東北復興活動 -まずは行こう 南三陸-
「すがもプロジェクト」の七班にインタビューして内容を紹介する連載第2回は「東北復興活動」班の皆さんです。一見関わりが無いような南三陸と東京・巣鴨にある大正大学。実は、大正大学は東日本大震災発生直後に南三陸でボランティア活動を実施したことがきっかけで、現在でも強い絆でつながっているのです。「南三陸まなびの里いりやど」は大正大学のエリアキャンパスにもなっているほど! 学びの地としての「すがも」は遠く東北にもありました。
9年前から継続している東北復興活動を実践する彼女たちが、このプロジェクトにどのような気持で取り組んでいるのか、初めて現地に行ったときに何を感じたのか。話を聴きました!
※すでに終了したオンラインツアーの企画段階である7月21日に実施したインタビューですので、事実が前後しています。ご了承ください。
◆東北復興活動班 メンバー(2020年春学期時点)
・遠藤桃加 (SPS 臨床心理学科4年 右)
・山口菜々美 (臨床心理学科4年 中央)
・藤枝陽菜 (表現文化学科2年 左)
ツアーも対面からオンラインへ…
―「サービスラーニング」という授業のなかで、みなさんは東北復興活動チームですが、具体的にどのような活動をしていますか?
遠藤:長期休暇ごとに、震災の被災が甚大だった宮城県南三陸町の復興を考えることを目的としたツアーを計画・実施しています。このツアーを継続して実施することで、震災後の東北復興の在り方を学生目線で考えています。
春学期は、8月末に実施予定のオンラインツアーの企画・立案を行っています。本来であれば現地を訪問し、研修施設である「いりやど」に宿泊する前提でツアーを企画したかったのですが、新型コロナウイルスの影響を受け、オンラインツアーという形で実施することになりました。
初めて行って知る想像と現実
―皆さんが初めて南三陸へ行った時のことを覚えていますか?
遠藤:実は、私の祖母が南三陸に住んでいたので、小学生の時はよく南三陸へ訪れていました。震災以後は足が遠のいてしまったのですが、大学2年生の時に「サービスラーニング」のツアーで、数年ぶりに行ったときの衝撃は忘れません。震災後ということもあり、現地で見た景色は私の記憶にあったものとは大きく変わっていました。どこか知らない場所へ来たような感じでした。
山口:私が南三陸へ初めて行ったのは、大学2年生でのサービスラーニングのツアーです。当時、震災から7年が経過していましたので、復興もある程度落ち着き、活気も戻ってきているだろうと思っていました。しかし現実は、至る所に重機が置いてあり、まだまだ「道半ば」といった状態でした。それが今でも、強く印象に残っています。7年という年月が経っても、復興途中であることを思い知らされ、何かしらの「寂しさ」を感じました。
藤枝:私は今年の冬に、たまたま同じ部活に所属している友人からサービスラーニングのツアーにと誘われ、初めて南三陸へ訪れました。現地へ行くまでは、ニュースで見ていたイメージが強く、「東日本大震災で甚大な被害を受けた場所」という印象しかありませんでした。実際に訪ねると自然は豊かで、新たな建物や道路も整備されていて驚きました。先輩の言葉とは正反対になってしまいますが、少しずつ復興が進んでいることに感動したのを覚えています。
「復興を知る」から「味わう」南三陸へ
―オンラインツアーの目的・コンセプトを教えてください。
遠藤:テーマは「南三陸を味わう旅」です。「味わう」という言葉のとおり、今回は「食」にスポットをあてたツアーを企画しました。南三陸は森里海の自然が豊かなので、そこで作られる食べ物も非常に美味しいです。そんな森里海にまつわる品々を、参加者の皆さんの家に事前に配送します。当日は、生産者の方々にお話を伺いながら、実際に商品を食べてみたり、まゆ細工の体験をしたり…。参加者と生産者の方々とがオンラインで繋がり、「南三陸の今を知る」ことが今回のツアーの目的です。オンラインではありますが、実際に現地で1泊するようなイメージで2日間の実施を計画している点も特徴です。
今回、初めて参加する学生もいるので、そもそも南三陸という場所を知らない方も多いと思います。まずは南三陸がどのような特徴があるかを皆さんに知ってもらうこと、そして現地で活動されている生産者の方々の思いを聴くことを計画しています。震災発生から復興を経て、現在に至るまでを知ることもこのツアーの目的の一つです。
―みなさんは、どのような思いでツアーを企画していますか?
遠藤:私自身4年生ということもあり、今年がツアーに携わる最後の1年となります。3人で力を合わせ、多くの方に南三陸町に興味を持っていただけるような、そんな企画を考えていきたいです。
山口:初めて「サービスラーニング」を履修したとき、授業を通して考え方や物事の捉え方が大きく変わり「3年間この授業だけは続けていきたい!」と思うようになりました。今回のツアーでは、現地の方々の「前を向いていく力強さ」を参加者の方々にも感じてもらいたいです。
藤枝:今年の冬に初めて南三陸町へ行き、テレビや新聞では知ることのできない経験や復興について考えるきっかけを得ることができました。私は先ほども言ったように、友人に誘ってもらいツアーに参加しました。それがきっかけで「サービスラーニング」という授業を知り、実際に履修するようになり、今回は思いがけずツアーを企画する側となりました(笑)私自身が感じたような感動体験を、皆さんにも味わってほしいと思います。
―オンラインツアーだからこそ、新たに期待すること、課題に感じることはありますか?
遠藤:私は今年の冬のツアーも運営側だったのですが、その際は、様々な企画をこなしながら頭の中では移動のことを想定したり次の企画について考えたりと、色々とパンクしそうになりました。今回のオンラインツアーでは、運営しながらも同じ画面越しということで、より参加者側の目線で参加できるのではないかと楽しみにしています。
オンラインツアーは初めての試みということもあり、何が起こるか分からないところは少し不安です。ただ、一緒に活動している先生や職員のみなさん、「いりやど」のスタッフの方々にもフォローいただいていますので、あと少し、内容を詰めていきたいと思っています。何より、参加者の皆さんに楽しんでもらいたいと思い頑張ります!
山口:今回は、現地のツアーでも行ったことのないエリアへ伺う形となりますので、初めてツアーにご参加いただく方はもちろん、リピーターの方にとっても新しい南三陸を知ることができる機会になるのではと思っています。
オンラインではありますが、1泊2日のツアーとして実施するため、参加者の方にどれだけ飽きさせずに楽しんでいただくか、南三陸の魅力を伝えられるかが課題だと思っています。
藤枝:私も初めての場所をツアーに組み込めた点が非常に楽しみです。毎年、少しでも新しい要素を加えていけたらいいなと思います。
どうしても画面上でのやりとりとなってしまうので、参加者側だけの一方的なツアーにならないように、現地の方々とのコミュニケーションを工夫していきたいと思っています。
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インタビューを通じて、3人それぞれツアーに対する熱い思いや、南三陸への強い印象を改めて知ることができました。震災から来年で10年を迎え復興が道半ばでありますが、確実に一歩一歩を踏み出している様子を感じます。
そして今回のオンラインツアーの最も楽しみな点は、現地から食材が直接自宅に送られてくることですね。また、三陸産ワカメを使った「料理コンテスト」もありますが、参加者がどのようなアイディアで調理をするのかにも期待が高まります。
「サービスラーニング」史上初のオンラインツアー。画面越しでも南三陸を現地で行ったのと同じような感動を得られるのでしょうか。ぜひとも報告記事にご期待ください!
記事・山中若菜(メディア班ライター)
2020年7月21日取材