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短編小説集

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ちょっと空いた時間に、心のサプリ。心のおやつ。物語の世界へ旅をする。そんな短編小説を集めました。
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#note小説

スイカのピンク

「これから、大変なことが起こるんだって」 私は仕事から帰ってきた亀田さんにそう言った。 …

「デジャヴ」 (短編小説)

あと一人だ…。あと一人を抑えれば終わる。 このゲームで勝ち数を取らないと、クライマックス…

「眠りさん」 後編 (短編小説)

前回のあらすじ 不眠症で悩む僕の元に、深夜に突然彼はやって来た。彼は「私はあなたの“眠り…

「眠りさん」 前編 (短編小説)

深夜2時に、玄関のインターフォンが鳴った。これはマトモなことじゃない。こんな夜中に誰がや…

「神様っているのかな?」 (掌編小説)

「ありがとうございます、おかげで助かりました」 お礼を、言われた。 (は?俺が、人からお…

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短編小説 「対価」 後編

突然「タバコ」が存在しなくなった世界に来た主人公。 こちらの続きです。 ☆ それから1週…

短編小説 「対価」 前編

完全かつ、確固たる、疑いようのない完璧な二日酔いで目を覚ました。 アパートの布団の上で、目覚ましアラームの乱暴な音で、強制的に眠りの泥沼の底から一気に釣り上げられた。せっかくの休日だというのに、いつも通りに目覚ましが鳴ってしまい目を覚ますのは、この上なく損をした気分になる。 二日酔いの朝ほど不快なものはないといつも思う。だったら飲まなければいいのに、なんて言えるのは、酒を飲めない体質で、酒飲みの気持ちを想像できないアホか、もしくは自制や抑制ができる強い人間だ。ただ、そいつ

「絹さや」(掌編小説)

4月23日(日)17時〜、アクロス福岡にて。 トークイベント、と言っても、何をするかはその時…

マユミと黄色いジャガイモ (小説)

マユミと黄色いジャガイモ  ある日曜日、妻に買い物を頼まれた。  渡されたメモ用紙を片手…

帰れなくなった男 (短編小説)

パラレルワールド(並行世界)って知ってますか? 今回のnoteは、そんな、ちょっと不思議な小…

小説 「蝉時雨」

はじめに。 こちらの短編小説は、いわゆる「書簡体」というタイプで、一人の女性の手紙がその…

小説 「祈り」 #2

前回の続きです。 4 立川明美 午前9時40分頃 「明美さん!ちょっと聞いた?近くでおっ…

記憶浄化サロン「ゼロ」(短編小説)

 音楽ではない。水が流れるせせらぎの音の中に、クリスタルボウルのような響きがいくつも重な…

田舎暮らし小説 「水脈」

都会から田舎へ移住した人が、田舎暮らしの生活の中で、生きるヒントに出会う短編小説。 今回のテーマは「パートナーシップ」です。 ☆ 「水脈」 「水はまだあげないでいいのよ」 夏子さんはそう言ったけど、 「でも、最近雨降ってないし…」 と反論した。せっかく育てた夏野菜の植物たち。苗を定植し、畑ですくすく育っていたけど、今年の空梅雨で、雨がしばらく降っていない。みんな、どことなく元気がなさそうだった。 「水をあげるとね、そりゃこの子たちは喜ぶわ。あげたくなるよね」