかった。
牛バターサンド。ネーミングがまず良すぎたね。こんなん絶対そこら辺じゃ食べられない気がするじゃん。
値段はまぁうん。ね。おいおいマジか。とは思ったけどね。まぁお祭りだしさ。とりあえず行くよね。
やー。結論から言うとこれもバッカくそ美味かったっす!!!
見た目はあれ。キューバサンドに似てる。
カリッカリに焼いたパンの間に、程よくレアな感じで炙られた牛肉が入ってる。ソースもまた絶妙な美味しさでね。これも食べて大正解でした。
ただね…今にして、ふと調べてみたら使われてたお肉は交雑種なんやて…。そうか…和牛じゃないのに1600円か…やるな…とはなったけど…
美味しいものに払う当然の対価✕1.1〜2くらいの覚悟を決めねばならんことだけはよく理解できました。
あと、ここのお店では『別海ミルクコーンスープ/¥600』も購入した。
こちらは見た目よりかなりあっさりしていたけれど、味付けが良かった。牛バターサンドとよく合いました!
このくらいで、一般的な酒の飲めないミドル夫婦は「そろそろおなかもいっぱいだね…楽しかったね」なんてデザートのひとつも食べてシメてから会場をあとにする頃合いなのかも知れないが、大喰らい我ら、ここからが本番である。
続いて食べたのは【シュラスコダイニングSOL】さんの『ランプ串/¥1500』だ。
いやー。1500円ってね。
ここらあたりは、とにかく熱した果物に目がない夫のチョイス。よくもパインを串に刺してくれたな!
んでもまあ美味しかったです。スパイスの効いたランプ肉と、ズッキーニやトマトもよく合った。食べて後悔はない。
でもこの会場以外だったら手は出ねぇな。
この辺で、とりあえずガチガチに食べたい気がするお肉は一応食べたのと、あと脂がそろそろいいかな…な年齢であることを思い出したので、再び8丁目の市町村エリアに戻ることにしてみた。
この頃、時間は18時過ぎ。
人だかりはいよいよもって事前に夫から聞いていた様相を呈してきた。とにかく場所によっては身動きもままならんほどの人、人、人なのだ。
当然トイレも大行列。こんなとこで酒を飲むのは勇気が要りそうだ。飲めない夫婦で良かった。
そんなこんなで厳選の結果、目をつけたのは奥尻町ブースの『焼きうにめし/¥1500』と『焼きほたてめし/¥1000』だ。
はい!2個で¥2500のパワーを見よ!
わたしはウニが食えないので味の詳細はよく解らないが、夫はひと言「うめえ!」と鳴き声をあげたままペロリと2〜3口で食べ終えていたので、本当に美味かったのであろうと思う。
焼きほたてめしは、香ばしく炙った大粒のホタテが4個もゴロゴロ乗っかっており、程よく焼きめをつけられた焼きおにぎりと一緒に食すとたまらん美味しさだった。
まーホタテの貝柱はね!!スーパーで売ってたって未調理の4個は¥780くらいはするから。かなりお得感ありました。さすが奥尻町。いつか行く!!
その次には、どこかのたこ焼きを食べた。¥650だった。でも写真はない。たこ焼きは、やはり作り置きではなく焼きたてを食すべき料理なのだとつくづく思い知るなどした。
この辺で、いよいよもって消費金額がエラいことになってきたため おなかもいっぱいになった気がしてきたので、歩いていない会場を足早に検分した結果、とりあえずラーメンでシメよう、ということになった。
ラーメンは5丁目会場で、カレーと同じエリアに区分されている。
なぜかカレーとラーメンだけは他の会場と購入方法が違い、事前に指定の場所で¥900の食券を購入し、好きなお店に行って食べ物と交換するというシステムになっていた。
『ラーメン祭り』とか『カレーキングダム』と銘打って、出店店舗は一品しか提供していなかったところを見ると、後日食券を数えて売上数で順位付けでもするのかも知れない。
ともあれ、ここではわたしの希望を優先してもらい【らぁめんとおばんざい麺乃夢恋】さんの『黄金ホタテ香る潮チャーシューMEN/¥900』を頂いてみた。
ホタテのラーメンなど滅多に食べられないので、ホタテ好きの我、めちゃくちゃワクワクしていたのだが、ホタテの姿はどこにもなかった。
代わりに(?)ちょっとレアっぽいチャーシューが乗っていて、それは割と美味しかった。
麺は細めのストレート。白っぽいやつ。
これでホタテの出汁さえしっかり効いていれば、さぞかし美味しかったんだろうなあ。
これは正直、終始「ホタテ…?うん…ホタテと言われれば何となくそんな気がするような…そうでもないような…」という感じで終わってしまった。
正直言うと、おなかにはまだ些かの余裕はあったのだけれど、デザートを探しているうちにラストオーダーの時間になりそうだったので、ここらで食事は打ち切ることにした。
駆け足であちこち探した結果、デザートは超大手の有名店、石屋製菓のブースになってしまったが、まぁ仕方がない。
石屋製菓改め【ISHIYA】は今年がオータムフェスト初出店だったらしい。しかしさすがの大手、購入した【スノーパルフェ/¥1200】は貫禄の味わいなのだった。
濃厚なソフトクリームと苺がみっちり入ったカップの上にふわふわのミルク氷が乗せられたパルフェは、残暑を残す夜の札幌の空気を爽やかに感じさせてくれた。
わたしはとりあえず時間もなかったので、夫がISHIYAさんに並んでいるすぐ横に出店していた【AlternA】さんの『ドリップスチーズケーキ/¥880』をチョイス。
こちらはソフトクリームの上に、ホワイトチョコレートでコーティングしたスティックチーズケーキをドン!と乗せたやつだったが、率直に言わせて頂くと、ホワイトチョコレートには個人的にバエ以外の効果は感じられなかった。むしろホワイトチョコレートがない方が美味しいチーズケーキだった気がする。
あ、でもソフトクリームはめちゃくちゃ濃厚で美味しかったよ!!
そんなわけで、わたしの初オータムフェストは総時間2時間半、総額11,630円で幕を閉じた。
冷静に振り返ってみると、ちょっといいビュッフェランチを2人で食べてもお釣りが来る金額である。
でもまあ熱気、そして北海道の食の祭典という特別感、短い夏に別れを告げるちょっとした寂しさ、外でご飯を食べる気持ちよさなど、もろもろ加味すればそこそこに妥当ラインかな…?と思いながら会場をあとにしました。
駐車場までの道のりは、久しぶりに歩く夜の札幌の空気がしみじみ楽しかった。遠回りして狸小路を歩いたりなんかしてね。途中にある青空カフェで夫と手を繋いで寝そべったりしてね。デュフフwww
そのあとは、有名なニッカの看板の前を通って観光客気分を味わったりしてね。
ラストは夫の提案で、今やすっかり札幌名物になったノルベサの観覧車にまで乗っちゃった!
そんなわけで、オータムフェスト2024。
時間とお財布に余裕があれば、それなりに楽しめるイベントであることがよくわかりました!
今回の数時間の中でさえ人の波にはピーク時とそうでない時の落差がかなりあったので、当たり前ながらランチと夕飯時は外した方がゆっくり見て回れそう。
あと、やっぱサイトでそれなりに食べたいものを絞った方が効率的に楽しめるのかも知れないすね。そうでなくてもどうせ目移りするので…。
札幌大通り公園は、そんなわけで春夏秋冬いつ訪れてもかなりの確立で何かしらのイベントにぶち当たる素敵な場所です!
観光で訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください!
それでは、この度はこの辺で!