ジャン・デュビュッフェの「アール・ブリュット」以前のアウトサイダーアートを考える
(#1)アール・ブリュット以前の創成期(スピリチュアリズムの初期の作家)
アール・ブリュットは、1945年頃から、ジャン・デュビュッフェにより、造られた造語だ。
それらの理解のために、その辺りの流れを考えてみると・・。
1)メーヌ・ド・ビラン(François Pierre Gontier Maine de Biran,1766-1824/仏-哲学者・政治家)が「オートマティスム」(自動記述-自動書記)の概念の提唱をしている。(ヘッダーはメーヌ・ド・ビラン)
2)オートマティスムは、18世紀後半には、「夢遊状」の症例からの報告がなされている。
1874年、アメリカの片田舎で「霊がノックする音」を聞いたという。死者との交信、いわゆる、スピリチュアリズムが話題となり、広がりをみせた・・
その背景を考えると、伝統の的な共同社会(Gemeinschaft-ゲマインシャフト、共同体組織)から、産業社会(Gesellschaft-ゲゼルシャフト、機能体組織、利益社会)へと向かう、社会不安の要素があり、西欧では、スピリチュアリズムが語られるようになる。(産業革命からの流れに要因するだろう)
3)スピリチュアリズムの初期の作家
・エレーヌ・スミス(Hélène Smith,1816-1929/スイス):エレーヌ・スミスの火星の風景と火星人の言語
オートマティスムによる自動書記で描く、それは、エレーヌ・スミスは、火星人とコミュニケーションを取り、ヒンドゥー教の王女とマリー・アントワネットの生まれ変わりであると主張している。
いわゆるトランス状態(通常とは異なった意識状態)で描いているのだ。
シュルレアリストの力の証拠、および超現実主義の知識のシンボルとしてエレーヌ・スミスが見られていた。
・オーガスティン・ルサージュ(Augustin Lesage,1876-1954/仏)
:スピリットガイドの作品か、ビジョナリー・アートなのか
・ジョゼフ・クレパン(Joseph Crepin,1875-1948/仏)配管工・屋根職人、民間医療施術者、そして画家。
ジョゼフ・クレパンの未来を予言する魔術の画家
・このあたりが、ジャン・デュビュッフェの「アール・ブリュット」の前夜かも知れない。このオートマティスムは、アンドレ・ブルトンの項目に関して、シュルレアリスム宣言として、文章化されている。
(註)オートマティスムから、シュルレアリスムの流れ、そして、その流れは、ジャン・デュビュッフェに至り、アールブリュットの語源とそのロジックの構成に至る予定です。それらは、「イメージと文化」というキーワードのもとのコラムとなります。この流れは、(#2)「アール・ブリュットへの流れ(精神病者の芸術性)」、そして、21stとなり、その反論へ、また、その間には際立つ、アウトサイダー作家もコラムにして参ります。
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