植物はなぜアロマをつくるのか!?
「アロマ」と聞いて何をイメージされますか。
「なんかよくわからないけどいい香りで癒されそう」とのお声をよく聞きますが、なぜ天然のものなのに原液をつけてはいけないの?
そもそもアロマってなんなの?
そんな方のために、今回はアロマテラピーの定義、精油の定義とともに、
そもそも、なぜ植物はアロマを創るのか、同じ植物でも異なる香りの精油ができるメカニズムを簡単にお伝えします。
【アロマとは】
アロマとは、アロマテラピー=芳香療法のことで、
精油=エッセンシャルオイルを用いて、ホリスティックな観点から行う自然療法のことです。
(私の所属している日本アロマ環境協会の定義です)
ホリスティックな観点とは、「全体的」「包括的」な観点という意味です。
お腹が痛い時にその痛みの解消を目的に(痛みだけをみて)薬などを処方し治す西洋医学と比較して考えていただくとわかりやすいのですが、
痛みのある箇所だけでなく、心の問題や体質、栄養・運動・休養といったライフスタイルなどトータルにみて、とい意味です。
また、自然療法とは、いかにも治療のひとつのように聞こえますが、
人間が本来もっている自然治癒力を高めることにより、病気を未然に防ぐ、治癒を促す、体質を改善するなど健康の維持、増進を図ることをいいます。
目的は医療の代わりや薬の代わりではありません。
・リラクセーションやリフレッシュに役立てること
・ 美と健康を増進すること
や
・身体や精神の恒常性の維持と促進を図ること
・身体や精神の不調を改善し、正常な健康を取り戻すこと
が目的です。
後半の部分が医療とどう違うのだろう、と思われる方もいらっしゃるかと思います。
ご自身の恒常性=体内の変化や環境の変化にかかわらず、体内環境を一定の範囲で維持するしくみを維持し、促進し、
心身の不調を自分の自然治癒力で改善して、健康を取り戻すお手伝いをするのがアロマテラピーということです。
【精油=エッセンシャルオイルとは】
アロマテラピーに使用される「精油」とは、
植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、
有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。
一般的に「アロマオイル」と呼ばれるので油をイメージされるかもしれませんが、正確には、香りのする揮発性の有機化合物の集まりです。
アロマが取れる植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものです。
代表的な精油を3つだけご紹介します。
★ラベンダー
リラックスできる香りと言えば、ラベンダーですね。
寝る前に香りを焚いたり、手作りコスメを作る際にもよく使われています。
★ペパーミント
歯磨き粉やガムに含まれるスーッとした香りのペパーミント。
日常生活でもよく嗅ぐ香りですが、消臭、抗菌、虫よけに、特に夏に大活躍する精油です。
★オレンジ・スイート
みかんが大好きな日本人にとって、とてもなじみのあるオレンジはお子さまからご年配のかたまで幅広い年代の方に好かれる香りです。
安眠や気持ちを明るくさせてくれる作用があります。
日本アロマ環境協会のアロマテラピー検定では、30種の精油や自分により合った精油を活用できるようになることを学ぶことが出来ます。
【植物はなぜ精油を作るのか】
以上まではどこの本にも書いてある説明かと思います。
私たちが精油と触れ合うときには、精油はすでに遮光ビンに入った状態で、その原料となる植物の姿をみることはありません。
しかし、精油を創り出しているのは植物です。
そもそもなぜ植物は、精油となる芳香物質を作っているのでしょうか。
それを作るエネルギーがあるのなら、生存に直結するエネルギーを作ったほうが植物としていいのではないかと私は疑問に思ったことがありました。
これはティートリーという精油の原料植物の木です。
もし、台風がやってきた時、私たち人間は傘をさしたり、安全な家の中にいるようにして雨水を避けたり、冷えた身体を温めたりできます。
しかし、このティートリーの木は傘を使うことも、動くこともできません。
雨風に吹きさらされ、その後も自然に乾燥するのを待つほかありません。
菌やウィルスが付着しても、逃げられませんし、誰も除去してくれません。
腐る前に、敵にやられる前に、ティートリー自身で解決するほかないので、
ティートリーは「抗菌」「抗真菌」「抗ウィルス」作用のある芳香物質を創り出して対処することにしました。
それが「精油」=「エッセンシャルオイル」で、私たちがアロマと呼んでいるものです。
これはジャスミンの精油が取れるジャスミンの花です。
ジャスミンの花はどうして「精油」を創るのでしょうか。
ジャスミンの原産地はアジアやインド、アラビア諸国などの亜熱帯地方や 熱帯地方のアフリカ大陸と言われています。
ジャスミンは子孫を残すために虫に受粉してもらう必要があります。
暑い地域なので昼間は虫が活動せず、夜になってから活動するのに合わせて夜に咲きます。
つまり虫を引き寄せて、子孫を残すために、ジャスミンの花は良い香りの芳香物質を創るのです。
(太陽光があたると香りが揮発してしまうので、ジャスミンの収穫は夜明け前の早朝に行われます。)
以上を総括しますと、
精油は、「アロマの原料植物が①天候の変化や敵から身を守り、②子孫を残すために創る」と言えます。
植物には光合成により、自分が生きていくためのエネルギー(炭水化物)や酸素を作りますが(一次代謝)、
二次代謝物として、植物それぞれが生きている環境に応じて生き残るためのオリジナルの芳香物質を創るのです。
それが「精油」です。
そのため、フランス産のラベンダーと日本の富良野のラベンダーの香りが異なるように、
同じ種類の植物でも生きている環境によって、同じラベンダーでも香りが異なったりするのです。
(難しい言葉で説明すると、これをケモタイプ=化学種と呼びます。)
2018.9.23
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー
片見 真希
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