本棚:『かくしごと承ります。』
舞台は文学者たちとの縁にも恵まれた清流の街、静岡県三島市。主人公の相原文緒は26歳の筆耕士。卒業証書や結婚式の招待状の宛名書きやお品書きなどの文字を書くのが仕事。
ほとんどパソコンやスマホとなり、手書きで文字を書くことは少なくなりましたが、まったくないわけでもなく、たまに名前を書かなければいけないときなど、ふだん書かないだけに醜い字となりまして、恥ずかしい思いをします。中学校の頃の友人の字がきれいで、その頃から憧れていましたが、いまでも毎年、年賀状の字を見て、惚れ惚れしています。お手本のようなきれいな字でなくとも、ていねいに字を書くような習慣があるといいだろうなぁ。
高校の頃、志望校を書いて提出する紙だったか忘れましたが、何かを母に書いてもらって提出していて、三者面談の時に担任に「字がうまいなぁ」と言われ、母が「私が書いたんです」と答えて、恥ずかしい思いをしたことがあります。この先も母よりうまい字は書けないだろうなぁ。ちなみに私は小学校の1年から2年の夏まで習字を習っていましたが(転校のため辞めました)、母は習字を習ったことは無いはず…。うーむ。
本書で、ワタナベという苗字から山梨ではないかと推測する場面があります。両親ともに山梨出身ですが、父の実家の付近ではそうでもないのですが、母の実家の方ではワタナベは多いという話を聞いたことがあったので、「おっ!」と嬉しくなりました。
子どもの頃には、スマホなんてなかったから、よくルーズリーフとかに手紙を書いていて、今となってはそれらの処分に困ることもあるけれど、手書きのものが残っているってなんか素敵なことなんだなと思いました。