小説・成熟までの呟き 35歳・2
題名:「35歳・2」
2025年10月、大尾島はオリーブの収穫の時季を迎えていた。美穂達の農園も収穫で充実していた。そのような中、旬の食材を取材するという目的で、首都圏のテレビ局からアナウンサーが来島した。その人物は夫の康太の同級生である絵理の紹介で訪れた者で、麗歌という。白色のパンツスーツ姿だった。美穂達の農園においては場違いな雰囲気だったかもしれないが、都会から来て垢抜けた姿で周りを圧倒していたのかもしれない。麗歌は美穂に対して、どのようにオリーブを作っているのか、どうして移住しようと思ったのかなどについて質問した。取材が終わった後、2人は会話をした。美穂は、「あの、すみません。私って以前からアナウンサーっていう職業はキラキラしていると思うんです。どうしてそのようになれるのですか?」と質問した。すると麗歌は、「私は学生の頃、いろいろな新たな情報を伝えられることに魅力を感じてアナウンサーになりたいって思いました。入社してからは、いかに伝えやすくするかという技術の重要性を感じました。でもその難関を超えると、多くの人々に声が届くようになると思ったんです。それがとても嬉しくて・・。心が嬉しくなると、自然に笑えるようになっていって、それでキラキラとしているように見えたのかもしれません。でもどのようになっても、新たな情報や取材させていただいている方には、真摯な姿勢で向き合うことは忘れずにいたいです。」と述べた。美穂は、「アナウンサーの方って、私にはわからないような考えだったんですね。ありがとうございました!」と言った。後日、朝の番組で美穂達の農園が放送された。全国で映ったため、各地にいる多くの人々からの反響があった。それがきっかけで大学生の頃の友人からは久しぶりに連絡があった。また、アクセスも多くなった。美穂達は更に先へ進んでいくことになる。