解釈: 鉄の男 -Człowiek z żelaza-
解釈: 鉄の男 -Człowiek z żelaza-
鉄の男(Człowiek z żelaza)1981-ポーランドの映画-152min アンジェイ・ワイダ監督(Andrzej Wajda,1926 - 2016/ポーランドの映画監督)
脚本:アレクサンドル・シチボル=ルィルスキ(Aleksander Scibor-Rylski)
キャスト:
ヴィンケル(グダニスク放送局):マリアン・オパニア
マチェック/ビルクート(かつての労働英雄):イェジー・ラジヴィオヴィッチ(二役)
マチェックの妻アグネシカ:クリスティナ・ヤンダ
シデク(グダニスク放送局):ボグスワフ・リンダ
「大理石の男」(1977)の続篇で
「大理石の男」(1977)の続篇で、ポーランドの自主管理労組「連帯」の社会的・政治的位置づけについて思考、考察する、ワイダ監督の一連の体制批判の社会派映画。
そこには、メディアへの批判、検閲、汚職がテーマだろう、そして、結論づける訳ではないが、労働者とインテリジェンスのはざまでの、つながりを示唆する。
原題:Man of Iron Czlowiek za zelala -Trailer
LET'S CEE presents MAN OF IRON (Poland 1981)-Trailer
Człowiek z żelaza. Zwiastun/ Man of Iron. Trailer
解説(部分です) - Człowiek z żelaza
1980年8月。ワルシャワ放送局(共産党政権下)のラジオ番組のジャーナリスト(リポーター)である、ヴィンケル(マリアン・オパニア)は、大規模なストライキが行なわれているグダニスク造船所に取材に派遣された。
ストライキが行なわれている造船所にもぐり込み、その指導者マチェック(イェジー・ラジヴィオヴィッチ)を失墜させるのが、そのリポーターの目的だった。
指導者マチェックとその周辺の人物たちの資料を公安警察から受け取ったリポーターのヴィンケルは、マチェックの妻アグネシカ(クリスティナ・ヤンダ)に会うことを勧められた。
そのマチェックの妻アグネシカ(クリスティナ・ヤンダ)は、かつてマチェックの父で「労働英雄」のビルクート(イェジー・ラジヴィオヴィッチの二役)のドキュメンタリーを撮録、それが縁でマチェックと結婚した。
しかし、労働者を支援したために、今は拘置された状態だ・・・
そして、翌日、グダニスク造船所の門の前で群衆に呼びかけているマチェックを発見したリポーターのヴィンケルに声をかける者がいた。
それは、グダニスク放送局で会ったことのあるシデク(ボグスワフ・リンダ)で、シデクは、ヴィンケル(リポーター)を局内の映写室に案内すると、1970年の街頭デモのフィルムを見せた、そして、マチェックについて語りはじめた。
ヴィンケルは、徐々にマチェックと「連帯」に対する共感を覚える。
それは、1968年の学生蜂起(ほうき)から2年後のデモ、そして、ビルクート(かつての労働英雄)の死を経て造船所の技師となるまでを・・・・
・・・・・・
共産主義社会の・・・
共産主義社会の矛盾を淡々と具体的な視点のドラマで描いた、ワイダ監督の力作だ。
1981年 - 第34回カンヌ国際映画祭パルムドール賞
(私的に)ワイダ監督の一連の映像の全体像は、今現在(2022.4)時点に起きている、非人道的な武力の前に、この時代に、また、繰り返すとは・・・ それは、ワイダ監督の遺作「残像」(Powidoki)から、振り返って、右往曲折があろうとも、ワイダ監督自身にも、21世紀に想定できない事象だと存じます。
ワイダ監督の特集のようになってしまったが、この後、抵抗三部作として、地下水道、世代、そして、遺作である「残像」へ、ランダムですが続きます。お時間の許す折に・・・