【中学校理科】ICカードを活用した指導

 次期学習指導要領への移行期間である現在、学習のあり方を少しずつ見直していく必要がある。次期学習指導要領で求められることは、「主体的で対話的な深い学び」が求められ、何を学ぶかではなく、「何をどのように学ぶかが求められている」までも重要視されている。

 そんな主体的で対話的な深い学びをしていきましょうと提唱されているが、現状現場ではそんなことを考えている暇はないことが多い。特に自主的な活動とされている教材研究では、「去年のままの指導でいいや」「教科書を読んで、教科書にあるように進めていこう」と考えてしまうのも無理はない。

 学校の先生の一番大きな仕事の一つに授業があるにもかかわらず、教材研究は後回しにされがち。特に初任者で学校に入ってきた先生は学校の文化や校務分掌などにてんやわんや状態で、まともな指導案ができるとは思えない。その一方で、教科書会社による指導案などを活用しようとしても、学校の実情によってその指導が可能な場合と不可能な場合がある。指導案が記載されていたとしても、再度検討が必要になってくる。

 教科書に記載されている指導案の多くは「教科書の内容に準拠した指導案」であり、”教科書を教える”状態になりがちだと考える。これでは、教科書を読むだけなので、簡単だが、一方的な授業になってしまい、一昔前の教え込みの授業になってしまう。目指すのは”教科書で教える”であり、生徒が目的をもって授業に取り組める環境を整えていく必要がある。

 環境を整えるのに必要なのは、授業の単元計画である。単元計画がどのように教師ができているのかだけで、生徒が進むべき道筋を示してあげることができる。すると、その方向にしたがって生徒が主体的に学習を進めていくことができるのではないかと思う。

1.ICカードを用いた教材

 電磁誘導の単元は正直簡単に流そうと思えば流せてしまう。学習指導要領解説理科編には「コイルと磁石の相互運動で誘導電流が得られることを観察、実験を通して見出して理解させること、及び直流と交流の違いを理解させることがねらいである」と明記され、誘導電流を教材として必ず扱うべきである。しかし、誘導電流と直流交流の関連性が弱く、コラムのようなところに少し紹介されているだけで学びのつながりが弱い。

 そこで、この小単元に1つ課題を設定し、この課題を設定することで生徒も教師も単元の始まりと終わりを意識でき、目標を持って課題に取り組める環境が整う。方向性だけを教師が示すことで、その課程の学びは生徒で創意工夫することができる。自分たちで実験を計画することが小単元の後半にはあるため、主体的で対話的な深い学びが自然に起こる。


 ICカードの中身を知っているだろうか?自分はnanacoカードがあったのでこれを紙やすりを使って削っていくと、回路が出てくる。ICチップも見えるが、電池がないのはすぐにわかる。これを生徒にやらせると1時間かかってしまうのであらかじめ用意しておくといいが、時間があるのであれば削らせてもいい。非常に薄い回路であることが実感できるはずだから。

 「なんで電池ないのに電気流れるの?」と投げかければ、さまざまな案が出てくるのではないか。その案をもとに課題を設定していくことができれば学びの価値は高まると思う。

画像2


2.指導の流れ

図2


3.終わりに

 単元を貫く課題を設定し、1つの課題に対して数時間で迫っていく指導である。その過程で学習指導要領に示された内容を網羅していくことを意識し、生徒が主体的に学習することができるような指導内容になっている。


 コロナの影響で授業時数が減ったのでこういった授業はなかなかできない可能性が高いのではと思うが、是非実践していきたいと思う。

 今年度自分もこの指導の流れで授業をしてみる。その感想は後日記載したいと思う。実際にこの指導案を活用した方がいれば、是非感想などをコメントなどに書き込んでいただければ嬉しい。

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