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主役は自分自身のライフスタイル。   人生の背景としてのキャリアデザイン

~本日のおしながき~
・幹と枝葉
・登山型とトレッキング型
・相対評価と絶対評価
・デザイン思考・考えるチカラ
・再現性と唯一性

幹と枝葉

質より量の成長時代における終身雇用はもう過去の歴史となった成熟時代の現代において、多様性やパラレルキャリア、パラレルワークなど様々な生き方や仕事の仕方が必要とされていますが、私がラッキーだと思うのは建築設計という積み上げ型の専門職能がゆるぎないベースにある事です。
拠り所というか戻れる場所として建築設計の職能があるおかげで、いわゆるつぶしが効くために失敗を恐れずチャレンジする事が出来る。崩れない幹があった上で枝葉を広げていけるイメージです。死ぬまで崩れない幹をベースにして、枝葉は折れながら、枯れながら、先端に花が咲くまで何本も生やすことができます。

登山型とトレッキング型

いくつもの全く異なる事業をゼロから立ち上げていく、いわゆる経営者の知人も周りにたくさんいてすごいと思っていますが、私の場合はそれとは異なり建築設計というメイン事業から関連し派生する事業を枝葉として拡げていく形です。
そのため、いかに自分自身で「建築設計」という概念の解釈の幅を広げていけるかで事業や己の可能性の拡がりが変わってきます。
一度登り始めたら山頂まで止まれない、ゆえに強制的に目標を達成していける登山型の事業経営と比べ、自分で意識してアクションしていかないと何も達成できないわけですが、私はこの自分の意思でペースを変えたり寄り道できるトレッキング型が性に合っています。それと、全ての枝葉の経験が幹である建築設計の職能、つまり自分自身の軸にフィードバックされて枝葉とともに幹も同時に育っていく、しかも枝葉が折れても幹は太くなっていくのみで細くはならないこの感覚が、この生き方をもうやめられない理由になっています。笑

相対評価と絶対評価

自分自身のスキルや専門職能がベースにある生き方の場合、積み上げてきたその能力は「減らない」というのも魅力です。売れるか売れないかという指標に代表されるスキルや知識ではない「相対的な価値」は、相手や時代によって増減します。それゆえに時代や社会に選ばれればものすごい金銭的成功を得れるわけですが、私自身の絶対価値は変わっていない大成功の感覚には、私はどこかむなしさと、相手の気分で価値がいつひっくり変えるか分からない恐怖を感じてしまってダメでした。しかしそれはあくまで私の場合、私の気質がそもそも設計士だからであって良い悪いの話ではありません。

デザイン思考・考えるチカラ

先に軸事業からの派生型と書きましたが、極論、建築設計がベースにあると世の中のほとんどの物事に派生できると感じています。それは建築設計の本質が、「デザイン思考」と呼ばれている、前例のない課題や未知の問題に対する解決策を思考し創造する職業だからです。
AIに代表される技術が進化し社会が成熟すればするほど、作業や答えのある問題を解決する事は人間以外がやってくれます。人間より桁違いのスピードや精度で。その部分でAIと張り合うのは誰が見てもナンセンスですが、さらに言えば「AIにこの作業を代行してもらおう」と考えるのと「AIに次は何をやってもらおうか」と考えるのとでは未来の結果が変わってきます。
建築設計に限らず「考えるチカラ」「創造するチカラ」を必要とする職能はこれからの時代は特に子供たちにおススメしたい仕事です。

再現性と唯一性

再現性がないと組織化・スケールアップしない、唯一性がないと他社との差別化ができない。
ビジネスや会社づくりにおいて、この二つの視点は相反するもので、再現性から生まれた商品はいかに差別化しお客さんに選ばれるかが常に課題で、唯一性から生まれた商品はいかに再現性を高め生産性を高めるかが常に課題です。世の中の全ての商品はこのどちらかに大別されると言っても良いと思います。
今まで、多くのビジネス、多くの商品は前者でした。それは「終身雇用」という保証の元「会社組織」が最上位目的にあったからです。そのため、みんな「労働力」として会社のために朝から晩まで働きました。その対価で週末を豊かにし、また1週間働く。社畜や会社の奴隷といった一部の側面だけ悪く見た表現も流行りましたが、それが事実でもありました。しかし、そうやって先人たちが軍隊のごとく一致団結して同じ目標に向かって人生を費やしてくれたおかげで、高度成長し今私たちは自分の意思で生き方や働き方を選べる豊かな成熟社会で生きられています。
今後の時代の前者の生き方は、AIが圧倒的な能力で果たしてくれますので、これからの時代は今までと割合が逆転し後者が生身の人間に求められるのは容易に想像がつきます。そんなこれからにおいて、建築設計という職能で得れるチカラは非常に貴重だと思います。

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