1週間で覚えるメディカルハーブ30種 その4
おはようございます。アロマテラピーと手しごとのカノワです。
フィトオーセンティックプロダクトの仕事をしながらアロマやハーブの記事を書いたり、アロマクラフトの提案をしたりしています。
こちらのチャンネルでは、「香りのある暮らしをもっと楽しく」をテーマに、暮らしに取り入れやすいアロマ・ハーブクラフトや石けん作りなど、様々なアイデアを提案しています。
さて、本日もハーバルセラピストで学ぶ、30種類のメディカルハーブをご紹介していきたいと思います。
本日の1つ目は「ブラックコホシュ」になります。
学名はCimicifuga racemosa(キミキフガ・ラケモサ)
和名はアメリカショウマ
使用部位は根部、根茎部です。
キンポウゲ科の植物です。
属名のCimicifugaは、ラテン語のcimex(キメクス)「南京虫」と、同じくラテン語のfugio(フギオー)の「逃げる」の合成語で、悪臭がひどいために南京虫も逃げるといわれているそうです。
また種小名のracemosa(ラセモサ)はrラテン語の総のの多い、ブドウの総の意で、総状花序であることからきているそうです。
ちなみにblack cohoshのblackはそのまま黒色の意ですが、cohoshはアメリカ先住民族の「ざらざらした」というcohoshから、ごつごつした黒い根茎に由来しているそうです。
ブラックコホシュは北米の先住民が生理痛や生理前症候群(PMS)に用いてきた伝統的なハーブで、1820年から1926年までの間、米国薬局方に公式の植物性医薬品として収載されていました。欧米では、更年期のホルモン補充療法の代替として用いられ、ホットフラッシュ、神経の失調や、抑うつ、不眠、不安などの精神神経の症状の緩和、改善にカプセル剤として役立てられています。ブラックコホシュには、女性ホルモンに似た作用(ホルモン様作用)があり、フィトエストロゲンと呼ばれ、ホルモンバランスを調整するすぐれた働きがあります。
ハーブに含まれる精油成分をアロマバスやオイルマッサージとして使用したり、ティーとの併用も効果的ですが、サプリかチンキでの摂取がメインとなります。
おさらいになります。
■ブラックコホシュ
ブラックコホシュはキンポウゲ科の植物で
学名はCimicifuga racemosa、和名はアメリカショウマ。
使用部位は根部、根茎部です。
主要な成分は、アクティン、キミキフゴシド、イソフラボン(フォルモノチネン)、タンニン、精油となります。
作用については、イソフラボンのフォルモノチネンからのホルモン分泌調整、鎮静作用となります。
適用症は更年期障害、月経痛、月経前症候群(PMS)とないます。
安全性はクラス2bで妊娠中の使用禁止、相互作用はクラスAとなっています。
ブラックコホシュのキーワードをおさえておきます。
フィトエストロゲンハーブの代表。イソフラボンのフォルモノチネンによるホルモンバランスの調整、更年期障害、月経痛、PMSの改善。
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2つ目は「マルベリー」になります。
マルベリーはクワ科の植物で
学名はMorus alba(モルス・アルバ)
和名はクワ
使用部位は葉部です。
属名のMorusは、ラテン語のクワの木、が語源となっています。
また種小名のalbaは、ラテン語のalbus、白色の、という意味で、白い実をつけることからきていると言われています。
蚕が食べる葉として知られるマルベリーは、古くから健康茶「桑茶」として親しまれてきました。マルベリーの成分のデオキシノジリマイシンは、二糖類分解酵素であるα-グルコシダーゼの働きを阻害して、食後の血糖値の上昇を抑制します。このため、食前に飲用することで高血糖や肥満をはじめとする生活習慣病の予防に役立ちます。
また、マルベリーはクロロフィルや鉄分、カルシウム、亜鉛などのミネラルを豊富に含むことでも知られています。コスメラインでも美白作用のあるハーブとして知られ、ティーをローションにして使ったり、粉末パックなどで活用されています。
おさらいになります。
■マルベリー
学名はMorus alba(モルス・アルバ)、和名はクワ。
使用部位は葉部です。
主要な成分は、デオキシノジリマイシン(DNJ)、γ-アミノ酪酸(GABA)、クロロフィル、フィトステロール(β-シトステロール)、ミネラル(鉄、カルシウム、亜鉛)となります。
作用については、α-グルコシダーゼ阻害による血糖調整、γ-アミノ酪酸(GABA)による鎮静作用、亜鉛の美白作用となります。
適用症は、高血糖や肥満などの生活習慣病予防となります。
安全性はクラス1で、相互作用はクラスAとなっています。
マルベリーのキーワードをおさえておきます。
デオキシノジリマイシン(DNJ)による血糖調整ハーブ。簡単にいうと糖の吸収をおさえるハーブ。クロロフィルやフィトステロール、鉄・カルシウム・亜鉛などのミネラル豊富。
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3つ目からはシソ科のハーブを3つご紹介します。
まずは「セージ」。
セージはシソ科の植物で
学名はSalvia officinalis(サルビア・オフィキナリス)
和名はヤクヨウサルビア
使用部位は葉部です。
属名のSalviaは、ラテン語で「救う・治療する」という意味のsalvoを語源としているそうです。それだけ、薬効がある、ということですよね。
また種小名のofficinalisは、「薬用の」の意でしたので、どれほどに薬効の高いハーブかということが読み取れると思います。
セージはローズマリーに次ぐ抗酸化力をもつハーブです。
優れた薬効成分があるため、「長寿のハーブ」と呼ばれ、古くから、「セージのある家に病人は出ない」と称えられていたハーブなのだそうです。収れん作用と抗菌作用をもつことが特徴で、口腔のトラブルにもよく用いられています。喉の痛みや口内炎などにハーブティやマウスウォッシュで活用されています。
ホルモン様や制汗作用があり、更年期の女性に見られるホットフラッシュや寝汗などの発汗異常にも活用され、高齢者の若さを保つ目的でも用いられます。
作用の強いハーブなので、長期の連続した使用(およそ3週間以上)や妊娠中、授乳中などでは利用をさけます。
おさらいになります。
■セージ
学名はSalvia officinalis(サルビア・オフィキナリス)
和名はヤクヨウサルビア
使用部位は葉部です。
主要な成分は、フラボノイドのルテオリン、精油のツヨン、タンニンのロスマリン酸となっています。
作用については、タンニンのロスマリン酸による抗菌、抗酸化作用、収れん、発汗抑制作用と
なります。
適用症は、咽喉の炎症、口内炎、発汗異常となります。
安全性はクラス2bと2dがあります。クラス2bは妊娠中は使用禁止、2dは規定容量を超えないこととなっています。規定容量は最大2-6gと言われています。相互作用はクラスAとなっています。
セージのキーワードをおさえておきます。
抗酸化・抗菌ハーブ。収れん、分泌物を抑えるハーブ。長寿のハーブ。フラボノイドのルテオリン、精油のツヨン、タンニンのロスマリン酸。クラス指定が2b,2dの二つ。
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シソ科のハーブ2つめは「タイム」です。
タイムはシソ科の植物で
学名はThymus vulgaris(ティムス・ウルガリス)
和名はタチジャコウソウ、別名コモンタイムとなっています。
使用部位は葉部です。
属名のThymusは、煙をおこす、香らせるという意のthyeinから、クレタ島に生育するタイムthymon,thymosが語源となっているようです。
また種小名のvulgarisは、普通のを意味するラテン語が語源です。
胸腺(Thymus)の名は、粒状体がタイムの種子束を連想させることからきたといわれています。
タイムはヨーロッパでは「勇気」の象徴で「タイムの香りがする人」は男性への最高の賛辞であったそうです。中世のヨーロッパで疫病が流行したときにも、タイムの枝を焚いて感染を免れたと伝えられています。
タイムは数あるハーブの中で最も抗菌力の強いハーブと言われています。
チモールやカルバクロールといった精油成分を含み、食あたりや消化不良などに用いられます。鎮痙作用と去痰作用から、気管支炎や上気道カタル・ぜんそくなどの呼吸器系の不調にも用いられます。
風邪をひいて、咳だけが残ってしまったときに、ホットティーで、また濃いめに出してうがいもおすすめです。料理の食材としてもよく利用されるハーブです。
おさらいになります。
■タイム
学名はThymus vulgaris(ティムス・ウルガリス)
和名はタチジャコウソウ、別名コモンタイムとなっています。
使用部位は葉部です。
主要な成分は、精油のチモール・カルバクロール、フラボノイドのアピゲニン・ルテオリン、タンニン、サポニン
となっています。
作用については、チモール、カルバクロールからの抗菌作用、鎮痙、去痰となります。フラボノイドのアピゲニン・ルテオリンがあると通常、鎮静・鎮痙作用が出てきますが、タイムの場合はチモール・カルバクロールが強いので、鎮痙が残ったという形になりました。
適用症は、消化不良、気管支炎、上気道カタル
となります。
安全性は、クラス2bで妊娠中の使用禁止、相互作用はクラスAです。
タイムのキーワードをおさえておきます。
抗菌力最強ハーブ。うがいのハーブ。鎮痙、去痰。精油のチモール・カルバクロール。タンニン、サポニン。
クラス指定が2bで妊娠中の使用禁止。
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シソ科のハーブ3つめは「ペパーミント 」です。
ペパーミントはシソ科の植物で
学名はMentha piperita(メンタ・ピペリタ)
和名はセイヨウハッカとなっています。
使用部位は葉部です。
属名のMenthaは、ハッカの類を意味するMinthe,minthosから、種子名のpiperitaはコショウを意味するPiperが語源となっています。コショウのようにピリッとしたミントの意で、スペアミントより、香りがシャープで強いとされています。
さわやかなメントールの香りが特徴的で、中枢神経を刺激して眠気を吹き飛ばし、気分をリフレッシュしてくれるハーブです。消化管の機能を調整してくれるため、食べ過ぎ、飲み過ぎ、食欲不振や消化不良、吐き気などの不快な症状を鎮めてくれます。さらにストレスが元になっておこる下痢や便秘、腹痛を繰り返す過敏性腸症候群などの心身症に用いられることもあります。また、身体を冷やしてクールダウンさせる冷却、鎮静作用と、のちに身体を温める温熱、賦活する作用の二重の効果を持つハーブです。爽やかな香りは、香料として、医薬品や化粧品、食品などに利用されています。刺激が強いので、子どもへの使用は注意が必要です。
おさらいになります。
■ペパーミント
学名はMentha piperita(メンタ・ピペリタ)
和名はセイヨウハッカとなっています。
使用部位は葉部です。
主要な成分は、精油のl-メントール・メントン・メントフラン、フラボノイドのアピゲニン・ルテオリン、タンニンのロスマリン酸、カフェ酸、クロロゲン酸となっています。
作用については、賦活のち鎮静、鎮痙、となりますが、この賦活、は精油のl-メントール・メントン・メントフランから、その後のフラボノイドのアピゲニン・ルテオリンによる鎮静、がフラボノイドのアピゲニン・ルテオリンによるものですね。
またタンニンのロスマリン酸には抗菌・抗酸化作用をもたらしてくれます。
適用症は、集中力欠如、食欲不振、過敏性腸症候群となります。過敏性腸症候群はストレスが原因で下痢や便秘を繰り返す心身症、でしたね。
安全性は、クラス1、相互作用はクラスAです。
ペパーミント のキーワードをおさえておきます。
l-メントールのリフレッシュハーブ。消化器系のお助けハーブ。精油による賦活、のちフラボノイドのアピゲニン・ルテオリンによる鎮静。タンニンのロスマリン酸による抗菌・抗酸化。
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以上、メディカルハーブ5種をご紹介いたしました。
今回はキンポウゲ科のブラックコホシュ、フィトエストロゲンハーブの代表でしたね、
それから、クワ科のマルベリー、こちらはDNJによる血糖調整で糖の吸収を抑えるハーブでした。
そして最後に3つご紹介したのがシソ科の3種。セージ、タイム、ペパーミント でした。
シソ科の3種はお料理でも登場しやすいハーブですね。
抗酸化・抗菌、収れんのハーブセージ、抗菌力最強のハーブ、タイム、リフレッシュと消化器お助けハーブのペパーミント でした。
抗菌ハーブのセージとタイムの抗菌力はどちらも精油成分から来ていました。セージのツヨン、タイムのチモール・カルバクロールでしたね。
ペパーミントにもタンニンのロスマリン酸による抗菌が期待できますが、セージとタイムのほうが強いですね、
セージにもタンニンのロスマリン酸がありました。
今回ご紹介したシソ科のハーブも、ポピュラーで使いやすいハーブが
多いですね。覚えておくと、生活のいろいろなシーンで活用できると思います。
何度も聞いて、覚えてもらえると嬉しいです。
それでは、今日もよい1日を♪
参考文献
ハーバルセラピストテキスト(JAMHA)
ハーバルセラピスト認定試験 対策問題集(BABジャパン)
ハーブ学名語源辞典(東京等出版)