写真家ロイ・デカラバ「The Work of Art」
ロイ・デカラバ「The Work of Art」
写真家ロイ・デカラバ「The Work of Art」
写真の概念を芸術に変えたアーティストである、ロイ・デカラバの最初の写真個展は、1950年にニューヨークのGallery 44th St, New Yorkで開催された。
この展覧会を通じて、ロイ・デカラバは、その当時ニューヨーク近代美術館 (MoMA)の新設された写真部門のディレクターだったエドワード・スタイケン(Edward Steichen,1879-1973/アメリカの写真家・画家)と出会う事ができた。そして、エドワード・スタイケンは美術館のコレクションのために3枚の画像を購入した。
1952年、エドワード・スタイケンの支援により、ロイ・デカラバは、アフリカ系アメリカ人として初めて、グッゲンハイム記念フェローシップ(Guggenheim Fellowships)を獲得した写真家となる。
1年間のGuggenheim Fellowships助成金により、ロイ・デカラバは、フルタイムで写真撮影に集中し、最終的に『The Sweet Flypaper of Life』(いじらしい、ハエ取り紙のような生活)となるプロジェクトを完成した。
"The Sweet Flypaper of Life"
そこには、ハーレムの都会的な環境を舞台にした、感動的な写真詩的な作品だ。
ロイ・デカラバは、ラングストン・ヒューズ(Langston Hughes,1902 - 1967/詩・小説・戯曲・短編・コラム作家)が 141 枚を選んだ一連の写真画像を編集し、 NY市内での都市での生活を反映した架空のナレーション (ハーレム居住者の声から) を巧みに提供した。
この書籍は、写真視覚文学の古典として考えられているが、何度か絶版となり、その時代のニーズに応じて再版された。
また、エドワード・スタイケンは、「The Family of Man」 (1955 年)などは、1965年まで国際的に巡回した。そして、ニューヨーク近代美術館 (MoMA)での、多くのグループ展にロイ・デカラバを参加させ、その結果、海外でも、ロイ・デカラバの作品の認知度が上がった。
そこには、ドキュメンタリー写真以外に、アートの様相が強く感じられた世界があったからだろう。
The Work of Art
ロイ・デカラバ(Roy DeCarava)
ロイ・デカラバ(Roy DeCarava,1919–2009/アメリカの写真家)
写真の概念を芸術に変えたアーティストの1人だ。
ロイ・デカラバは、ニューヨークのハーレム地区で生まれ、ニューヨーク市内の公立学校(繊維高校)で美術を学び、1938年に卒業。
その後、彼は作品のポスターの仕事に就いた。そして、クーパー・ユニオンへの入会が認められる前に、プログレス・アドミニストレーション(Works Progress Administration)で版画や絵画を短期間制作した。ロイ・デカラバは 1940年まで、クーパー・ユニオンで学び、その後、Harlem Community Art Center (1940 -1942/連邦芸術プロジェクト(1935 ~ 1943 年)
ロイ・デカラバは最初、絵画の視覚情報を収集する手段として、写生の代わりにカメラを使用していた。
その後、彼は媒体の直接性と柔軟性を賞賛し、芸術表現の主な手段として写真(35mm Film)に切り替えた。
1975年に、ロイ・デカラバは、ニューヨークのhunter collegeの教員に加わり、1988 年にニューヨーク市立大学の芸術の特別教授に任命された。
後継の育成にも意欲的であった。
アルフレッド・スティーグリッツとロイ・デカラバを考える
*アルフレッド・スティーグリッツ(Alfred Stieglitz, 1864-1946 US/写真家)は、近代における写真という方法論に多くの影響を与えた人物だが、その後、写真と芸術を結びつけたロジックは、ロイ・デカラバの業績だろう。
ただ、そのベースには、アルフレッド・スティーグリッツや、その流れのストレートフォトグラフィの視点もあってのことだろう。しかし、アメリカのアート写真界の巨人と言われ、ただ、アフリカ系アメリカ人の生活と文化の側面を記録した、と言うよりむしろ、本来のの人間の経験を垣間見て詩的に構成されている。
写真史に於ける概論
(註)*Alfred Stieglitz-写真という方法論の確立
#1)写真史-ストレートフォトグラフィの周辺
フォト・セセッションは、芸術としての写真の位置づけを目指した。
ロイ・デカラバのアートワーク
次回も、ロイ・デカラバのアートワークに続きます。お時間の許す折に・・・
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