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本棚:『嫌な女』

とびきり美人というわけではないけれど、男に夢を見させる天才、夏子。そして、彼女がトラブルを起こす度に引っ張り出されるのは同い年で遠縁の弁護士、徹子。

夏子の話を聞けば、なんと自分勝手な女だろうと腹が立つものの、一方の徹子は徹子でクールすぎるというか。そして、だいぶ昔の設定なのねと思っていれば、彼女たちも年を取っていくわけで。あぁ、嫌な女も年を取るんだなぁと思うとともに、2人のことがだんだん(ますます)好きになってきます。いや、夏子は近くにいたら絶対迷惑で、頭にくるとは思うんですけど、長年みていれば、むしろ感心しそうというか。

私にも20代の頃はありまして、その頃、自分より年上の同性からはどんなふうに見られていたんだろうなぁ。「若いってだけでいい気になって」みたいに思われたりしてたのかなぁ。
もう中年となった私は、若い子を見ると、「きっと自分がおばちゃんになるなんてこと想像できないだろうな」と思ったりします。でも、時間は平等に流れるわけで、彼女たちもいずれおばちゃんになるわけでして。その時、私はおばあちゃんでしょうが、おばちゃんになった彼女たちの姿が楽しみだとひそかに思っています。

「嫌な女」というタイトルだけれど、悪女とは違うんだろうなぁ。


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