「全然理想の毎日じゃない」 24歳フリーター K君のはなし
「自分のアパレルブランドを立ち上げようと思ってます」
コーヒーを淹れながら、彼はそう言った。
「えー、めっちゃいいじゃん!面白そう!!」
僕はそう伝え、彼が続きを話してくれるのを待つ。
彼は少し、目線を落として
「でも、実際、まだ何も動けてはないんですよね・・」
表情はさらに曇る。
「あー、人生これからどうしたらいいんすかねー。毎日全然楽しくないっすわー」
職場にいるK君。
24歳、フリーター。
大学を出て就職するも、1年経たずして退職。
数ヶ月のニート期間を経て、僕の働くカフェにやってきた。
「アパレルブランドを立ち上げてみたい」
「自分が作った服を自分で着て、それが売れたらめっちゃいいなぁ」
そう呟く彼のこと、
「めちゃくちゃいいじゃん!」って、僕は思う。
「絶対これをやりたい」って、確信持って言えるほどに明確じゃなくても
興味や憧れを抱くものがあるって、とっても素敵なこと。
そこから先に
一歩進むか、現状を維持するか。
" 行動力 ” の一言で片付けたくない、と僕は思う。
彼に必要なのは
『本当はどうしたいのか』
それを、自分で言葉にすること。
『どう生きたいか』とも言える。
それが自分で言葉にできた時、
" 行動力 " なんて気にせずとも、勝手に自ら動き出してしまうもの。
ただ、『どう生きるか』って
経験とともに変わるものだし、一度決めたからといって貫き通さなくていい。
今、この瞬間に
『自分はどうしたいか』に向き合い、それに素直に従い行動すること。
行動し始めたら頑張ること。
それを続けてさえいれば、楽しい人生になると、僕は思う。
などなど、
彼の話を聞いていて、思うところはたくさんあるんだけど。
今のところ、あまり説教くさい話はしていない。
ただ、定期的に
「僕が今、ワクワクしていること」や「実現に向けて動いていること」を
聞いてもらっている。
ほんの少しでも、エネルギーというか、気力みたいなものが伝播したらいいなーって。
僕自身、彼に聞いてもらう時間は心地がいいと感じる。
3日前に会った時、彼はこう言っていた。
「転職活動、始めようかと思ってんですよ。いやー、もう一回社会人してみようかなって」
僕はいつものように
「えー、めっちゃいいじゃん!!」と伝えた。
心底思う。
毎日退屈だと思って生きるより、なんでもいいから動くべきだ。
できることなら、自分のことについて深く知ってから動くのが、ベスト。
でも、
とにかく「動く」という宣言を僕にしてくれた彼を
応援していこうと思う。
次にK君と会った時、
「どうよ!?転職活動は??」と聞いてみるつもり。
「いやー、それがまだ何も動いてないんすよー」
と彼がそう言った時。
僕は初めて、彼に一歩踏み込んで、話を聞いてみようと思う。