ASDの子が障害特性から見たマスクを装着できない要因
流行ってますね、コロナウイルス
今の日本で一番の関心事はコロナウイルスではないでしょうか?
そして必要なのがマスクですね
定型発達の方でも、ASDの方でも、予防のために必要なものとなっています
定型発達の方は、なんの気兼ねもなく装着できることでしょうが、しかし、ASDのお子さんでは、マスクの装着できない子はたくさんいらっしゃいます
私が勤めている事業所でも、マスクを装着できないASDのお子さんはたくさんいますが、無理やりマスクを装着させようといったことはさせていません。もちろん職員はマスクを装着していますが。
(でも在庫が少ないんです)
なぜマスクをつけられないか考えたことはありますか?
みなさんは、普段マスクを装着することはありますか?また、ASDのお子さんはマスクを普段から装着することはありますか?
大抵の場合は、普段はマスクをせず生活をしていることだと思います。ASDのお子さんもしかりです。
マスクというのは、今回のコロナのように季節性のある支援であるため、その情報が薄いために装着できないという状況に対して、「あ、嫌いなんだね」といったような短絡的な理由になりやすいのです。
しかし、ただ単に嫌い、または経験がないから、怖いイメージがあるから、といったように主観的な評価により、装着を諦めるよりは、ASDの障害特性という客観的なエビデンスに基づいた分析の方が、その子をより深く理解できるのではないかと思います
私はTwitterでこのような投稿をしました
この投稿をベースに、これから順番にマスクを装着できない要因等について解説していきたいと思います。
①感覚的な特異性(触覚刺激によるもの)
これは、なんとなく想像がつくのかなと思います。
つまりは、触覚的な感覚が鋭敏なために、マスクという今まで付けていなかった口元に装着された物体に違和感を感じ、外してしまうということです。
帽子やメガネといったものを装着できない場合には、この要因も可能性があります。
こういった特性により、マスクの装着ができないのであれば、難しさはあると思います
それでも、装着してほしいという思いがあるのであれば、例えば、マスクの素材を変えてみるといったアイデアがあります
今の時代、私はあまり詳しくはありませんが様々な種類の素材のマスクがあると思います
それを一つずつ試してみてこれだったらつけられるというものを探してみるのもいいかもしれません
②同一性を保持するため
いつも同じが得意な彼らにとって、一時的に装着させられたマスクという物体は、いつもと違うことになるのです。混乱しますね
同一性の保持の欲求が強く見られるお子さんにとって、マスクを装着するということは、大きな変更となります。
我々だって、いきなり大きな変更があった場合には驚いたり、対応が難しいと思ったりしますよね。
たかがマスクの装着ではありますが、ASDのお子さんにとっては大きな変化となりますので、そういった思いであることを理解してあげることが大切です。
では、そういった特性がみられても、マスクを装着しなければいけない場合にはどうすればよいのでしょうか。
一つの方法としては、本人さんのスケジュールを活用し、前段階から「マスク」というスケジュールを変更カードで伝えておくのも良いでしょう
もっと言えば、1週間のカレンダー、または1ヶ月のカレンダーにも「変更」を強調した変更カードと「マスク」を示したイラストカードで、その日に装着をするというのを事前に予測してあげることです。
これにより、少しは、いきなり装着されたという不安感は薄くなるとは思います。なるべく声掛けだけで変更を知らせるのはやめましょう。そもそもマスクというものが何なのか分からない場合には、よけい混乱するかもしれません
③関係理解の困難さ
ASDのお子さんによっては、そもそも、なんでマスクをつけるの?という事を理解できないこともあるでしょう
マスクは風邪を予防することができる。風邪は冬に流行る。だから冬になったらマスクをつける。この関連付けが難しい方もいらっしゃいます。我々は当たり前のように分かっていますが、こういった障害特性の影響によりマスクを装着することを拒否するお子さんは少なからずいると思います
この特性を考えられるお子さんは、会話等がある程度できるようなお子さんが対象になるかもしれません
であれば、例えば、イラストやコミックストーリーなどを用いて、視覚的になぜマスクをつけなければいけないのか、というのを学習できる機会を設けることも大切です。
学習の仕方については、その子にとって、様々な工夫ができるような気がします。ここはアイデアも必要ですね
④般化の特性
例えば、学校ではマスクをつけられるけど、外ではマスクを付けられない。ということもあります。これは般化の特性が影響しているものと思います。
一つのことで学習したことを応用できないというのです。
何かしらの理由により、マスクが装着できなかった子が、学校での支援により、マスクを装着できるようになった。しかし、それを外出する時には応用できない。自宅でも応用できない。
般化の特性が強く影響すれば、このようなパターンもあり得ます。
ここで大事なのは、この般化の特性が強く出ているのであれば、支援ツールに工夫をしましょう。学校で使用した支援ツールは他でも応用できるように同じ仕組みとすることで、どこでも誰でも同じように支援することが可能です。
こういった工夫が求められます。
マスクは予防法の一つです。その子の特性を見て本人に適した要因を探ってみてください。