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【読書】小説/流浪の月

あらすじ


19歳の男子大学生が9歳の少女を誘拐・監禁した容疑で逮捕された。
二人が発見、確保された時の、「ふみぃ、ふみぃー」と泣き叫ぶ少女の映像がテレビで報道された。

『更紗少女誘拐事件』は、何年経ってもインターネットで残り続けた。
ニュースを見た人たちは皆、「少女はストックホルム症候群ではないか」「少女には手厚い心のケアをするべきだ」等と口々に言った。

この小説では、当事者目線で物事が進む。
人々が「ストックホルム症候群だ」と決めつけた少女の気持ちは。
本当はあの時どんなことが起こっていたのか。
この先二人はどう生きていくのか。

そんなことが書かれたお話。



感想

苦しくなる話でした。

「身寄りのない人は、自分のもとからどこにも行かないと思うから、そういう人ばかりを選ぶ」
DVをする人の心について書かれたセリフが、とても印象に残りました。
DVだけに当てはまることではないし、加害者ばかりに当てはまることでもないと思いました。
私も、身寄りがないわけではありませんが、それに近いところがあります。自分自身にも当てはまっているようで、心に刺さりました。

「事実と真実は異なる」
誘拐した、という事実。
ついていった、という真実。
話の中では、誰も少女の言葉に耳を傾けていなかった。「ストックホルム症候群」「誘拐された被害女児」というバイアスがかかっていました。

バイアスがかかってしまうことも、言葉を受け入れられないことも、理解できないことも、生きていく中で幾度となく出会うと思います。
理解できなくても、受け入れられなくれも、せめて相手の言葉に耳を貸し、考えることはしていきたいと思いました。


きっと心が揺さぶられ、様々な感想が浮かぶと思います。
是非読んでみてください。

『流浪の月』著:凪良ゆう


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