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アートケアだより2024年8月号 「集める・調べる・分類する・保存する・公開する」という博物館のお仕事に通じるプロセスを、子どもたちに体感してもらう夏のイベント

8月11日(日)に、夏のイベント『見せっこ博物館 ~ 土器片に触れたり、藍のたたき染めもするよ!』と、自然の美しい色を感じる『藍の生葉染め』を開催しました。
「アートケアひろば」には、先月号のおたよりでご紹介したような、博物学的な観点で物事を楽しむ子どもたちがたくさんいます。
みんなが集めている物… たとえば蝉の抜け殻、育てている昆虫、海で拾ったシーグラスや貝殻、道で拾った石や森で拾ったドングリ、なぜか好きでたまらないモノ、図鑑や本などを持ち寄って、博物館みたいに楽しむ。
「集める・調べる・分類する・保存する・公開する」という博物館のお仕事に通じるプロセスを、子どもたちに体感してもらえたら…と企画しました。

『見せっこ博物館』は3本立て。
まずは、みんなが持ってきたものを『見せっこ!』
そしてお二人のゲスト講師の先生方に、知らなかった世界を見せていただきます。

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昆虫、魚、鉱物…好きな世界を『見せっこ!』 

⚫︎昆虫標本、化石に興味

3年生のTくんは「自分で昆虫の標本を作っているんだ」と、現在、乾燥中というケースを見せてくれました。昆虫がよく乾くように、様々な角度からピンで留めています。
他にも、各地で集めてきた、植物やアンモナイトの化石などを見せてくれました。恐竜の骨もあってびっくり!

乾燥中の虫たち
Tくんがコツコツ集めているコレクション

⚫︎将来の夢はお魚博士

魚が大好きなNちゃんは、将来、お魚博士になるのが夢とのこと。
5月のお裁縫ワークでは、大好きなさかなクンの本を入れる布バッグを、針と糸で縫いました。ちょうどアートケアにあった布の中に、さかなクンのテーマカラーの黄色と青の水玉の布があって、「この布に出会ったのは運命の出会い!」といった様子で取り掛かりました。

1年生、初めての手縫いバッグ制作。

『見せっこ』では、図鑑と魚が描かれた切手を持ってきてくれました。切手は、お母さんが昔コレクションしていた時のもので、Tちゃんが魚が好きなので、魚の描かれた切手をあげたのだそうです。
博物館にある資料は、過去の人から未来の人へ継承していくものでもあり、そんな思いと通じる、素敵な「継承」だなと思いました。

縄文・弥生の人の思いを想像する:スペシャルゲスト川口德治朗さんのミニレクチャー『いろいろな土器のもよう』 

次は、長らく神奈川県立歴史博物館に勤務されていた川口德治朗さんにレクチャーしていただく時間です。
縄文・弥生時代の土器のかけらをたくさんお持ちくださって、「どれでも自分の好きなのを2つ取って、よく観察してみてください」と、皆に触らせてくださいました。
大人も子どもも好きなかけらを選びます。

川口さん、いつも私たちを支えてくださってありがとうございます!

川口さんが机を回って、各自が選んだ土器片が、何時代のものか、どんな用途で使われていたか、土器のどの辺りの部分か、などを教えてくださいました。自分が選んだ土器のかけらから、その土器の全容がわかるという経験を通して、小さなかけらが一層、特別なものに感じられます。

さて、これは何時代のものでしょう?

⚫︎道具で模様をつける

今回、川口さんは土器の模様を作る様々な道具と粘土を持ってきてくださいました。
粘土にそれらを当てると、いろんな模様がつきます。
粘土に当てる角度を変えると、1つの道具から様々な模様を作ることができます。子どもたちは何も言わなくても、道具の使い方をアレンジして様々な模様を作り始めました。
無限に工夫できます。皆、様々な模様を作ることに夢中になっていました。

いろんな道具
模様を考案
足跡シリーズ
うさぎにしてみたお子さんも
コロコロ転がすと、すぐ模様がつきます

川口さんは、縄文・弥生時代の人たちが、どんな思いで土器の模様を作っていたか、そのことに思い馳せてもらえたら、とおっしゃっていました。
土器について資料を作ってきてくださって、他にもたくさん、教えてくださいました。

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⚫︎土器のかけら鑑定!

Tくんのお父さんが、子ども時代に見つけた土器のかけらかも?という物を持ってきてくださいました。小箱にたくさん入っています。それを川口さんに見て頂いて、〇〇鑑定団みたいな状況に。果たして鑑定や、いかに?
縄文土器のかけら、本物で間違いないとのこと!
よかった~!!皆でホッとしました。土器(ドキ)だけにドキドキ??
小さい頃から大人になった今に至るまで、大切にしていたかけらが縄文時代のものだったなんて、ロマンですねぇ。

Tくんのお父さんが子ども時代に収集した土器のかけら

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⚫︎鉱物が好き。このイベントをきっかけに博物館へ土器を見に行った人

5年生のYちゃんは、Tくんと川口さんの会話で「雲母」という言葉を聞いてすぐ、「私が持ってきた鉱石セットにも雲母があるよ」と話してくれました。
Yちゃんはいつも大叔母さんと参加しています。大叔母のNさんは東日本大震災の直後からボランティア活動を、現在まで続けていらっしゃいます。今年、Yちゃんも連れてボランティアに行って、その時に鉱物のことを知り、興味を持ったのだそうです。鉱物セットも大叔母さんからのプレゼントとのこと。興味を持った世界を探求する後押しをしてくれる大人の存在って、本当に大きいですよね。のびのびと探求できる。
Nさんにイベント後に写真をお送りしましたら、こんなお返事をくださいました。

あのあと、茅ヶ崎博物館へ土器を見に行ってきました。川口先生から教えてもらったことを話しながら、とてもいい時間になりました。私も、ババばかですが、発表したり意見する姿を見て、成長を感じ、あのあと、褒めてあげました。

充実した時間、そして経験したことが繋がっていったご様子、参加していただけてよかった! 
実際に博物館へ行ってみたとのこと、それも嬉しいです。

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川口さん、ありがとうございました!!
皆さんそれぞれ、たくさん得るものがあるご様子でした。

3本立てで申し訳なかったです!!!
実は元々は子どもの『見せっこ』と『土器』の2本立ての予定でしたが、滅多にできない藍のたたき染めができることになり、急遽、3本立てにしました。

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⚫︎来年の展望を持った子も

見せっこするものは、持ってきたい人だけ持ってくることになっていて、持ってこなくてもOKという設定です。恥ずかしがりの人、見て知ることに集中したい人、それぞれですから。

直前まで体調を崩していたこともあり、見せっこするものを持ってこなかったMちゃんは、「来年、持ってくるものを今から考えるんだ!」と展望を持っていました。人から刺激を受けて活力が湧くってこと、ありますよね~

ということは…来年も開催するってことですね!決定~!
他のみんなも、もっとお話しできそうな様子だったので、来年は子どもたちの時間も、長く取ろうと思います。

葉で色がつく驚きを:スペシャルゲスト瀧川知子さんと『藍のたたき染め』

小さい子も楽しい、葉っぱをトントンたたいて色がつく不思議!
たたき染めです。

講師の染色作家・瀧川知子さんは、私の旧知の友人です。品川区で長年、学芸員をされ、本格的に染め織りの世界へ。京都造形芸術大学染織コースを卒業し、その後、草木染を山崎和樹氏に師事されました。どっぷりと、自然の色を形にする日々を送っていらっしゃいます。
このイベントの前日に千葉で藍の葉を収穫されるとのことで、急遽、「たたき染め」を小さい子向けに、大人を中心に「生葉染め」を実施してくださることになりました。それらは摘んで間もない葉でしかできないので、タイミングよく開催できるのは次いつになるか?!前回2018年以来の開催です。

カタツムリがいる!

「たたき染め」は子どもたちの時間に。
目の前に現れた藍の葉っぱ。みんな興味津々。年少さんのHくんが、「あ!カタツムリがいる!」と見つけて教えてくれました。

⚫︎トントンするだけで染まる不思議

作業開始。瀧川さんが「みんな綺麗に出ててすごい~」と大絶賛の出来栄えでした。お父さんもお母さんもトントン、家族で1枚合作という方、ペアで布バッグをという方、様々でした。

藍は根っこごとお土産に。お家でたたき染めの続きをしたり、植えたら種を取ることができるかもしれません。

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『藍の生葉染め』


「生葉染め」は、染める工程で待つ時間が数回あったり、会場の汚れ防止のため染液をこぼさないように器具を扱う必要があるので、3年生以上推奨で大人を中心に実施しました。

⚫︎工夫次第で様々な表情に染まります

ミキサーで撹拌して青汁のようになった液にシルクのストールを浸して染めます。瀧川さんに教えて頂いて、模様になるよう絞り染めにしたり、グラデーションに染めたり。人によってお好みの染め方で。

「三つ編みにしたらどんな模様になるかしら?」とワクワクしながら作業していた方も。広げたら、ウェーブ状の模様になっていました!

三つ編みを広げたらこんな感じに!

染まったら、ひらひらと乾かします。シルクなのでまる天女の羽衣のよう!!
ダンスするみたいに乾かしていた方もいらっしゃいました。染め&パフォーミングアートです~

親子でダンスするみたい🎵ひらひらして乾かします

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さまざまな表情のストールができました

⚫︎生きている色


藍染めは、空気に触れさせた時、さらに色が変化します。
そんなプロセス1つ1つが、生きている色だな!と思わせてくれる、素敵な染めの経験。
草木染めは何を染めてもホントに楽しいです。中でも藍の生葉染めは、フレッシュで、夏の暑さをひととき忘れさせてくれる清涼感があります。
瀧川さんのおかげで、皆さんと素敵な時間を持つことができました。ありがとうございました!!

(お顔写真はご本人に確認の上、掲載しております。転載等ご遠慮ください)

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