雨粒が等速直線運動をする理由を数式で考える
noteでこんな記事を見かけた。実は、雨粒の落下の様子が等速直線運動とほぼ同じという話である。
紹介した記事でも書いてある通り、地球上にある物には常に重力がかかる。そのため、本来であれば徐々に落下速度が上がるはずである(一般的な自由落下の話は過去の記事でも取り上げている)。
今回はこの違いについて、数式的に捉えてみることにする。基本は微分方程式の解法の話になるが、微分方程式は大学で初めて学習する内容なので、難しいようであれば、読み飛ばしても構わない。
等速直線運動とほぼ同じになる理由
数式展開に入る前に、一旦結論を書いておく。等速直線運動になる理由は、落下する雨粒が空気抵抗を受けるためである。
空気抵抗は速さに比例して大きくなるので、重力と空気抵抗が釣り合うまで加速して、釣り合うところで等速直線運動(終端速度)になります。
ちなみに、空気抵抗は「慣性抵抗」と「粘性抵抗」の2種類があるが、今回は「粘性抵抗」による影響について考えることにする。
空気抵抗があるだけで、通常の自由落下からどのような違いが出てくるか、それを説明することが、今回の一番の目的である。
雨粒の運動方程式を解く
結論を書いたところで、なぜそうなるのかを数式的に追うことにする。下記のメモを参照いただきたい。
ポイントは粘性抵抗を考慮したことで、複雑な運動方程式になることである。重力(質量mと重力加速度gを掛けたもの)に粘性抵抗の項が追加された。
粘性抵抗の場合、速度(位置xを微分したもの)に比例するので、比例定数を係数として付けている。粘性係数と呼ばれる定数である。
運動方程式を解いた結果が「運動方程式の解」と書いた数式である。速度の式に注目すると、ある値で漸近することがわかる。終端速度と呼ばれるもので、時刻tを無限大にした場合に、指数関数がゼロに収束することを利用して導き出した。
この終端速度の形こそ、雨粒が等速直線運動することを表している。
おわりに
今回は数式展開が本質ではないので、詳細には説明しないでおきたい(詳しく知りたい方は、微分方程式に関する参考書を手にしてほしい)。
身近な物理現象でも、理屈(数式)で説明できることはある。これからもこのようなテーマを見つけては、数式的に説明できるようにしたい。
難解な部分もあるだろうが、お付き合いいただけたら幸いである。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ゆるりとほぼ毎日の更新で取り組んでいます。気まぐれ感はありますが、何卒よろしくお願いいたします。
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