「眠りさん」 前編 (短編小説)
深夜2時に、玄関のインターフォンが鳴った。これはマトモなことじゃない。こんな夜中に誰がやって来るのだ?
僕はベットからのっそり起き上がる。どうせ起きていたので、眠りを妨げられたという怒りはない。ただ不安なだけだ。
そしてそっと足音を立てないように玄関に行き、覗き窓から様子を伺う。
そこには見慣れない若い男がいた。歳は自分と同じくらいだろうか…。にこやかな表情だけど、どこか不安げなのが見て取れる。無地の紺色のTシャツにジーパンという格好だった。この頃5月にしては陽気な日が