孫子の兵法とインパール作戦

昨日、改めて「孫子の兵法」を読み返していました。

孫子とは、今から約2500年前の中国戦国時代(春秋時代)における孫武という武将が書かせた「兵法書」です。そこに書かれている戦争に勝つための方法論が「孫子の兵法」と呼ばれています。 

 書かれている内容は「いかにして戦争で勝つか」という事ですが、具体的に戦争に勝つための「選ぶべき地形」「指導者の考え方」「攻め方、守り方」「決めごと」など基本的な事から、更に戦いを有利に進めるための「敵の内部工作活動」まで実に深くまとめられており、現代でもビジネスや政治を行う上でもとても参考になる考え方として広く知られています。

  それを読んでいた時、太平洋戦争(大東亜戦争)での悲惨な作戦として知られる、「インパール作戦」を思い出しました。 

「インパール作戦」とはビルマ(ミャンマー)からインドのインパールまで2000mを超える山を登ったり、600mを超える川を渡ったりしながら、ジャングルの中を進んで、インパールにあるイギリス軍の基地を陥落させるという作戦でした。 

しかし、この作戦は「過去の成功体験」から「きわめて甘い見通し」で「準備もろくにせず」「司令官の意地と功名心」で行われたとされ、途中で食糧や武器も底をつき、結局誰一人インパールまでたどり着けず、退却する道は餓死や戦死した兵士を放置せざるを得ず、日本兵の白骨が続く「白骨街道」を退却したと言われています。

  戦争という極限状態における当時の判断が正しかったかどうかはわかりませんが、「孫子の兵法」にある、戦いに勝つための「戦略」とはまるで反対の行動だったように感じられ、現代の日本社会に生きる我々の考え方にも通じる部分があるのではないか?と感じました。

 近年、中国をはじめとする近隣諸国との様々な問題が取りざたされていますが、孫子の兵法を巧みに操る中国と、インパール作戦に象徴される日本人特有の国民性が現在の安全保障上の問題をより拡大しているのではないかと 

 孫子の兵法は、「勝つ」という事に対して「曲線的な行動」をとります。勝つために有利になる行動を、戦う前から用意周到に準備し、戦っている最中も、自分が常に有利な条件で戦えるように、先に先に準備し、行動を起こします。

 それに対して、インパール作戦は、行き当たりばったり、見た目の最短ルート(行ってみると茨の道)、食糧の調達、武器の輸送、もしもの時の退却方法、戦いの終わらせ方、など全てにおいて考えが甘く、極めて「直線的」な思考の元、行われた作戦と言えると思います。

 我々のビジネスにおいても「利益に直線的」すぎると、結局あとから往々にして「問題が発生する」とこがあると思います。利益に対して「曲線的」に「多角的」にのぞむ必要があると感じた次第です。 

以上

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