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短編小説集

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ちょっと空いた時間に、心のサプリ。心のおやつ。物語の世界へ旅をする。そんな短編小説を集めました。
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記事一覧

お魚、キレイに食べるんだね

「お魚、食べるの上手ですね」 若い女性に言われた。感心してるようだった。 その日は午前中…

スイカのピンク

「これから、大変なことが起こるんだって」 私は仕事から帰ってきた亀田さんにそう言った。 …

天使 「EL」の話 前編

私がガイア、つまりこの「地球」と呼ばれる惑星に受肉したのは、もうずいぶん昔のことになりま…

「デジャヴ」 (短編小説)

あと一人だ…。あと一人を抑えれば終わる。 このゲームで勝ち数を取らないと、クライマックス…

「神様っているのかな 」#2 (短編小説)

母が足を怪我をしてから、しばらくの間、“アズキ”の散歩が私の日課になった。 私が住むマン…

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「眠りさん」 後編 (短編小説)

前回のあらすじ 不眠症で悩む僕の元に、深夜に突然彼はやって来た。彼は「私はあなたの“眠り…

「眠りさん」 前編 (短編小説)

深夜2時に、玄関のインターフォンが鳴った。これはマトモなことじゃない。こんな夜中に誰がやって来るのだ? 僕はベットからのっそり起き上がる。どうせ起きていたので、眠りを妨げられたという怒りはない。ただ不安なだけだ。 そしてそっと足音を立てないように玄関に行き、覗き窓から様子を伺う。 そこには見慣れない若い男がいた。歳は自分と同じくらいだろうか…。にこやかな表情だけど、どこか不安げなのが見て取れる。無地の紺色のTシャツにジーパンという格好だった。この頃5月にしては陽気な日が

「神様っているのかな?」 (掌編小説)

「ありがとうございます、おかげで助かりました」 お礼を、言われた。 (は?俺が、人からお…

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掌編小説 「戦わない、生き方」

「負けたんだ…」  ほんの一瞬で人の気分は変わってしまうものだが、恭介はそんな人間の脆さ…

短編小説 「対価」 後編

突然「タバコ」が存在しなくなった世界に来た主人公。 こちらの続きです。 ☆ それから1週…

短編小説 「対価」 前編

完全かつ、確固たる、疑いようのない完璧な二日酔いで目を覚ました。 アパートの布団の上で、…

キング・ママのポーカー占い (短編小説)

長田ヒロトは手札を持ち、視線をぼんやりとそこに落としたまま、彼だけ時間が止まっているかの…

「絹さや」(掌編小説)

4月23日(日)17時〜、アクロス福岡にて。 トークイベント、と言っても、何をするかはその時…

「魔法の果実」

「魔法の果実」 昔々あるところに、とても立派な王様がいました。 王様は優秀で、公平で、分け隔てなく国民を愛し、いつも国の人たちの想い、自分の幸せよりもみんなの幸福を考えた政治をしていました。 だから王様は国の人たちからとても慕われていて、とても人気がありました。 大人から子供、お年寄りまで、みんな王様を好きで、信頼していました。 だから国民たちは、王様が自分達を信頼してくれているように、王様を信頼し、尊敬し、優しい王様に依存せずに、自分達も率先して家族や地域を守り、一