![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89210558/rectangle_large_type_2_80e15f8851948dccf8a549f944b606ec.jpeg?width=1200)
言葉にしていいんだよ
新川和江さんの有名な詩、「わたしを束ねないで」。
とても好きです。
中学3年生の国語の教科書にのってるんですね。
教科書にのせておきながら、大人都合で束ねたい教育。
矛盾に戸惑ってしまう。
たぶん、詩の技法だけを学習させればそれで良し。
詩を心から感じて理解する情緒を育ててはもらえない。
言葉にしていいんだよ。
「わたしを束ねないで」って。。。。。
自分の心にも言ってみて。
「わたしを束ねないで」って。。。。。
わたしを束たばねないで
あらせいとうの花のように
白い葱ねぎのように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色こんじきの稲穂
わたしを止とめないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃はばたき
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注つがないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮うしお ふちのない水
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐すわりきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,コンマや.ピリオドいくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡ひろがっていく 一行の詩
大丈夫。
束ねなければ可能性は無限に広がるんだから。