物理数学の世界 #9 〜行列の固有値と対角化〜
物理数学の世界。始まります!
前回は線型代数学の代表格とされる行列(行列式)について扱いました。独特の計算方法(ルール)がある中でも、頑張って読んでくれた皆さまに感謝です。
今回は行列の発展編で、固有値問題と対角化について扱いたいと思います。数学関係の話は今回で一旦落ち着くので、最後まで見ていただけたら嬉しいです。
整理したノートを公開
実際にノートにまとめてみました。今回はただでさえイメージが掴みにくい行列の発展編ですので、具体的な計算例題を解きながら解説する形にしました。
固有値の計算は物理学の問題を解く上でも重要になるので、ぜひイメージを掴んでもらえたらと思います。ノートに書いている通り、行列を与えてベクトルを変換する過程において、元のベクトルの等倍変換になるというのが、固有ベクトルの意味になります。
対角化については、行列計算における高等テクニックのひとつなので、内容に載せることにしました。固有値の話に比べると出現度合は低いですが、行列の累乗計算など何かと使えるテクニックですので、頭の片隅に置いてもらえれば良いです。
ちなみに、どんな行列でもこれらの計算が可能と言う訳ではありません。特に正方行列の行列式がゼロになる場合などは、計算が破綻してしまいます(正則行列の定義に基づきます)。
固有値解析の用途
固有値解析は、統計学においては主成分分析という形で利用されています。主成分分析とは「変数が複数ある高次元のデータに対して、より低い次元でデータのばらつきを説明する」という手法です。
主成分分析は物理学の話とは少し異なるため詳細な説明は割愛しますが、要するに大量の種類(種別)に分けられたデータから、より厳選された新しい変数を用いて視覚的にも分かりやすい形で傾向を説明します。
私の本業のCAE(Computer Eided Engineering)でも、固有値解析が活躍します。
例えば、解析対象(構造物)が有している振動特性を求めること。ここで言う振動特性とは、固有振動数と固有モードになります。つまり、この構造物が「どの程度の周波数でどのように振動するか」を導き出します。
構造設計では、共振(特定の振動数で極度の変形を起こすこと)は必ず避けなければならない問題です。固有値から問題となる振動数が求まりますので、事前予測のひとつとして、固有値解析が使われます。
おわりに
今回は数学(線型代数)の発展編として、行列の固有値と対角化について扱いました。
この辺りは実用的なところが見えにくいのですが、深掘りすれば様々な用途で活用されていることが、身に染みて分かると思います。
今回で数学の話は一旦休むことにして、また次回からは力学などの物理学の問題に話をシフトします。今後とも宜しくお願いします。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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