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育児のために個人事業主になったのに、問題だらけの日々。
社会人2年目が終わる頃、新卒で入社した会社を辞めた。
あの頃は、不動産会社で営業をしていた。
数字を出していれば比較的自由だったから、自分の着たい色のスーツを着て、好きなネイルや髪型で、少し高めのヒールを鳴らしながら飛行機で全国どこでも出張に行った。
今思えば少し背伸びしているようにも感じるけれども、あの頃は全力で自分の憧れるキャリアウーマンを楽しんでいたんだと思う。
実際、仕事も上手くいってすぐに出世したし、給料も上がった。
会社の人とも家族のような関係性で、仕事以外のことでも何でも相談したし、影響も受けた。
ある時、3ヶ月分の報奨金として、200万円近くの金額が口座に振り込まれた。
そのお金の一部を頭金として、憧れだけど叶うことはないと思っていた外車を新車で買った。
周囲の先輩もかっこいい外車を持っていたから、「自分も…!!」と思ったのだ。
23歳、人生で1番大きな買い物に高揚した。
それから5年たった今も、あれ以上の買い物はできていない。
やっぱりこうやって振り返っても、2年間のサラリーマン生活は、最高すぎるものだった。
手に入れたい未来のために退職した
こんないい環境だったのにも関わらず、私は2年で会社を辞めた。
一般的に転職の際には、仕事の内容や人間関係、会社に不満があるということが大半らしい。
けれど、私にはそんな理由は1つもなかった。
しいて挙げるとしたら、「業務が大変」ということだろう。
23歳の今は、別にいい。
大変でも全てを仕事につぎ込めばいいし、数字が上がらず辛い時は残業をして、ダメだった時はお酒を飲んで全てを忘れればいい。
(もちろんいい成果が出た時にもアルコールは欠かせないんだけど。)
でも、これからもし私が結婚したら、子どもを授かることになったら…
自由に全国に出張に行ってお金を稼ぐ未来と、家族と一緒にいる時間を大切にして過ごす未来。
どちらも欲しいものなのに、どれだけ考えたっていつもこの2つは平行線で、交わる未来が見えなかった。
これが両立できないのは、自分が女だからかも、なんてことをいつも思った。
けど、これに関してはもうどうしようもない。
なら、自分が欲しい未来を得るためには仕事を辞めるしかない。
そう判断して、私は退職願を提出した。
私のことを暖かく送り出してくれた先輩方には、今でも感謝しかない。
会社を辞めると地獄が待っていた
会社を辞めるといっても、転職してサラリーマンになる気はさらさらなかった。
会社に所属している限り、私がほしい未来は手に入らないと、あの頃本気で信じていたからだ。
「個人事業主になって働けばいい」
「自宅で働ければお金も稼げるし家族ともいれる」
実際になってみた今振り返ると、なんとも安直な…本当に若気の至りとしかいいようがない阿呆な決断。
でもあの頃は、これ以外ないと盲信していた。
とりあえず、文章を書くことが得意いう自己分析から、ライターになることにした。
元手もかからないし、いけるだろうと、またもや本当に安易すぎる発想…。
まぁ予想通り、そんな23歳の若造が稼げるわけもなく…
100万くらいあった報奨金や給料は、あっという間に消えていった。
本当に知らなかった、生きるだけでこんなにもお金が減っていくなんて。
生きることに必死で、ライターとして独立するために動くよりも、暖かいところで寝起きしておなかいっぱいご飯を食べるためにバイトをするばかりの日々になってしまった。
こんな日々を送ったからこそ、アーティストの卵や芸人さんは、今でも本当にすごいと思う。
夢を追い続けるのは、本当に大変なことだ。
妊娠して理想は遠いことを学んだ
そんなこんなで、何だかんだ私はライターになることができた。
28歳になった今、なんの問題もなく自宅で文章を書いて、お金を稼いでいる。
23歳の頃のように高級外車が買えちゃうほどの余裕も勢いもないけど、生活には全く困らない金額は稼げているって感じだ。
私があの頃想像した、理想と思った環境は整ったといっても問題はないだろう。
そして、そんな環境が整ってしばらくして、私は妊娠した。
現在妊娠5ヶ月。
すこーしお腹が膨らんできて、性別も分かり、新しい命の存在を実感できるようになった。
予定では、なんの問題なく可愛い赤子を迎えられるという展開だったはずなのだけれど。
自分の叶えたい理想のために個人事業主になったはずなのに、それでもまだまだ課題は多い。
産休・育休なんて優しい制度はないし、仕事を止めたらもう依頼がこなくなるかもしれない。
保育園に預けるとしても、在宅のフリーランサーは仕事をしていると見なしてもらえるのだろうか?
夜寝てくれなかったら、私はいつ寝ていつ仕事をすればいいのか。
どれくらいまで集中して文章を書き続けられるのかか。
未知ばかりで、課題だらけ。
やっぱり人生はどんなにリスクヘッジしたって、思うようにはいかない。
まぁそれでも、私は何とかするんだろう、きっと何とかなるだろうって漠然と自信はある。
それは、あの時自分の思ったままに進んで、大変なことも全部乗り越えてきたからなんだと思う。
これから産まれてくる赤子よ。
人生は、予想外で想像できないことの連続だ。
けれど、だからこそ人生はおもしろい。