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持続可能な暮らしと、エネルギーと食について。

エネルギーと食の依存率が高い日本

次の2つのグラフが示すように、日本のエネルギー自給率・食糧自給率いずれも諸外国と比べると低く、海外に大きく依存しているのが現状です。特にエネルギー自給率はOECD36カ国中35位と燦々たる結果です。

引用:経済産業省資源エネルギー庁HP(日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」)より
引用:農林水産省HP(諸外国・地域の食料自給率等)より

私は、エネルギーと食と快適な住居さえあれば、大抵の問題は乗り越えて暮らしていけると考えています。
住居はさておき、暮らしにおいて欠かせない「エネルギー」と「食」の自給率が低い日本において持続可能な暮らしを実現するためには、私たち一人ひとりが、「エネルギーや食糧は誰かが(当たり前に)用意してくれるもの」と受け身でいるのではなく、”自ら創り出す側”にならなくてはいけないと考えています。

エネルギーの自給自足は可能だろうか?

エネルギーの自給自足のためには、その源である電力源を確保する必要がありますが、お天道様(太陽)を活用しない手はありません。なにせ、無料ですから。
現在でもソーラーパネルによる発電と蓄電池で自分が作った電力を使えるという仕組みはありますが、あくまでも系統電力に接続することが大前提であり、余分に発電した電力は売電し、不足した場合は系統電力を通じて供給するという完全な自給自足とは言えない形です。

海外では、太陽光電を基本とした系統電力に繋がない独立電源(オフグリット完全自家消費型)がある程度広まっていますが、日本ではほとんど見られないのが現状です。
この疑問に答えをくれたのが、あの電気自動車のテスラです。米国ではすでに電気自動車だけでなく住宅のソーラーパネルや蓄電池をオフグリッドに対応する形で提供しており、私はそれを日本のこれから作るエコハウスで実現したいと考えています。
こちらについてはまた今後書いていきたいと思います。

食の自立とは何だろうか?

エネルギーに加え、もうひとつの重要な要素が食です。持続可能な暮らしにおいて、食をどのように確保していけばよいのでしょうか?
食も自給自足ができれば良いのですが、それは簡単なことではありません。自分自身が農業従事者になるしかありませんから。
私が考える一つの答えは、地域ネットワークです。

私は、10年ぐらい前から自宅(東京)近くの農家さんが提供する有機農法クラブに参加しています。農家さんに有機農法の指導を直接受けながら春夏秋冬の野菜を作っています。本来そこはキャベツを主として営農とする農家さんですが出荷できない形・大きさのB級品の野菜(本来捨ててしまうそうです)は自宅用に無料で頂けるなど、双方にとって大変ありがたいコミュニティです。

1年間を通して、さまざまな野菜を有機農法でつくるクラブ

このような、地域の農家さんと住民が直接つながり合い、労働力と”勿体無いの解消”、食料の供給という双方のニーズを満たし合う関係こそ、今の日本で最も現実的な食の持続可能性のあり方なのではないかと思っています。

私は大学の教員としてエコデザインの研究もしているので、様々な方策も探りたいと思います。果樹やハーブ、家庭内菜園、発酵食など料理の工夫など、地域ネットワークで足らない部分をどのように補えるかについても考えていきたいです。

これまでの食に関わる研究についても少し触れていきます。

シンガポールの垂直農法

2014年シンガポールに垂直農法の現状を見に行きました。
土地の狭いシンガポールでは食糧のほとんどをマレーシアやインドネシアから輸入しています。そんなシンガポールで土地を有効に使用するための「垂直農法」という仕組みがあることをインターネットで知りました。

立方体のガラスハウスの中に、エネルギーを最小にした水車の原理を使用したグルグル回る植物棚を立てて、水耕栽培の野菜を育てます。できた野菜はスーパーで売られます。現在は私が行った時よりかなり拡大しているようです。
https://www.skygreens.com

世界初、商用スケール「垂直農場」がシンガポールに誕生
国土の面積がわずか約700キロ平方メートル。都市部がほぼ全体を占めており、農業に利用できる土地はほとんどない。シンガポールでは、この垂直農場を活用して食料自給率の向上を目指すという。

引用:シンガポールのスカイグリーン紹介のHPより 

この方法は狭い土地でも食料が作れるということの証明です。住宅地の狭い日本でも、この方法を取り入れることでもっと効率的に野菜が育てられるのではないでしょうか?

シンガポールの垂直農園「スカイグリーン」の建設現場にて 2014年8月

ハバナの都市農法

2017年3月、都市農法を実際に見るためキューバのハバナに行きました。キューバは1990年代の旧ソ連崩壊の時、当時のソ連から食糧の支援が受けられなくなり、国を上げて食糧需給の方策のため、有機栽培による都市農法を取り入れた国です。

戸建の各庭には、必ずと言って良いぐらいバナナやヤシの木、マンゴーなど果樹が植えてあり、各家庭ではそれらを日々の食糧として取り入れていました。
食糧需給が整った現在、各住まいで農業までしている姿はあまり見掛けられませんでしたが、今でもちょっとした果樹のような食物を保有し日常的に活用する家庭が数多くあるのです。

ハバナの地域農業センター。さまざまな野菜が作られ、新鮮な有機野菜を市民は購入することができる

千葉大学農学部の植物工場研修の受講

2017年から2018年にわたり、植物工場の基本を学ぶため、千葉大学農学部が主催する植物工場研修を受講しました。水耕栽培を基本にした、太陽光利用型とLED利用の閉鎖型の基本学習です。
ここで学んだことを、自宅のマンションの窓際で小さな水耕栽培の実験を行ってみましたが、植物工場のメリットや伝統農業である露地栽培のメリットが理解できました。それぞれコスト面や品質面において優れた特質があります。

千葉大学柏の葉キャンパスにおける水耕栽培を基本にした太陽光利用型の植物工場研修
千葉大学柏の葉キャンパスにおける水耕栽培を基本にしたLED利用の閉鎖型植物工場研修

大学で味噌作り

食料を作るだけではなく、作った食物を長持ちさせる発酵の仕組みについても考えてみました。数年前まで、生物学の味噌作りの権威である先生と味噌クラブを作り、毎年味噌を大学で作っていました。
このような普段何気なく食べているものを自分で作るという体験はとても有意義で、小学生や中学生などでも学校で行ってみてはどうかと思っています。食育はこれからの時代とても重要と考えます。

1年に1回味噌を仕込み、翌年味噌樽から味噌を出す、お楽しみクラブ。コロナでお休み中。

ベランダでのハーブ作り

最近は、ベランダでのハーブ栽培がマイブームです。ハーブは比較的強い植物が多く、少量でも食卓に彩りを添えます。タイマーをセットして水やりの自動化を試しています。私のような初心者でも育てられる簡単な植物はなんだろうと日々実験しています。

ベランダでのハーブ栽培。水やりの自動化

日常の料理

毎日料理しています。食材と料理は密接な関係がありますが、普段の料理で時間はあまりかけないで、でも美味しく健康的に、出来ればおしゃれな料理をしたいと考えています。
マイブームのベランダハーブでも、ハーブアイスティー、ホットハーブティー、ヨーグルトなどへのひと添えなど、楽しんでいます。

ハーブティーやヨーグルトなどのひと添えに


地産地消の店巡りから学ぶ

私たちは夫婦で食べ歩きが好きです。最近は特に地方の隠れた名店や、食、食材探しを楽しんでいます。
地方に行く場合はできるだけ地産地消の食材を使っていただける飲食店を選んでいくようにしていますし、最近は自家製の野菜や自分でハントしたジビエをいただけるというお店も出てきました。
若いオーナーシェフが地域で果敢に挑戦していることも多く、嬉しく頼もしく思います。

熊本の隠れた名店 うぶやまキュッフェ 野菜なども極力自家農園でつくりワイン作りも目指す

富津のエコハウスを作るにあたって

そんなわけで、富津のエコハウスは、地元のネットワークづくりも含め、エネルギーと食に対してもいろんな研究と工夫をしてみようと考えています。
これからその作るプロセスを楽しみながら、こちらにもアップしていきたいと思います。
「完全オググリットのエコハウスを見た!」の記事を書きました。
こちらも是非見てください。
線と管をつながないエコハウスの見学記です!



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