本棚:『さようならアルルカン/白い少女たち』
中学生の頃に、母が同僚の娘さんが読んでいたというコバルト文庫を大量にもらってきて、一時期、コバルト文庫にハマっていました。同僚の娘さんが読んでいて、要らなくなった本だったので、発刊当時のリアルタイムで読んでいたわけではなく、「あぁ、物語にあるこの時代を体験してみたかったな」とよく思いました。もらった本の中にはなかったけれど、やがて氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク』シリーズを知り、新刊書店では置いてないこともあり、ブックオフでも購入し、全巻揃えました。もう紙はだいぶ黄色くなってしまいましたが、今とはイラストが違うというのもあって、いまだに手放せない大好きなシリーズです。
図書館で「氷室冴子初期作品集」という本書を見かけたとき、「おっ!」と思いつつも、よくよく振り返ってみれば、著者の作品で読んだことがあるのは「ジャパネスク」シリーズと『月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!』のみ。カバーのイラストからして、私が読んだことのある作品とは違いそう…。気になったものの、その場ですぐには借りず、しばらく(2~3週)してから「やっぱり読んでみたい」と思い、借りました。
収録されている作品の初出一覧を見れば、いずれも私が生まれる前のものでして、時代が違うからか、少女時代の精神の高貴さ、潔癖さ、みたいなものを感じました。そうはいっても、過去を振り返ってみれば、自分自身、高校ぐらいの頃は、「女は愛嬌」って言葉が嫌いだったなぁ…と。でも、以前、職場にお茶目なおじさんがいて、同じことを何度も聞かれても、その人なら許しちゃう…というところがあって、仕事に大事なのは、打たれ強さ、国語力、愛嬌だなと思っていた時期も。周りの空気を読むことは処世術として大事だと思うけれど、読み過ぎるのは自分を殺すことにもなるのでしょう。今どきの学生さんは、どう感じるのかな?と思いながら読みました。
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