月白 thukishiro #04
十三代の作陶人生
55~60歳
作陶生活をスタートさせるため、退職金のほとんどを工房の建設・窯の築窯につぎ込んでしまいます。
金ヶ江家には窯業の経営基盤はなく、陶磁器の基礎をもう一度学ぶため、伝統工芸士の徳永象次氏に師事します。当初は、白磁ではなく、染付・青磁釉・鉄釉・練りこみ・半磁器など様々なスタイルの挑戦していました。そして、白く透き通る月のような白磁+陰刻に辿り着きました。
このとき十四代は高校生。
60代
白磁+陰刻の技法を選択して作り始めたのは、自然をテーマにしたもの。代表作は「桜陰刻のぐい吞み」この作品は生涯作り続けることとなります。他にも「富貴の牡丹」「無病息災の六瓢」など、花瓶や酒器をよく作っていました。焼き上げたとき、太陽の光を透かして見るとその模様が浮かび上がるほど薄く仕上げるのが十三代の手仕事でした。
70代
白磁+陰刻に加えて「透かし」の技法を取り入れていきます。三方香炉など透かしを利用した美しい作品は、このころに制作されているのがほとんどです。内側に青磁を入れ込むことで、より遠近感が表現され手前の透かし彫りをしたモチーフとの奥行きが出ます。作品としてはより完成されたものが多く仕上がっています。
80代
白内障・緑内障を患い、繊細な陰刻が難しくなってきます。透かしや植物をテーマにした作品はほとんどなくなり、線彫り・鎬、そして十四代の作品の加工を手伝うことが多くなってきました。この時作られたのは花瓶・水指が中心です。
90歳
骨を折る大けがをしてしまい、2階にある作業場に上がれなくなってしまいます。そして、十四代襲名を機に引退。老後生活では孫とお酒を楽しみに過ごされいました。
96歳
「有田焼創業400年はおいの年(年男)」と口癖のように言っていた十三代は、400年を見守り安堵したかのように 2017年2月20日亡くなります。
「大願義興居士」
陶祖李参平窯を再興し、先人たちの願いを実現させた義理難い人だったとして、この戒名をいただきました。
続
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月白 tsukishiro 展 開催中
期日 2020年8月7日~16日23:59まで
オンラインショップにて
本展ではsummer-saleのひとつとして、先代の白磁作品をオンラインショップの新規登録いたしました。 白い透き通った月のように涼やかで繊細な作品たちをご覧ください。 また、有田をのせる「白磁彩菓」や 令和2年7月佐賀豪雨災害 応援企画も実施しております。
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