小説・成熟までの呟き 38歳・2
題名:「38歳・2」
2028年秋、オリーブの収穫が終わった後に、サッカー1部リーグでは熾烈な優勝争いが行われていた。首位にいたのは、美穂が通学した大学の所在地である海崎市を本拠地とする海崎ビシェッジである。最終節、勝利すれば優勝するという試合が高梅市で行われることになった。その際、海崎を応援する人々が高浜市に訪れて、その中には美穂が大学生だった頃の同級生もいた。美穂達もその試合を観戦しに行き、合流することになった。試合会場で双方の再会に喜んだ。試合自体は海崎ビシェッジが高梅カマーノに1対0で勝ち、初優勝を決めた。初めてということもあって、喜びは一層爆発した。もちろん、美穂達はどちらかというと高梅を応援していたが、海崎が悲願の初優勝ということもあって選手や応援している人々を見ると、自分達も嬉しくなっていったのである。表彰式では、海崎の選手がシャーレを掲げた。美穂は「リーグに優勝するって、ものすごいことなんだ。」と言った。健はキャッキャッと言っていた。その夜、美穂達と大学生の頃の同級生は食事をした。いろいろな楽しさを味わう1日になったのである。