ビリー・ホリデイ- 奇妙な果実とその背景(Strange Fruit)
ビリー・ホリデイ(Billie Holiday) - 奇妙な果実とその背景 (Strange Fruit:Lewis Allen 1939)
ビリー・ホリデイのレパートリーとして有名なアメリカの人種差別を告発する歌。
「奇妙な果実」とは、木にぶら下がる黒人の死体。
アメリカ南部の黒人に於ける人種差別を歌ったもので、歌詞の内容は暗く陰惨だ。当時、南部を中心とした黒人へのリンチ・暴行は当時のアメリカでは、日常のようにあった、深刻な時代であった。
人種差別への告発、悲しみと怒りが、ビリー・ホリデイの歌にこめられている。
当時の映像を見て欲しい、それは、ビリー・ホリデイが、本当に悲しそうに、あるいは言葉にすることさえも苦痛に歌う。
それが、後の公民権法の成立の結びつきの、1つにも挙げられることも確かだろう。
合衆国の抱える問題は多様にして過大だ。
(c)Billie Holiday
Strange Fruit
Southern trees bear strange fruit,
Blood on the leaves and blood at the root,
Black bodies swinging in the southern breeze,
Strange fruit hanging from the poplar trees.
Pastoral scene of the gallant south,
The bulging eyes and the twisted mouth,
Scent of magnolias, sweet and fresh,
Then the sudden smell of burning flesh.
Here is fruit for the crows to pluck,
For the rain to gather, for the wind to suck,
For the sun to rot, for the trees to drop,
Here is a strange and bitter crop.
Strange Fruit(奇妙な果実:訳詞)
南部の木は、奇妙な実を付ける
葉は血を流れ、根には血が滴る
黒い体は南部の風に揺れる
奇妙な果実がポプラの木々に垂れている
勇敢な南部(the gallant south)ののどかな風景、
膨らんだ眼と歪んだ口、
マグノリア(モクレン)の香りは甘くて新鮮
すると、突然に肉の焼ける臭い
カラスに啄ばまれる果実がここにある
雨に曝され、風に煽られ
日差しに腐り、木々に落ちる
奇妙で惨めな作物がここにある
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