知的な遊び心〜名作「坊ちゃん」のパロディー〜
数年前の学級通信が出てきた。その中で知的でユーモアあふれる家庭学習の資料があったので紹介。こんな家庭学習ができれば、「学ぶって楽しい」って思うよねって話。
この記事を音声化しました ↓
「学ぶ」の語源は「まねる」。
プロの小説家になりたい人は、
名作を視写する。
プロのギターリストになりたい人は、
プロが演奏する音源に一音もずれずに
ぴったりと重ねて演奏する練習をする。
島田紳介さんは、駆け出しのころ、
自分たちが目指す売れている芸人の漫才を
録音して、分析したり、真似したりして練習した
と本に書いていた。
つまり上達の法則では「守破離」で
完コピは「型」を学ぶ「守」なんだ。
だから、良い文章を写すことは
表現力を真似て「学ぶ」ことにつながる。
数年前、4年生の担任をしていた。
個性的な子が多かった。
家庭学習も面白いなと思うものが出されるたびに、
学級通信に掲載したこともあり、
子供たちはいろいろなアイディアで家庭学習をしてきた。
※もしかしたら、お母さんが大変だったかもしれません。すみません。
そんな中、ある子が「坊ちゃん」のパロディーを作ってきた。
もちろん、学級通信で紹介した。
そこから「坊ちゃん」パロディーのブームが起こる。
知的なブームである。
その1つを紹介する。
注)著作権の関係で全て仮名です。僕の作品ではありません。
ありちゃん ありのまま@9
親譲りのゲームおたくで子供の時からゲームばかりしている。
鈴木家にいる時分、夜にお父さんに誘われて、ゲームをしたことがある。
なぜそんなゲームおたくと聞く人があるかも知れぬ。
別段深い理由でもない。
ベットでゴロゴロしていて、暇だったからである。
叱られて下に降りてきた時、お母さんが大きな声で
こんな遅くまでゲームやらないよと云ったから
せめて罰金だけはやめてくださいと答えた。
原文は以下 ↓
坊ちゃん 夏目漱石
親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。
小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。
なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。
別段深い理由でもない。
新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、
いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。
と囃したからである。
小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして
二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、
この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
数年ぶりに読んでも色あせない。
知的な香りがプンプンする遊び心である。
家庭学習が遊びのようになれば、
「学ぶって楽しい」と思うよね。
懐かしい思い出でした。
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