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区切り
金魚がいなくなって2ヶ月。その後、誰もいなくなった水槽でも、流木や水草などを鑑賞するためにそのままにしていたのだが、息子に「なんで片付けないの?」と言われて、やっぱりそうだよなぁと思い、今日、水槽を掃除することにした。
水は綺麗だったが、誰もいない気配に改めて寂しくなった。ドキドキして砂利を入れた時を思いだしながら、今度は砂利を洗い出す。植木の土のクッションに再利用した。ゴシゴシと洗うたびに、買った当初の輝きになる。
禅でも「余白ができないと新しいものが入ってこない」と言う。思考まみれの散らかった頭には、静寂な精神が降りてくる余地が無い。
綺麗で空っぽになった水槽を干していると、そこにはもう「金魚がいなくなった空間」ではなく、「生き物を迎える準備をする空間」に変化していた。なるほどな、と思った。
また、いつか迎えられる日が来るのか。この水槽を買った近所の熱帯魚関係のお店も潰れてしまったし、ホームセンターではフィルターなどの備品も揃ってなくて苦労した。
またその時が来るまでに。まずはリセットできてよかった。
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水槽を掃除していると、ぷかっと浮いてきたものがあった。「まりも」だ。ずいぶん昔に小さな瓶で迎えて、金魚の水槽に引っ越しさせた。忘れてて流しそうになった。危ない危ない。ごめんよ。
まりもは生きている。まだまだ長い付き合いになりそうだ。少し気が楽になった。
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