若葉マークが欲しい
今日も抜けるような青空。
日差しは強く、もはや夏のよう。
木々も芽吹き始め間も無く新緑が眩しい季節を迎える。
そんな心地よい空模様に反し20年前の辛く苦しかった自動車学校に通っていたあの時のことを思い出した。
ノッキングの悪夢
私が運転免許を取得したのは20年も前のこと。
既にほとんどの人がオートマ限定だったのに対し、私の実家の車がマニュアル車だったため、必然的にマニュアルコースを選択せざるを得なかった。
マニュアル車というのは下手すればちょっとした絶叫マシーンより恐ろしい乗り物である。(超個人的な感想です)
ノッキングという運転者を思考停止に陥れる恐ろしい怪奇現象があるのだ。
車全体がガクガク揺れ、例えるならまるでロデオ状態。
私はそれですっかり教習所恐怖症となったのだった。
もういきたくない。路上教習なんて絶対無理。免許なんていらない。
そんなことを家族に話したところ、郊外の広い駐車場の片隅で父が練習に付き合ってくれた。
おかげでなんとか穏やかにギアチェンジができるようになり、無事にマニュアルの運転免許を手にすることができたのだった。
そんな私も実家を離れ車が必要な地方の街に住むようになり、自分の車を購入し、運転する生活を送ってきた。
それでも実は今でも車の運転はあまり得意ではない。
できるだけ広々とした道を通り、少々不便でも空いている駐車スペースを選び、立体駐車場の狭い駐車場はなるべく近寄らないようにした。
そんなふうに恐る恐るハンドルを握り、気づけば20年、なんとかゴールド免許を維持している。
(自爆物損はあります・・・涙)
そんな私がまさか海外で運転することになろうとは。
覚悟を決め路上運転へ
ごく一部の都市部を除き、アメリカで暮らすには日本の地方都市以上に車なしでは生活できない環境で、今住む場所も徒歩圏内にスタバやレストラン、映画館などはあるのだがスーパーマーケットや日用雑貨店はない。
バスや電車といった公共交通機関もないため、ウーバーを使って生活するのも選択肢のひとつではあるが、これまた現実的ではない。
アメリカで運転すること自体は、日本国内で発行された国際免許証があるので、現時点でも可能である。
しかしそれにも期限があるため、できるだけ早くテキサス州の運転免許証を取得しなくてはならない。
免許取得にはいくつか選択肢があるが、比較的容易と言われるものでも、ネットで講習を受講、セクションごとのテスト、実技テストは必須である。
しかも申請書類の提出は予約制となており、これが数ヶ月先まで予約が埋まっているというのだから、やれやれである。
教習所に通い詰める必要はないが、実技試験があるため、運転には十分慣れておく必要がある。
最初からわかっていたことだ。
ここはもう覚悟を決めるしかない。
逃げ腰の自分に鞭を打ち、いよいよ運転免許取得に向けて動き出した。
ポンコツと鬼教官
助手席に夫を伴い、運転席へ。
言わずもがな左ハンドル、右側走行で、日本と逆である。ちなみにウィンカーとワイパーも逆。
エンジンをかける前に確認したことは、
「アクセルこっちでいい?ブレーキはこっち?」である。
(え、そこから?!だって不安だったんだもの)
そうなのだ。私がポンコツであることは隠しようもない事実である。
旅人になりたい、自由に楽しみたいと言いつつ、コレである。やれやれ自分よ。
運転する前からすでにため息が出るが、もう行くしかない。意を決して公道へ。
いつものお気に入りのスーパーなどに立ち寄りつつ、トータル1時間くらい運転しただろうか。
左ハンドルだと、自分の左側にある車線の感覚が掴めない。
見通しの良い直進ならまだしも、緩やかにカーブするところや片側一車線で対向車があるところなどは無意識に右側に寄ってしまう。
途中何度も「右に寄りすぎ」と言われた。
しまいには中央車線側に寄れと手で空を扇がれる。
くぅ、鬼教官め!
しかも左折が怖い。タイミングや停車位置がいまいちわからない。
車線変更するにも、バンバン車がやってきてミラー確認といつもと反対の手でウィンカーを出して・・・混乱。
駐車場から路上に出る時も、右見て、左見て、ん??左見て、右見て、左見て、右見て・・・
もう何を確認しているのやら、自分でもさっぱりわからない。
鬼教官(夫)がまたブツブツ言っている。
はぁ・・・
こちらにくる前は、車の運転が不安だなぁと話すたびに
「アメリカの道路は広いから大丈夫だよ、駐車場も広いから混んでいないところに頭から停めればいいよ〜」
と言われたものだ。
確かにかなり郊外に行くと道も広くて車も多くはないから、途切れたタイミングを狙えば右折も車線変更も大丈夫そうなのだが、今の生活圏は日本と変わらない交通量と、道路幅である。
おや?道路そんなに広くないけど?
おやおやおや?駐車場めっちゃ混んでるけど?
信号わかりづらいんだけど???
うぉぉぉ!!
「じゃぁ、レンタカーなしにする?」と鬼教官の一言が。
はぁ〜ぁ・・・
でもぶつけたり、ヒヤリとした場面もなく(なかったはず!)無事に本日の研修は終了。
順調にいけば正式な運転免許証が手に入るのもレンタル車が納車になるのも、5月か6月頃になりそうだ。
それまでにはしばらく鬼教官との研修が続くこととなる…
できることなら若葉マークを車につけて周囲にアピールしておきたいのだけれど。
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