暮らし日記⑯小さな畑のこと
こんにちは!雑貨屋 あるくらし 店主の絢音です。
雑貨屋 あるくらし は、「小さな発見と実験」をテーマに、暮らしのセレクト雑貨販売とワークショップの主催をしています。現在店舗はなく、イベント出店から活動をスタートさせました。こちらのnoteでは、お店の歩みや店主の暮らし日記・勉強メモを掲載しています。
少しずつ涼しくなっていくと同時に、肌の乾燥を顕著に感じる最近、ハンドクリームが必須になってきました。ハンドクリームを塗るとき、パソコン作業をしている時が多いんですが、作業中、画面に目をやったまま、手元を見ずに塗って、無意識にどこかに置いているんです。そしてどこに置いたかすぐ忘れ、「あれ?ハンドクリームどこやっけ?」と探す事があります。この記事を書いているときもまさにそれで、「あれ??」と探すはめに。ちょっとした私の秋冬の風物詩かもしれません。
今回のテーマは、小さな畑のこと
今年の8月末に、シェア畑で小さな二畝の畑を借りました。35度を超える猛暑日、秋冬の土づくりをするところからスタートし、9月に入って苗の植え付けや種まき、お世話を進め10月に入ってから、少しずつ収穫ができるようになりました。スタートして2か月ほどですが、土を肥やすところから、料理して食卓に並べられるようになったことに、小さく興奮しています。
まだまだ少しの収穫ですが、間引き菜の味噌汁。カブのグラタンや菜飯、ミニ大根を使ったきんぴらを楽しみました。
「自分の手で作った野菜を料理して家族と食べる」
ずっと叶えたかった事です。
実家で暮らしていた時、祖父母が家で食べるほとんどの野菜を育ててくれていました。今思えばとても贅沢な事だったなと思います。採れたてのおいしい野菜の味が身近だったおかげで野菜が大好きになりましたし、今でも変わらず「旬」のものに敏感でいられている気がします。
実家はのどかな田舎にあり、ごくごく当たり前のように暮らしの中に家族が育て、近所の農家さんが作ったお米や野菜を貰ったり買ったりしていました。家の裏口や玄関に、白菜が「ボン」と置かれていることも日常茶飯事。どこかのご近所さんが余ったものを分けてくださっていました。
もちろん家族が多かったのでスーパーでの買い物も大量にしてくれていましたが、それでも顔の分かる人が作ってくれている野菜、近所の畑でとられている旬のものも同様に身近でした。
地元では周囲の友人も畑が身近な環境で、この暮らしが当たり前だと感じていましたが、大学に進学し、都市部に暮らす友人とキャンプに行く際、実家の野菜を持っていくとビックリと驚かれ、大学当時から付き合っている夫にトマトや直売所の桃をたーんと渡すと驚かれ。
この時ようやく、地域や祖父母と暮らす家族構成がゆえの独特な経験ができているのかと思うようになりました。
その後、社会人となり異動も経験し、地方と都市部の両方の地域でひとり暮らしをしました。
まず最初の配属の地域は、実家と同等かそれ以上の田舎。職場の方が栗や山菜、しいたけ、筍を「いる人~?」と分けてくださったり、産直のお店が近所にあり、旬を身近に感じる環境でした。振り返ると、19時には真っ暗になる不便さと都会の憧れもありつつ、子どもの頃からの馴染み深い生活を送らせていただいていたなと思います。
一方、次の配属先では、都市部の本社に異動し、人生で初めての都会暮らしが始まりました。20代半ばぐらいの年齢の頃で、雑貨屋さんやカフェ、ギャラリー、旅行に行くにもアクセスの良い場所での暮らしに純粋にワクワクと、これからの暮らしに期待していました。
(それまでの暮らしが、ICカードの使えない、無人か駅員さんが切符を回収してくれる駅が最寄だったので、この時人生初めてのICOCAを手にします。)
ところが、異動後数か月でコロナがあっという間に全世界に蔓延。
自宅とごくたまに行くオフィス、人との距離を意識しながらの最低限の買い物。“外出”という娯楽を抜いた時、無機質な建物に囲まれた都市部での生活はなんて脆弱なんだろうと怖くなりました。同時にこのとき体調がガクンと悪くなり、自分の中で暮らしや生き方を考え直すようになります。
祖父母や地域の方が野菜を分けてくださったり、食材に困らなかった田舎での暮らしの時よりも一層に、「自分の手で暮らしを作れるようになりたい。」と強く思うようになりました。
まずは料理をと、地域の野菜や伝統的な調味料を大切に使用した家庭料理が学べる料理教室に通いました。
その後、余裕がなく、なかなか畑に着手できずでしたが、子どもの頃、祖父母が当たり前に与えてくれた季節ごとの畑の野菜やその景色、食卓のご飯を、私も作れるようになりたい、次の世代にも残せるようにしたい、という思いがずっと心の中にありました。
今年に入って、雑貨屋あるくらしの活動やアルバイト等も落ち着き、「そろそろ、畑を始めてみよう…!!」と探して見つけたのが2畝の小さな小さな畑です。まだまだひとりでできる事は少ないですが、少しずつ少しずつ、畑をしている事が当たり前といえる暮らしを作れたら良いなと思います。
雑貨屋あるくらしがいつか店舗を持てた時、自分や家族が管理している畑も近くにあって、来てくださった方の景色のひとつになれば、もっともっと嬉しいなと夢が膨らみます。
はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お読みいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
店主 絢音