2020年代のリテラシーを考える:カルロ・ロヴェッリの持論
2020年代のリテラシーを考える:カルロ・ロヴェッリの持論から
従来、地球は不動であり、世界の中心を成すと信じられていた。ある意味、今もそうかも知れない。
そして、クォークやブラックホールや、光の粒子や、空間の存在を我々は学んできた。
ただ、人類が成長するにつれ、「現実は目に映る姿とは異なる」ことに気づく事になる。
それは、“時間”の再解釈:*カルロ・ロヴェッリのロジックだろう。
(註)*カルロ・ロヴェッリ(Carlo Rovelli,1956- /イタリア/理論物理学・作家)
現実とは、粒状の網の目にほかならない。それは、基礎物理学の一分野である、「量子重力理論」が新奇な世界(宇宙物理の先端理論)を、今、明らかにしつつあると言うことだ。
それは、1人1人が違う時空間を生きているということになる。
そして、ここ四半世紀(Quarter century)のイノヴェイションを支えてきたデジタル革命は、いわゆる「0と1の世界」だった。しかし、今は違う、量子の世界は、0でもあり、1でもある状態が現れる世界だ。2020年代に必須である、「FUTURES LITERACY」(未来のリテラシー)に視点をあわせて考えてみたい項目だ。
(註)*カルロ・ロヴェッリのロジック:一般相対性理論と量子力学を統一すべく、現在、世界の第一線の物理学者がしのぎを削る「量子の重力理論」のひとつである、「ループ量子重力理論」を唱える。
その著書「時間は存在しない-日本語版」(本来は、時間の順序)で客観的で確実な空間や時間はこの世界に存在しないと言うロジックだ。
それは、アンリ・ベルクソンの「物質と記憶」を想起させる。
繰り返すが、1人1人が違う時空間を生きていると、カルロ・ロヴェッリは、そのロジックを展開する。
以下、参考文献の1つである、WIRED - Vol.36
・カルロ・ロヴェッリとのQ&A(その書評も含めて、概略の抽出と参考としての部分を引用)
デジタルと量子の0と1について(Quantum Physics/量子物理学)
QUESTION_1:
ここ四半世紀のイノヴェイションを支えてきたデジタル革命は、いわゆる「0と1の世界」でしたが、量子の世界は「0でもあり1でもある状態が現れる世界」です。こうした「量子の世界」を正しく“想像力の源”に使うことで、ここ25年間のデジタル時代とは違う、人類は、新たな世界観を獲得できるか?
ANSWER_1:
半導体をはじめ、デジタル革命を実現させるテクノロジーは、量子力学に基づく、それは、量子論を理解せずして、人類はコンピューターを手にすることは出来なかった。
しかし、量子論に規模は違い、デジタル記述されたコードより、巨大な可能性をもっている。そして、まだ、その大部分をわたしたちの文化は吸収できていない。
QUESTION_2:
量子物理学の登場はおよそ100年前ですが、2020年代に期待されるブレークスルー(本質的な課題を打ち破る革新的な解決策)は何でしょうか?
ANSWER_2:
量子物理学と相対性理論のこれだけの進展について、20世紀初めには誰も予想できなかったように、今後のブレークスルー(革新的な解決策)が何かについては誰にもわかりません。しかし量子重力理論は、これまでわたしたちの中心にあった時間や空間の役割を塗り替え、世界をひもとき、未来をかたちづくる役目を果たすのだと考えます。
QUESTION_3:一般相対性理論と量子力学を統一すべく、あなたが唱える「ループ量子重力理論」は時間や空間の存在の絶対性自体を問うものですが、人類は、時空の制約から逃れた事を究極的には希求するものだろうか?
ANSWER_3:
ルーク量子論を深く考察すると、従来からの時間や、空間の捉え方が異なり、従来系の解釈や、その思考を変える必要がある。それは、「ループ量子重力理論」の基礎方程式には、時間は存在しないからです。
(また、超ひも理論は、期待された結果を得られていない)
そして、万物の理論は未だ、謎に満ちている。
また、一般相対性理論と量子力学は、ミクロな時間や、空間の「離散的」ロジックは明確になる状況にある。
時間・空間からの自由は、人の本質だ。それは思考の中での事だが、日常で「実存性」を理解すべきでしょう。
(それは、近似値≒に過ぎないが・・)
QUESTION_4:
ヴァーチャルリアリティ(VR)、多様な複合現実(MR)が生まれる中で、リアル・リアリティ(Real Reality)の複数存在する、「現実の1つ」、その時代に人類はどう生きるべきか?
ANSWER_4:
私たち全員が、すでに複合存在するリアリティの中で生きている。
それは、私たちの世界観は、それぞれ異なるが、一緒に生活を続けている。
そうでないと、つまらない世界になってしまう。
QUESTION_5-6:
「FUTURES LITERACY」(未来のリテラシー)の入手と、時間は存在しない(時間の順序)から・・・
未来を考えると?
そして、(6)意識とは何か、この10年で解答は得られるか?
ANSWER_5-6:
人間は、時間的視点の中で生きざるをえない。
それは、人という存在は、時間的視点、作られたものだからだ。
マインドは、時間の中で生じる現象だ。
ただ、我々は、人為的な先入観で、捉えていることが多い。
FUTURES LITERACY、幅広く・・単一の視点で走らないことだ。
(6)-未だ、はっきりとした定義はない、ただ、意識の問題は、我々が間違った方法で、定式化している事には気づくでしょう。
QUESTION _7:
生物学者のヤーコブ・フォン・ユクスキュルの提唱した「異世界」は、あらゆる動植物や地球も、それぞれの時間を生きているとしたら・・
人間中心の世界を変えて、未来を構築することは可能か?
ANSWER_7:
人間中心の視点から、抜け出す事を願っている。
人間は、他の動物と多く異なっている訳ではない。そして、「生命」は特別なものと思われてきたが、どうやら、そうでもないと気づきはじめた。
それは、私たちの人類の、宇宙で起きている、さまざまな事象の中の、ほんの小さなひとつにすぎないからです。
キーワードとしては、ANSWER_5にある、
我々の視点が、人為的な先入観で、捉えていることが多い、それを知っておく必要がある、と言うことだろう。