短編小説 「対価」 前編
完全かつ、確固たる、疑いようのない完璧な二日酔いで目を覚ました。
アパートの布団の上で、目覚ましアラームの乱暴な音で、強制的に眠りの泥沼の底から一気に釣り上げられた。せっかくの休日だというのに、いつも通りに目覚ましが鳴ってしまい目を覚ますのは、この上なく損をした気分になる。
二日酔いの朝ほど不快なものはないといつも思う。だったら飲まなければいいのに、なんて言えるのは、酒を飲めない体質で、酒飲みの気持ちを想像できないアホか、もしくは自制や抑制ができる強い人間だ。ただ、そいつ