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不妊症#17 初めての採卵、おーわり!

採卵日まで、スケジュールはもちろん、あれこれ出てくる不安を薙ぎ払うのにも忙しかった。

直前の再検査で明らかになったAMHの低下。
採卵2日前になって、張りが減った気がするお腹。
そして、協力と心配はしてくれるけど、いまいち他人事な夫。

どうしようもないことは、事実として受け止める。痛くないのは慣れただけ。自分に言い聞かせる。
夫が他人事なのは勘違いで、むしろ投薬中の不細工な姿を見られたくないだろとの気遣いだったらしい。アホか直視しろやと関西弁で怒ったら、さすがに口が悪いと引かれた。こうして妻は、身も心も可愛げを失っていくのであった。

色々あったけど、もう乗り掛かった船だ。
粛々と注射と内服で卵を育て、前々日の点鼻薬で最終準備を済ませ、遂に採卵の日を迎えた。




採卵を終えた日

採精は当日朝自宅で。人工授精同様わたしが持ち込んだ。
卵は、前からエコーで「右8個、左…いっぱい。」と計測されていた通り順調に育ち、静脈麻酔での手術となった。段取りは、FTの手術を受けたときとほとんど同じ。

慣れた流れだったので、待ち時間は落ち着いて過ごせたが、いざ案内された手術室はなぜか薄暗くて、急激に緊張した。でも、すぐに意識を失った。



「どうですか?」
看護師さんに呼ばれる声に、
「ちょっと痛いです」
と声が出た自分に驚いて、目が覚めた。

FT後程ではないが、生理の1.5倍くらい痛かった。恥ずかしながら坐薬を入れてもらい、しばらく寝たら治ってきた。点滴終了後にベッドから起き上がって、血尿のチェックの後、診察を受け、帰宅した。

今日の成果は上々だった。
卵は、やや取れすぎくらいにたくさん取れた。
希望通り、顕微授精を避けることもできた。
夫婦とも頑張った!偉い!

その夜。これまで半年以上通院してきて初めての達成感を、夫と二人味わった。
まだまだ道の途中とはわかっていたけど、ほんとに嬉しくて、お腹も気にせず、久しぶりに夜ぐっすりと眠れた。


あとは大人しく待つだけ

生理がくるまでは、卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるため、大人しく過ごした。

というか、暴れる体力は残っていなかった。

副作用対策でフェマーラとカバサールを飲んでいたせいもあるのかもしれないが、
立っているだけでへとへとになるわ、お風呂入っただけで疲れ果てて息切れするわで、おばあちゃんみたいだった。
卵と一緒に、全ての若さが搾り取られた気がした。

薬はまぁまぁ強そうで、飲むタイミングもバラバラで、自己注射よりむしろ術後の内服の方がイライラした。我慢して飲んだら、先生に言われた通り4日後には生理が来た。危機は脱した。
ただ、経血と一緒にもっと体力が流れ出ていって、余計に疲れた。できれば、特に暑い間は、もう採卵したくないなぁ…。

生理の3日目くらいには、ぽっこりしたお腹も平坦になって、ちゃんと元気も戻ってきた。

愚痴はさておき。


始めるまであんなに嫌で、始めてからも色々あったけど、いざ終えてみたら、体外受精、手っ取り早くていいな!と思った。

どうしても大変そうなイメージが先行していたが、通院も手技も耐えられる範囲だった。

それに、タイミングと人工授精で、1年以上かけてじっくり1個ずつやってきたのと同じだけの受精を、観察しながら一気にできる。じれったいのが苦手なわたしには、ちょうど良い。
5回の人工授精失敗に泣き続けてから2-3週間しか経っていないのに、もう懐かしい。

もちろん、リスクは大きい。積極的にやるものでもないし、やらないで済むに越したことはないのだろう。わたしたちは自然妊娠が難しいとわかった後なので、飛び込むしかなかっただけ。


そして、肝心の胚培養の結果を聞けるのは来週。
鬼が出るか蛇が出るか。
まだまだ怖いことはいっぱいあるけど、頑張れそうな希望も、むくむくと湧いてきていた。


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