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人の人との繋がりのある、田舎の美しさ。*Ortonovo オルトノーヴォ*
11世紀から12世紀にかけて造られたOrtonovo(オルトノーヴォ )村。Ortoは菜園や野菜畑の意味。novoは新しいの意味。「耕作するための新しい土地」という名を持つ村です。
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地図にも通りの標識にも、オルトノーヴォと示されていますが、2017年4月20日から、ルーニへと名称が変更になったという面白い村。
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村の入り口にある水飲み場。
どうして村名が変更になったのか興味が湧き調べてみたら、住民投票で決めたらしいです。93.20%が変更する。6.8%が変更しない。圧倒的多数でルーニに変更決定。
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その表示。
なぜルーニと名前を変えたかったのか? さきほど立ち寄ったルーニ円形劇場。白ワインで有名なルーニの丘のワイン(Colli di Luni DOC)。「ルーニ」という名前は、世間一般に認知度が高いため、村の観光誘致として有効と判断したためです。
5年も経っているのに、自分たちで決めたはずなのに、地元の人は相変わらずオルトノーヴォと呼び、ルーニと呼ぶ人は誰もいず、標識も変わってない事実無根のルーニ村。そのまま行きそうな気配です。
村の広場に建つ、サンティ・ロレンツォ・マルティーノ教会。隣には、建設された年代が明らかに異なる、不思議な形の鐘楼。
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村の入り口。門の上には、ジョルジョ聖人がドラゴンを退治している絵が飾ってあります。ジョルジョ聖人地区という意味かもしれません。
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美観を保つようにとか、そんな条例は一切ない小さな村の一角。オレンジ色が鮮やか!暖かい茶色の風合いと、鉄の手すりとのコンビネーションは、まるで演出されたかのよう。
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イタリアでいいなぁ、と感じるひとつが、鎧戸やドアが木製であること。外観の美しさを損なうのを嫌うのか、風雨を防ぐには耐久性のあるアルミ製が機能的には良いはずなのに、ほとんど見かけません。
そして玄関先に無造作に置いてある物干し網と洗濯バサミ。この崩し感がいいのです。
赤い椅子が素敵です。椅子に座って雑誌を読んでいたら、観音開きに開いている緑の鎧戸からおとなりさんが顔を出し、おしゃべりが始まりそうな雰囲気。
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普通のアパートのようですが、マリア様が描かれています。サッカー少年が写り込んでしまった。彼とはいく先々で偶然に鉢合わせをしてます。村の入り口のジョルジョ聖人のトンネルの中でも彼を発見。
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夕方に訪れた時は、子供達が広場で遊んでいましたが、村を散策していると、先ほどの子供達が、誰かのお母さんにもらったお菓子を、小さな軒先でワイワイと食べている姿を見かけ、通りがかる大人達は、「お前たち、いっちょまえに食前酒しているのか!」と話しかけていて、まるでイタリア映画のワンシーンのようでした。
この村では壁に自由に絵を描くことができるようです。絵の才能があって羨ましい。
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昔の村の様子も壁に描かれていました。
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村に入る前に見た、不思議な形の鐘楼。
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グイニージ塔といいます。
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グイニージ塔という同名の塔が、ルッカにあります。
それもそのはず。ルッカの君主パオロ・グイニージが1404年にこの村を購入し、塔を造らせたんです。
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ルッカの塔には、頂上に木を植えらせ、そこで寛げるようになっています。権力を掌握した君主グイニージは、一番高いところから国を見渡し、「わが国よ」と悦に入っていたのかもしれません。
オルトノーヴォ村の塔からの風景は、生い茂る緑の山に囲まれ、平地ではマグラ川が光を照らし、遥か遠くには海原が広がる絶景。ここに愛する妻と子供達を連れてきて、ひとときの和やかな時間を過ごしたと、言い伝えられています。
村を歩いていて気になった、壁の汚れや、足場。
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今年の8月18日は、強風と土砂降りがトスカーナ州とリグーリア州に爪痕を残した日。海沿いで大きな被害が出たと報道していたけど、竜巻きが直撃したのが、このオルトノーヴォ村だったんです。
村を散策するのに駐車場を探していたら、屋根瓦の瓦礫が積んであり、ただならぬことが起きたと感じたけど、まさか竜巻きが通り抜けたとは思いもよりませんでした。そして、これほどまでの被害を被るとは。
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報道で知るのと、目の当たりにするのとでは、印象がまったく異なります。
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朝の10時なのに、空は真っ暗。風が叫び、吹き飛んだ屋根瓦が、狭い路地を挟んだ向かい側の屋根の上に並行移動し、壁は剥げ落ち、竜巻きが早く過ぎるのを、ただひたすら祈るしかなかった。と、村の人が話しを聞かせてくれました。
写真を撮っていると、通りがかりの方に話しかけられました。
こんな足場ばかりで、ごめんなさいね。本当は素敵な村なのよ。壊れたものは、修復すれば元通りになるから、ちょっとの辛抱ね。
こうなってしまったものは仕方がない。悔やんでも、もとには戻らないから、前を向いて、前進あるのみ。そんな、強い心を感じ、とても胸に刺さった言葉でした。
日常だけど、日常じゃない環境で、村の男性陣が、とてものんびりした機械で、通りに落ちた瓦礫を駐車場に移している傍、子供達がサッカーをし、同じ広場のベンチでは、お母さん達がおしゃべりをしている風景。
人の人との繋がりがある、豊かな村、元気な村。これがオルトノーヴォ村の印象でした。
オルトノーヴォ村に行くときに、うわ!とシャッターを切ったところ。次回は、ここに行きたいです。
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オルトノーヴォ村からみたニコラ村です。ここは、コロナのロックダウンの頃、トスカーナ州内だけは移動可能のときがあり、田舎をドライブしていて、立ち寄ろうとしたことがあります。
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ニコラ村はトスカーナ州とリグーリア州の境にあり、すでに中腹まで登っている時に、地図で調べたらリグーリア州であることがわかり、警察に見つかったら罰金。
さらに、すり鉢を逆さにしたようなところにある村へは、ものすごく急で細い坂道を登らなければならず、罰金の危険と、急な坂道の危険とで、寿命が5分くらい縮んだのを覚えてます。
かくあり、ニコラ村は、惹かれつつも、まだ足を踏み入れていないところです。いつかは行ってきます!
今後も、小さな村シリーズは続けていきます。
もし興味のある方がいれば、いままで訪問した村がどこにあるか、簡単に位置関係をご案内します。イタリア地図の赤丸のところです。
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車は必須です。ジェノヴァ方面へ高速道路を走らせて行くと、道路の両端に、小さな村々があり、マグラ川周辺に村が造られていったのがわかります。今回はそのいくつかを訪ねたものです。
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もう少し拡大したもの。
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村散策。お付き合いくださりまして、ありがとうございます!
次回も、またお会いできたら嬉しいです!
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