学力の経済学16)人生を成功に導く力を鍛えるには?〜やり抜く力(GRIT)〜
才能があっても「やり抜く力」がないために成功にいたらない人が少なからずいます。才能よりもやり抜く力が成功のカギなのです。さて、やり抜く力はどのように鍛えれば良いのでしょうか。
この記事を音声化したものです。内容を少々膨らませながら収録しております ↓
もうひとつの重要な非認知能力としてあげられるのが「やり抜く力」です。
「やり抜く力」は、ペンシルベニア大学の心理学者、ダックワース准教授が
「成功を予測できる性質」
として発表して以来、注目を集め、
GRIT(グリット)とも呼ばれています。
ダックワース准教授のTEDトーク
「成功のカギはやり抜く力」は大きな反響を呼んできます ↓
このやり抜く力を
「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」
とダックワース氏は定義つけました。
この力は12問ほどの質問に答えてもらうことで簡単に数値化できます。
全く異なる状況で、求められる能力は一見バラバラのように思えるものでも
ダックワース氏は、
「成功する人」を事前にかなり高い精度で予測することができました。
「やり抜く力」が高い人は、いずれの状況でも成功する確率が高かったからです。
さらにダックワース氏は、
才能とやり抜く力の間には相関関係がない
ことも明らかにしました。
才能があっても「やり抜く力」がないがために、
成功に至らない人が少なからずいたからです。
これを実感する僕の経験(2本) ↓
「やり抜く力」が欲しいですよね。
僕は欲しいです。
スタンフォード大学の心理学者であるドウエック教授らの研究によれば
「自分のもともとの才能は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」
ということを信じる子どもは「やり抜く力」が強いことがわかっています。
親や教師から定期的にそのようなメッセージを伝えられた子どもたちは
「やり抜く力」が強くなり、
その結果、成績も改善したことが明らかにされております。
ここまでまとめて、自己有能感(自分はできるんだという自信)が
ポイントのひとつと思いました。
以前にも記事にしました
究極の子育ては子どもに「できる」と思わせること
ではないかなと思います。
そのために、結果ではなく努力を見てあげ、
励まし続けることだと思います。
それが先ほど出ていた親や教師の定期的なメッセージではないかなと思います。
親や教師の役割は、
努力を見続け、励まして励まして励まし続けること
ではないかなと思います。
詳しくは以下 ↓
だから結果を見て
「こんなこともできないのか」
なんて言う必要がないのです。
誰も得をしません。
さらに本には続きがありました。
極めて大事なことだと思いましたので紹介します。
やり抜く力を弱める心の持ちようです。
恐ろしいです。
僕も無意識にやってしまってます。
とある研究では「年齢と共に記憶力は低下する」という記事を読んだ人と読まなかった人だと、記事を読んだ人のほうが実際に記憶している単語量が少なかったことが示されています。また、インドの実験では、農村の少年たちにカーストと呼ばれる自分たちの社会的な身分を思い出させててからテストを受けさせた場合、そうしなかったときに比べて、成績が悪かったことを示す実験があります。
つまり「年齢とともに記憶力は悪くなる」とか「社会的な身分が低いと成功できない」ということを刷り込まれると、まさに自分自身がそれを踏襲してしまうのです。
ここは気をつけなければなりませんね。
やり抜く力を弱めないためにどうすれば良いのでしょうか。
僕がまとめながら考えたことは2つです。
①同じことを伝えたいなら、否定的な言い方ではなく、肯定的にすること。
②知っていても伝えないことも大事。
①同じことを伝えるにも肯定的に伝える方が良い。
「こんなことしていたら大学いけないよ」
ではなく
「こうすると大学合格が近づくよ。きっとできるようになるからね。」
この2つは、「伝えたいこと」は同じだと思うのです。
でも表現はまるっきり違います。
一方がやり抜く力を弱め、もう一方は強めています。
一方が脅しで動かす、もう一方は憧れで動かす(?)とも言えるかもしれません。
「〜したらダメ」より「〜したほうがよい」のほうが良いということです。
学校でいえば、「廊下を走るな」というのか
「廊下は歩きましょう」というのかで随分子どもの動き・表情が違います。
ちょっとズレたかもしれませんが、
とにかく肯定的な表現を選択するということです。
②知っていても伝えないことも大事
若さの武器は「知らないこと」だと思います。
僕自身も若い頃を振り返ると「怖いもの知らず」でした。
つまり世間知らずでした。
かといってダメだったかというと、
逆に今ではできないダイナミックなことをしていました。
「こんなことをしてはいけない」ではなく
「こんなことをしてみたい」が強烈に強かったのです。
歳を重ねるたびに知識が増え、それと同時に
無謀なことをしなくなりました。
つまり伸びしろもちっちゃくなりました。
だから子どもの伸びしろを無意味に奪う必要はないということです。
良い意味で勘違いさせる。無茶だなと思ってもさせてみる。
おそらく、大人が思っている以上のことをしていきます。
その連続が人を動かしたり、何かを前進させたりするのだと思います。
これが「やり抜く力」を強めることにつながることだと思います。