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ちょっと性別不明の友人がいます -あとがき-

序章はこちら
(今までのお話は序章にまとめてあります)

あとがき

私が「サワわた」を書こうと思ったきっかけは
サワとは全く関係のないことからでした。

2023年、春。
私は夫の海外駐在に伴い
初めて生活を丸ごと海外に引っ越しました。

東南アジアのまだまだ発展途上国。
家族や友人に国名を言えば
「大丈夫?安全なの?」
と言われるようなそんな国に
子ども2人を連れて新たな生活を始めました。

海外旅行や留学経験などは
人より多くあったため
そこまで心配はしていなかったものの
想像以上に海外での新生活は大変で
発展途上国で子どもがいるとなると
いつのまにか精神的に
どんどん追いつめられている私がいました。

発展途上国だけれど
会社に住まわせてもらっているのは
セレブが住むようなタワーマンション。
たくさん部屋があって1つ1つが広くて
敷地内にはプールやちょっとした公園もあって。

もし旅行やショートビジットなら
それはもう十分すぎるくらいで
大満足で過ごせるのだろうけど
毎日毎日そこで
そこだけで生活していると
息苦しくもなってきて。

子どもが寝た後
ふとベランダに出て
生ぬるい風にあたりながら
なんで私はこんなところにいるんだろう
と思いながら
とてつもない虚無感に襲われる。

眼下に見えるプールは
夜もこんこんと照らされていて
敷地の中はとっても綺麗だけど
塀の外を見ると
完全に別世界のような景色が広がっていて。

私は一体なにをしているのだろう。
なにをすべきなのか。
なにかすることがあるのか。
どうすればこの虚無感から逃れられるのか。

サワや大学の同期にも相談し
私に向いているであろうものを
話した結果
出した答えの1つが
何かを発信することでした。

何かをすると決めたなら
続けられることにしよう。
それか何か形になるものを。

ブログ?インスタ?
子育てマンガ?海外暮らし?
どれもありきたりに感じて
そして何より
本心からやりたいと思えなくて
足踏みする日が続きました。

そんな時
サワとのことはどうだろう。

ふとした思いつきから
書けそうなネタを書き出してみると
どんどん出てきて止まらず
一気に30個くらいメモを埋めました。

それからも頭の中は
サワとのことを思い出すのはやめず
メモはどんどん増えました。

どうせやるなら
夢だった書籍化を狙いたい。
そんなこと誰にも言ったことないけれど。

自分の本が出るってかっこいいな。

とんでもない野望も出てきました。

いろいろ調べていくうちに
noteがちょうどいいかな。
と、
少し前に書いたことがあるnoteを
とっても久しぶりに開いてみると
なんと創作大賞なるものが始まったところ。

久しぶりすぎて創作大賞すら
知りませんでした。

真っ黒でかっこいいバナーの
そのページを開いたのは4月末。
本当に始まったばっかりでした。

ドキドキしながら応募要項を読みました。

その日のうちには決められず
次の日も開いては閉じ
また開いては閉じ。

いろんなことを考えました。

そして誰にも言わず
書き出してしまおうか、
そう考えた時もありました。

でもサワのことを書こうと思うと
サワに言わないわけにはいかないな
と冷静に思いました。

そして
5月1日。
LINEのトーク履歴を遡ると
その日が出てきました。

「声に出したらそれだけで満足してしまいそうだけど
サワに話さないわけにはいかないから話してみる。
やっぱり私、サワとの話を書こうと思う。
まだ何も書いていないけれど書きたい。
そして狙う、書籍化。」

ちゃんと野望まで口にしていました。
LINEだから口にはしていないけれど
LINEだからちゃんと文字に残っていました。

その返事が
「書いて。親戚に配るわ。」

改めて読んでも
かっこよすぎる。

サワ、かっこよすぎるでしょ。

そんな一面もあるんです、サワは。

そして思っていたところは
同じでした。

「トランス当事者が書いている本っていっぱいあるけど、
友達が書いた本ってないよね。」

サワの中ではもう本になっている。
落ち着いてくれ。
いや、そうではなく、そうなんです。

この時代の流れ、流行、潮流。

LGBTやその関連について書くことは
きっと何か意味があるに違いない。

売れたいとかバズりたいとか
一瞬そんなことを思ったのも事実。

けれど書き出してみるとそれ以上に
トランスジェンダー当事者以外が
どんな風に友達として過ごしてきたか
って
おもしろいかもしれない。

そして思っている以上に
何気ない日常なんだ
って。

サワのことを書こうと思ったけど
私のこともたくさん書いたし
とってもとっても楽しかった。

noteを通してトランスジェンダーの人の
いろんなお話も読んだ。
ご家族の人やサポートしている
団体などのお話はあったけれど
何気ないまわりの人のお話には
なかなかめぐりあえなかった。

だからきっと
私の「サワわた」は
とっても意味のあるものに
なったんじゃないかな。

私とサワがそう思えてたら
はちゃめちゃに自己満だけど
それでいいんじゃないかな。

学生の頃から変わらず
締め切りに駆け込む人生だけど
私はこんな私を愛しているし
その私の締め切りに付き合って
ギリギリまで下書きを読んでくれる
サワを心から愛しているよ。

サワ、改めてありがとう!

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