写真家LORETTA LUX- 失われた楽園のメタファー
ロレッタ・ラックス(LORETTA LUX 1969- 現アイルランド在住)
現代写真を代表するドイツの女性写真家の1人。
幼い子供達(主には少女)の時間が静止したような超現実的な肖像写真で著名だ。
そのコンテンツから、スーパーリアリズムの絵画の形態を思い起こすが、CGで作成されたような奇妙に人工的な静止した空間にあるポートレートだ。それは、メイクから衣装、小道具等々、計算され尽くされ、作り込まれた美と不思議さを感じる奥行(CG)だ。いわゆる、公園で遊ぶ子供らしい、やんちゃな子供たちは、そこにはいない。
その手法は、デジタルカメラで撮影した子供たちと、別に撮った風景写真や描いた背景(CG)をPCで合成してイメージを制作してしている。
「私は、失われた楽園のメタファー(暗喩)として子供たちを被写体としている。」ロレッタ・ラックス
(c)LORETTA LUX
1969年、東ドイツのドレスデン生
1989年、ベルリンの壁崩壊直前に旧東ドイツのドレスデンからミュンヘンに移り住む。
1990年-1996年、ミュンヘン造形芸術アカデミーで絵画を学ぶ。
1999年、写真に関わる。
2004年、NYのギャラリーでデビューした。欧州、アメリカ合衆国での評価が高い。
2005年、写真集「LORETTA LUX-」は、大きな評価を得る。以降、展示会等グローバルに行われる。
子供時代について「この世の醜さに苦しんだ」-LORETTA LUXと語る。その時々の記憶が、心地よい愛らしさと、ある意味不気味な不安感、という相反する感情の同時性(ambivalent)の反映として表現されているのだろう。
そして、その流れはゲルハルト・リヒターの影響を受けていると感じるのだが・・・
写真、イラスト等のデジタル化、そして、Computerの介在はスタンダードとなった今、写真と絵画の閾を往来する世界を感じるコンテンツだ。
(c)LORETTA LUX